高田 直樹 院長の独自取材記事
高田整形外科
(世田谷区/松陰神社前駅)
最終更新日:2025/01/14

均整の取れた体格とすらりとした長身が印象的な高田直樹院長は、慶應義塾大学ボート部出身のスポーツマン。今でも月に2~3回はロードバイクで長距離を走るほど衰え知らず。「高田整形外科」での診療においてはスポーツ整形外科を専門とする傍ら、繊細な治療技術が求められる手に関連する外科の治療も得意とする。患者を最初から最後まで見守ることをモットーに、治療後のリハビリテーションの重要性を説く。高田院長に同院のリハビリ体制の特色、骨粗しょう症の早期発見の重要性、そして地域における同院の役割について聞いた。
(取材日2024年9月13日)
多くの世代を診療する、地域のかかりつけ整形外科
整形外科の医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

私が小さい頃、祖母が入退院を繰り返していたので、母とたびたび病院に行っていました。担当の先生と母のやりとりを見ていて、医師という仕事は患者さんやその家族に安心感を与え、信頼される仕事なんだと子どもながらに感じ取ったのでしょう。「お医者さんって素晴らしい仕事だな」と思い、自分もなりたいと考えるようになりました。中学・高校時代はバスケット部、大学ではボート部に所属し、ずっとスポーツに熱中していました。そのため、学生時代はよくケガをして整形外科の先生にお世話になっていましたね。そのような経緯もあり、専門を決める際は迷わず整形外科を選びました。
開業のきっかけはなんだったのでしょうか。
自分のやりたい治療方針を実現するには、勤務医では難しいと考えたからです。大学病院や総合病院など大きな病院での整形外科は、主に手術をするところなんです。手術によって症状の大幅な回復が見込める症例もありますが、その後の患者さんの経過を最後まで診ることは状況的に難しいんですね。リハビリをしっかりやって、その患者さんの機能がどこまで回復するかをしっかり見守りたいと考えた時に、勤務医ですとそれをかなえるのは困難で。患者さんを長期間、例えば3年後や5年後まで診ていられるような状況をとなると、開業するしかないと思いました。
開院して間もなく15年がたとうとしています。クリニックの役目を先生はどのように実感されていますか?

スポーツ障害やケガに対する整形外科治療、そして私が手に関する外科の専門知識を有しているため、手や腕、肘の治療を得意としています。このような専門性は当院の診療の特色ですが、専門分野にこだわらず、広く診て、地域の方々に頼ってもらえるクリニックでありたいと考えています。整形外科にはかかりつけ医というイメージはあまりないかもしれませんが、そういう役目を担いたいと思っています。例えば、患者さんが腕の痛みを訴えたとします。実際にはそれ以外の部位がその痛みに関係しているかもしれません。どのような症状であれ、広い視野を持って診察し、今後どのように治療やリハビリを進めていけばいいか見極め、必要に応じて専門の先生を紹介するなど、次につなげる動線をつくってあげたいです。医療の窓口になることが当院の役目だと思っています。
最後まで患者を見守る、丁寧で充実したリハビリ体制
こちらではリハビリに力を入れていますよね。

整形外科にかかる一般的な病気やケガの場合、手術や治療を受けて終わりではなく、その後にリハビリが必要になります。当院では、リハビリを担当制で行っています。担当の理学療法士が患者さんを最後まで診ることにより、患者さんの経過がわかりますし、患者さんの安心感にもつながるのではないかと思っています。患者さんの症状に変化があった場合は、その都度、医師と理学療法士でコミュケーションを取り合いますし、週1回は必ずミーティングを行い、リハビリに関わるスタッフで各患者さんの症状や情報を共有しています。それにより、それぞれの理学療法士の施術状況がわかり、スキル向上にもつながると考えます。また、キャパシティーの都合でリハビリの患者さんを長期にわたって受け入れられない総合病院とも連携を図り、当院でその後のリハビリを引き継ぐこともあります。
最近は骨粗しょう症の検査も積極的に行っていると伺いました。
骨粗しょう症はほとんどの場合自覚症状がなく、知らないうちに進行していることも珍しくありません。骨折やケガをきっかけにエックス線撮影をして、気になる状態が見つかった時に、骨密度測定器で測って骨密度が低下していることに気づくことがあります。不規則な食生活や運動不足が骨粗しょう症になりやすい要因の一つといわれていて、一般的に50代以降の女性がなりやすいとされていますが、若い人でも骨粗しょう症の要因を持っている方はいます。骨粗しょう症は早期発見できれば治療できます。自治体が行っている定期検診や企業の健康診断のオプションで骨粗しょう症の検査は実施していますし、当院でも行っていますので、気になる方はぜひ検査を受けてもらいたいと思っています。
この地域はどのような印象でしょうか?

この辺りは、3世代同居のご家庭が今なお多いんです。ご高齢の方が最初に来院されて、そして今度はケガをしたお孫さんを連れて来られることもありますね。待合室で、ご高齢の方と小さなお孫さんが会話している光景を見ると、なんともほのぼのした気持ちになります。私も長くこの地域に住んでいて、地域性が自分に合っていると感じていますし、この街が本当に好きですね。それもあって、私のこれまで培ってきた技術や経験を、ぜひこの地域の皆さんに還元したいと思っているんです。
自らの健康を維持しつつ、成熟した治療を地域に提供
今も何かスポーツを続けていらっしゃいますか?

月に2~3回、ロードバイクで遠出しています。傾斜があったほうがトレーニングにもなるので、都内を走るというより、起伏があって車通りの少ない多摩方面へ出かけることが多いです。1日100km、時間にして5時間ほど走りますよ。ロードバイクを始めたのは30歳くらいの時です。自転車は、自分自身で操って動かすという意味では、大学時代に部活動で励んでいたボートにも似ていますね。気分転換というのはもちろんありますが、それ以上に健康維持のために続けています。
先生も年齢を重ねて、診療スタイルに変化はありますか?
自分自身も年を重ねることで、患者さんのつらさが身をもってわかるようになってきました。病気を身近なものとして感じられるようになりましたし、患者さんの気持ちを本当の意味で理解できるようになったと思います。以前は学んだ知識をもとに、頭で判断して診断していましたが、現在は体内ではきっとこんなことが起こっているだろうと、実感を伴った理解ができて、診断のプロセスが実感のこもったものに変わってきました。患者さんも私とコミュニケーションが取りやすくなったのではないかと思いますね。そうすることで、より適切な診断ができるようになったのではないかと思います。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

地域のかかりつけ医として、より幅広く患者さんのご要望に応えられる診療を続けていきたいと思っています。今後も充実したリハビリ体制は維持していきます。そもそも整形外科の治療は手術が50%、リハビリが50%ではないかと思います。どんなに名医が完璧な手術をしても、それはまだ治療の半分にすぎません。良質なリハビリがあってこそ完治につながるのではないでしょうか。年を重ねてもアクティブな方が増え、高齢者のスポーツ人口も増えています。そうした方々が楽しく過ごせるように、支えていけたらいいなと思います。30代、40代の方には、病気になってから医療機関に行くのではなく、病気にならないために早めの検診をお勧めします。ご自身の健康状態をあらかじめ知っておくことも有意義でしょう。何かあれば気軽にご相談に来ていただければと思います。