尿の出づらさや頻尿の原因にも
男性に身近な前立腺の病気
麻布十番たちばな泌尿器科・皮膚科クリニック
(港区/麻布十番駅)
最終更新日:2025/01/14


- 保険診療
男性の生殖機能に関わる臓器で、加齢とともに疾患のリスクが高まる前立腺。50代から増え始める前立腺肥大症では、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して頻尿や尿が出づらいといった症状によって生活の質が低下することもある。前立腺がんはわが国の高齢男性に最も多く見られるがんといわれている。がん治療をはじめ、前立腺疾患の治療を数多く手がける「麻布十番たちばな泌尿器科・皮膚科クリニック」では、詳細な検査に基づいた診断に努め、内服薬によるホルモン療法などを手がけつつ、前立腺疾患診療を得意とする病院とも連携し、術後のアフターフォローにも注力している。橘秀和院長に、前立腺肥大症の検査と治療、前立腺がんが見つかった場合の対応、前立腺疾患の予防などについて詳しく聞いた。
(取材日2024年4月26日)
目次
内服治療で改善をめざせるケースも多数。前立腺がんのリスクも念頭に、50歳を過ぎたら検査を受けよう
- Q前立腺肥大症とはどのような疾患ですか?
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A
▲図やイラストを用いて患者にわかりやすく説明
前立腺が加齢とともに大きくなって尿道を圧迫することにより、尿が出づらい、夜中に何度もトイレに起きる、尿の勢いが弱くなる、残尿感といった排尿障害が現れます。40~50代くらいから尿の出方の変化を自覚し始めることが多く、70、80代ではほぼ全員が前立腺肥大の状態にあるといってよいでしょう。ただし、症状が進むと生活の質(QOL)を低下させるほか、排尿できなくなる尿閉と呼ばれる危険な状態に陥ったり、尿路感染症、腎臓病などの合併症のリスクも高まります。前立腺肥大症は遺伝しやすい傾向がありますから、家族で過去に治療を受けた人がいる場合は、重症化を防ぐ意味でも早期の受診をお勧めします。
- Qどのような検査を行うのでしょうか?
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A
▲ロボット支援手術の豊富な経験があり、外科手術の相談にも対応
検査ではまず、一般的な尿検査で尿が汚れていないか、尿に血が混じっていないかを調べます。前立腺肥大症の場合は尿の流れが悪くよどんでいることが多いため、ばい菌がつきやすいのです。その後、超音波検査で前立腺の大きさを診て、実際にどのくらい肥大しているかを確認します。さらに、院内の検査用トイレに設置した尿流量測定器を用い、尿の勢いや量、排出時間などを計測します。前立腺肥大症が増える50代頃からは前立腺がんのリスクも高くなりますので、肥大症の検査に併せて前立腺がんの腫瘍マーカー・前立腺特異抗原(PSA)の検査も行うことが多いですね。
- Qどのような治療法があるのでしょうか?
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A
▲超音波検査により精密な検査・診断が可能
近年は有用な治療薬の種類が増え、手術を必要とする件数は従来と比べて少なくなりました。尿の出を良くする、前立腺の血流を促す、あるいは前立腺自体を縮小させる、といった作用が期待できる薬など、患者さんの年齢や症状の出方に応じて適したものを選択します。内服薬による治療で改善が望めない場合は手術となりますが、術式も低侵襲の方法が増え、前立腺をレーザーでくり抜く、熱で蒸散を図るといったさまざまな方法があります。手術に伴う入院日数も1~2日程度と短く、退院後は2ヵ月に1回程度の通院で経過観察します。一度手術をしても、前立腺は加齢とともにまた肥大し始めるため、必要に応じて内服治療を再開することもあります。
- Q前立腺がんと診断された場合の対応についても教えてください。
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A
▲連携病院もあり、必要な場合はスムーズに紹介してもらえる
私は大学病院などで15年以上にわたって、前立腺がん、腎がん、膀胱がんを中心としたがん治療に携わってきました。そうした経験のもと当院で検査・診断を行い、前立腺がんが見つかり次第すぐに連携先の病院をご紹介して、スムーズな治療開始をサポートいたします。術後はまた当院に戻ってきていただき、通院治療の中で採血によるPSA検査でがんの再発がないかチェックするほか、ホルモン療法にも対応しています。前立腺がんの治療を選ぶ際のセカンドオピニオンなども受けつけておりますので、他の病院でがんの診断を受けられた方もお気軽にご相談ください。
- Q前立腺の病気を防ぐにはどうすればいいですか?
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A
▲一人で抱え込まず、気軽に相談してほしいと呼びかける
前立腺がんは特に食の欧米化、とりわけ脂質の取りすぎに関連しているといわれていますので、意識して高脂肪食を控えることが予防につながります。個人差はありますが、男性であれば誰しも前立腺が加齢とともに大きくなって肥大による排尿のお悩みが出やすくなってきます。他方、前立腺がんは早期には自覚症状がほぼなく、症状が出始める頃にはがんが進行していて手遅れになることもあります。前立腺肥大症と前立腺がん双方の早期発見、早期治療を念頭に、50歳を過ぎたら定期的に検査を受けるようにしてください。