藤田 智貴 院長の独自取材記事
ふじた耳鼻咽喉科クリニック
(枚方市/津田駅)
最終更新日:2024/08/05

2023年12月にオープンした「ふじた耳鼻咽喉科クリニック」は、学研都市線・津田駅から徒歩1分の場所にある。プロから声がかかるレベルの高校球児だったという異色の経歴を持つ藤田智貴院長が、「地域のかかりつけ医」として気兼ねなく相談に来てもらえるクリニックをめざしている。とことん患者に寄り添うのは、祖母や父からの影響を受け医師を志した藤田院長だからこその熱い思いから。これまでの経歴や診療にかける思い、診療内容やクリニックの今後の展望を聞いた。
(取材日2024年6月28日)
患者を思うからこそ「見える化」にこだわる
クリニックのコンセプトを教えてください。

待ち時間も快適に過ごしてもらいたいということがコンセプトです。受付と待合スペースに設置したモニターでは、クリニックからのお知らせや日々の暮らしに役立つ情報などを流し、退屈せず待っていただけるようにしています。また、ウェブ予約システムを導入し、予約順の5人前になるとメールが届きます。近隣にお住まいの方なら、ギリギリまで自宅でお待ちいただけます。予約システムに付随してウェブ問診票も導入しているので、例えば面と向かって症状を伝えるのが苦手な方でも、ゆっくり記入していただければ診察へ反映できるようになっています。耳鼻咽喉科は待ち時間がどうしても発生してしまうので、少しでも負担軽減につながるとうれしいです。ちなみに、クリニックのロゴマークは「ふじた」の「F」と耳鼻咽喉科をイメージしやすい象のモチーフをかけ合わせたもの。あまり子どもっぽくしすぎず、大人も入りやすい落ち着いたカラーをテーマにしています。
院内にはどんな機器を備えていますか?
内視鏡と超音波検査装置です。意外にイメージのない方も多いのですが、耳鼻咽喉科は脳・目・歯以外の首から上すべてが専門です。甲状腺や耳下腺の疾患、首の腫瘍なども診ることができるよう、そのための機器をそろえました。内視鏡も超音波検査装置も、できるだけ負担の少ないものを選んでいます。診察や検査、処置をする場所を一方通行で回れるよう、院内の動線も意識しています。特にこだわったのは「見える化」。私自身が医療機関を受診する時に処置の内容がわからないと嫌なタイプなので、検査データをすぐに送信できるモニターを診察室に設置しています。結果を見たり前回と比較したりしながらわかりやすく説明するので、患者さんの不安軽減にもつながっていると思います。
これまでのご経歴を教えてください。

生まれも育ちも京都です。小・中・高と野球に打ち込み、ありがたいことにプロから声がかかったこともありました。ただ、医学部に行くと決めていたのでお断りしたんです。当時部活にのめり込んでいたこともあり、医学部には受からず、同志社大学の法学部に進学しました。卒業後は一度会社員になったのですが、やはり医師という夢を諦めきれず、半年で退職。そこから勉強を再開し、高知大学医学部に合格しました。医師をめざしたのは、自分が子どもの頃、よく中耳炎になっていたことが理由です。医師といえば耳鼻咽喉科の先生で、さらに開業医のイメージが強かったんですよね。加えて、耳鼻咽喉科は首から上すべてが専門です。病気を見つけ、手術し、フォローする。最初から最後まで自分の手でできるところが魅力だと思っています。病気だけを治療して終わりではなく、人と人との付き合いがそのまま診療につながっていく感覚ですね。
一人ひとりに寄り添った、適切な治療法の提案をめざす
現在の患者層や、多い相談事を教えてください。

若いファミリー層が増えている土地柄もあり、患者さんはお子さんやその親御さんといった子ども連れのファミリー層が多く、古くからお住まいの高齢者もいらっしゃいます。ファミリー層の主訴としては、鼻詰まりや鼻水、咳、喉の痛みといったいわゆる風邪症状が多いですね。花粉症の悩みで来られる方も結構いらっしゃいます。高齢者は、難聴、耳鳴りや耳のかゆみといった耳のお悩みで来院される方が多いですね。加えて、喉が詰まる感じとか、うまく食べ物を飲み込めないといった嚥下に関するお悩みも高齢の方特有といえるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の診療も行っているとお聞きしました。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に断続的に無呼吸を繰り返し、その結果、日中の眠気や倦怠感、不眠や中途覚醒、いびきなどの症状が出る疾患の総称です。SASは空気の通り道である気道が狭くなることで起こります。耳鼻咽喉科では、問診や視診で鼻が詰まっている、扁桃腺が大きい、腫瘍がある、といったように気道閉塞の原因を診ることができます。特に喉頭内視鏡を使っての確認ができるのは耳鼻咽喉科ならではのメリットです。また自宅で睡眠状態を確認できる簡易検査や、提携している病院での入院による睡眠ポリグラフ検査などで調べることもできます。例えば、鼻の奥の咽頭扁桃(アデノイド)が大きい場合は手術も含めた提案もできますし、中等度から重度の患者さんには、睡眠中に鼻と口にマスクを装着し、気道に空気を送る経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)も適応されます。
通年性アレルギー性鼻炎には舌下免疫療法も取り入れているとか。

ダニが原因となり、季節に関係なく鼻水や鼻詰まり、くしゃみといった症状が現れるダニアレルギー性鼻炎の治療法の一つに、アレルゲン免疫療法があります。アレルギーの原因であるアレルゲンを投与することで、体をアレルゲンに慣れさせることをめざし、症状の緩和や体質改善につなげる目的の治療法です。舌下に錠剤を入れて、決められた時間保持した後で飲み込みます。ただ少なくとも約3年間は、毎日1錠を投与する必要があり、定期的な受診も必要になります。非常に根気がいるので、治療を開始する際は医師と相談が必要です。
その他、患者さまからのご相談にはどのようなものがありますか?
例えば「口内炎はどこで見てもらったらいいのか」とご質問をいただくことがあるのですが、実は耳鼻咽喉科で診療が可能です。2週間程度で自然と改善が見込める口内炎ですが、放っておかずに早めに受診してみてください。口の中に塗る軟膏で改善を促したり、貼りつけるタイプの薬を使って痛みの緩和を図ることができます。また初期のがんが隠れている可能性もあり、専門家が見れば早期発見につなげられることも多いので、受診をお勧めします。また、めまいのお悩みも耳鼻咽喉科でお受けすることができます。めまいが起こる原因はさまざまであり、まずは原因を探ることが重要です。例えば耳ではなく脳が原因でめまいが起こる場合には脳神経内科や脳神経外科などの領域になります。ご自身では判断がとても難しいものですので、耳鼻咽喉科を受診していただくのも選択肢の一つです。
患者のQOLを考慮し、補聴器の相談も
補聴器に特化した外来も設けられているそうですね。

加齢が原因で耳の聞こえが悪くなってきた患者さん本人から申し出があった場合や、必要だと思う患者さんには補聴器の提案もしています。当院では、第1・3・5の火曜日と、第2・4の木曜日に補聴器に特化した外来を設け、補聴器の相談をしていただくことができます。メーカーによって聞き心地は異なりますし、耳掛け型とか耳穴に入れるタイプとか種類はさまざま。お試し期間があるのが特徴で、ご自身に合うものを選んでいただけたらと思います。
診療へのこだわりを教えてください。
時間が許す限り話を聞くことが第一です。私は中学1年の頃に父を亡くしたのですが、詳しい説明がほとんどないまま、病気が発覚して数ヵ月で亡くなってしまい、当時すごくモヤモヤした気持ちを抱えていたことを覚えています。ですので、患者さんの話を聞くことも大事ですが、こちらからもできる限りわかりやすく説明し、疑問やモヤモヤのない状態で帰ってほしいと思っています。
今後の展望を教えてください。

「近所のかかりつけ医」として、とにかく何でも相談できる医師になりたいと考えています。そのために、あえて厳しい環境で初期研修を受けてきました。できないことはできないとお伝えしますが、まずは気兼ねなく相談してもらいたいですし、患者さんには当院を便利に使ってもらいたいと思っています。医師にとっては、初めて診る患者さんを診断するのは難しいところ。ですが一度でも来てくれたり、話をしたことがあると、前回と比べてちょっと元気がないとか、ちょっと声がかすれてるとか、そういう些細な変化がわかります。耳鼻咽喉科のことでなくても構いません。一度ご相談に足を運んでいただけたらと思います。