神谷 友康 院長、仙波 恵樹 先生の独自取材記事
東海内科・内視鏡クリニック 岐阜各務原院
(各務原市/那加駅)
最終更新日:2024/03/05
「東海内科・内視鏡クリニック 岐阜各務原院」は、2023年11月に開業した内科・消化器内科・婦人科のクリニック。院長の神谷友康(かみや・ともやす)先生が内科・消化器内科を、仙波恵樹(せんば・さとき)先生が婦人科を担当している。日本消化器病学会消化器病専門医や日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ神谷院長は、複数の医療機関での勤務を経て、愛知県がんセンターでは内視鏡部医長を務めた内視鏡検査のエキスパート。日本産婦人科学会産婦人科専門医の仙波先生は、広島大学医学部を卒業後、倉敷成人病センターなどで勤務し、腹腔鏡手術を多数手がけてきた経験を持つ。開業の経緯や日々の診療、クリニックの強みである内視鏡検査について、神谷院長と仙波先生に話を聞いた。
(取材日2024年1月18日)
内科、消化器内科から婦人科まで幅広く診療を行う
この場所で開業し、仙波先生が診療に加わられた経緯からお聞かせください。
【神谷院長】それには大きく2つの理由があります。生まれ育った岐阜の地で医療を通して地域貢献したいという思いがまず一つ。そして、当院は東海学院大学に隣接する場所に位置していますが、大学の創設者が私の祖母であるというご縁があり、同大学の医療系学部の学生さんに臨床の場を提供したいという理由もありました。来年度から臨床検査技師、臨床工学技士、管理栄養士をめざす学生さんが臨床実習のために当院を訪れる予定です。
【仙波先生】神谷院長は私の妻の妹の夫、つまり義理の弟にあたります。もともと私は広島や岡山の病院で勤務をしていましたが、名古屋のクリニックに転職するタイミングで神谷院長に声をかけていただき、週に1回、当院での診療を開始することになりました。
内装や設備面でこだわられた点はありますか?
【神谷院長】緊張している患者さんに少しでもリラックスして過ごしていただけるよう、落ち着いた雰囲気の内装を心がけました。待合室にドリンクサーバーと大きな机を設置しましたので、ご近所の方にはお茶を飲みに立ち寄っていただくだけでもいいなと。何でも相談できるクリニックでありたいと思っていますので、気軽にお越しいただきたいですね。一方で、私の専門領域である胃と大腸の内視鏡検査については大きな病院と同等レベルの検査が行えるような環境であると自負しています。検査の前後には個室タイプのリカバリールームをご利用いただけます。
【仙波先生】婦人科専用の待合室があることも特徴的だと思います。ほかにも、内診室のカーテンを二重にし、患者さんが着替えをする際にスタッフの視線が気にならないようにするなど、プライバシーに配慮した造りになっています。
どのような患者さんが多く来院されていますか?
【神谷院長】私が担当する患者さんの割合は、風邪や生活習慣病などの内科が3割、胃腸に関するご相談や検査が7割くらいです。内科については糖尿病や高血圧、骨粗しょう症、花粉症など。消化器内科は肝臓や胃、腸などの検査も対応しています。内視鏡検査は各務原市内のみならず、岐阜市や関市からもお越しになっています。患者さんが内視鏡検査を受けるきっかけは、胃の不快感や排便時の出血があって受診される方、健康診断で便潜血を指摘されたケースなどさまざまです。
【仙波先生】婦人科では、高校生から80代まで幅広い世代にお越しいただいています。月経困難症、更年期障害、おりものの異常や外陰部のかゆみや痛みなどの症状、がん検診、不妊のご相談にも応じています。患者さんのご希望や症状に応じて、西洋薬や漢方薬、貼り薬などを使い分けて処方します。不妊治療はエコー検査、精液検査、AMH検査とタイミング指導に対応しています。
苦痛が少なく精度の高い内視鏡検査の実践を
内視鏡検査について詳しく教えてください。
【神谷院長】苦痛に配慮することを重視しています。眠っているような状態で検査を受けることができるよう鎮静剤を用いることも可能です。胃カメラには経鼻と経口の2種類がありますが、カメラの画質がより良いのは経口です。そのため、鎮静剤を用いた検査では経口タイプを用いて検査します。大腸の内視鏡検査では、下剤を飲むことに抵抗感が強い方もいますので、錠剤もご用意していますし、味も選んでいただけます。また、腺腫性ポリープといって将来がんになる可能性のあるポリープはその場で切除も可能です。以前勤めていた愛知県がんセンターでは、検査での見落としがないよう、厳しく指導していただける環境にいました。これまでの経験を生かし、当院では高い大腸腺腫検出率(ADR)をめざしています。検査の結果、手術が必要なケースでは、近隣の総合病院や大学病院へご紹介いたします。
苦痛に配慮してもらえるのはありがたいです。とはいえ、現役世代には内視鏡検査はハードルが高いです。
【神谷院長】月に1回、土曜日と日曜日にも検査を実施していますので、平日に来院できない方でも検査を受けやすいと思います。この枠が埋まるようであれば、今後は日数を増やすことも考えています。また、大腸の検査では午前中に来院して下剤を服用し、午後から検査を行うのが一般的ですが、一日がかりになってしまいます。そこで、早朝にご自宅で下剤を飲んできていただき、午前中に検査を行う「モーニング大腸検査」も実施しています。お昼前には検査が終わりますので、午後からお仕事に行くこともできるでしょう。
診療の際に心がけていることはありますか?
【神谷院長】こちらの考えを押しつけることはせず、患者さん一人ひとりの背景も踏まえて治療方針を決めることを大切にしています。例えば、仕事が忙しく薬を定期的に飲めない方には、服薬回数が少ない薬を処方しますし、生活習慣病の方への食事指導では、無理に食生活を変えるような指導はしません。患者さんのお顔を見てしっかり話を聞きたいので、電子カルテの入力はスタッフに任せています。
【仙波先生】婦人科では、男性医師の診察を受けること自体、女性にとってハードルが高いことだと思いますので、言葉遣いや目線にも気を配り、患者さんに不快な思いをさせないよう努めています。自分では気づかないこともあるかもしれないので、時には看護師さんに意見を求めることも。当たり前のことですが、診察や処置の前には「〇〇さん、こんにちは」とあいさつを欠かさないことも大切にしています。
日々の診療や啓発活動を通じて地域貢献を
スタッフさんについても教えてください。
【神谷院長】看護師、事務スタッフと管理栄養士が在籍しています。先程お話しした、カルテの入力業務は管理栄養士さんにお願いしています。管理栄養士が診察室にいることで、診察の結果、生活習慣病の方へ栄養指導が必要となったときにも、予約枠が空いていれば随時、栄養指導を行うことができます。また、スタッフには、患者さんに対するホスピタリティーを大切にするよう伝えています。端末への入力業務などは後回しにして、患者さんへの対応に時間を割けば、待ち時間の短縮にもつながると思います。
仙波先生は婦人科を、神谷院長は消化器を専門に選ばれた理由や今までのご経験について教えてください。
【仙波先生】僕は男性ですので、月経も分娩も経験がありません。自分にとって未知の領域であり、一番難しい分野に挑戦したい思いがあり、婦人科を選びました。勤務医時代には子宮筋腫などの疾患に対する腹腔鏡手術を担当しました。先進の医療技術を用いた子宮摘出や卵巣摘出なども執刀し、オールラウンドに経験を積んできました。
【神谷院長】家族を消化器の病気で亡くした経験が大きかったですね。自分に何ができるだろうと考えた時に、消化器を専門とする医師になろうと決めました。勤務していた愛知県がんセンターでは、さまざまながん患者さんの治療にあたってきました。早期発見・早期治療に努め、「消化器のがんで亡くなる人をゼロにしたい」という目標を掲げています。
今後の展望をお聞かせください。
【仙波先生】当院に婦人科があることをまだご存知ない方もいらっしゃると思いますので、まずは地域の方にもっと知っていただきたいですね。そして、大学に隣接している立地を生かして、大学生や地域の若い世代に向けて性教育や子宮頸がんワクチンに関する内容を啓発していく活動もしていきたいです。
【神谷院長】専門の消化器はもちろんですが、喘息や花粉症、生活習慣病など内科全般を幅広く診ていきたいですね。今後、患者さんが高齢になり、通院が難しくなれば往診にも対応するなどして、地域に貢献していきたいと思っています。