田中 慧 院長、田中 つるぎ 先生の独自取材記事
田中レディスクリニック渋谷
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日:2024/02/15
渋谷区宇田川町で2024年2月に開院した「田中レディスクリニック渋谷」。田中慧院長は開業前、東京大学大学院で卵胞の発育に関する研究に取り組み、東京大学医学部附属病院や日本赤十字社医療センター、不妊治療を専門としたクリニックで研鑽を積んできた。「積み重ねた知識と経験を、妊娠を望む多くの女性のために役立てたい」との思いから、働く女性も通いやすく、アクセスの良い渋谷駅近くを開業地に選んだ。先進の機器を整えて、女性の自然なリズムを大切にした、心と体に優しい不妊治療の提供をめざす同院では、妊娠しやすい体づくりにも力を入れ、漢方や鍼灸といった東洋医学の考え方を取り入れていく予定。女性の悩みに丁寧に向き合う慧院長と、院長の娘で非常勤医として同院の診療に加わる田中つるぎ先生に、同院の診療について話を聞いた。
(取材日2024年1月12日/情報更新日2024年2月15日)
東洋医学の観点から、妊娠を望む女性の健康をサポート
まずは先生方のご経歴をお聞かせください。
【慧院長】中国の大学を卒業後、東京大学大学院で環境ホルモンと卵胞の発育に関する研究に取り組んできました。同大学医学部付属病院や日本赤十字社医療センターなどで産婦人科の医師として臨床も行ってきたのですが、お産の現場で、新しい命が誕生する感動を共有する一方、つらい不妊治療で悩み苦しむ患者さんも大勢いらっしゃいました。同じ女性として、不妊に悩む患者さんの力になりたいと思い、生殖医療を志しました。妊娠を成立させるためには、質のいい受精卵の獲得だけでなく、子宮内環境やホルモンバランスを整えることも大切です。そのためには漢方と鍼灸の考え方が重要であると知り、東洋医学を学んだ後、不妊治療を専門としたクリニックで11年間研鑽を積んできました。
【つるぎ先生】私は群馬大学の出身で、母と同じく東京大学大学院に進みました。今も生殖分野の研究をしながら、産婦人科専門の医師として臨床にも携わっています。
こちらは2024年2月の開業だそうですね。
【慧院長】はい。これまで積み重ねた知識と経験を、妊娠を望む多くの女性のために役立てたいと考え、開業の道を選びました。娘が私と同じく不妊治療の研究に取り組んでいるのも、私にとっては心強いこと。専門性の高い分野ではありますが、漢方や鍼灸などの東洋医学の考え方も取り入れながら、一人ひとりの患者さんに寄り添った診療を行っていきます。不妊治療は終わりが見えにくく、必ずしも望む結果になるとは限りません。イライラしたり悲しい思いをしたりすることもあるでしょう。当院にいらっしゃる間は少しでもリラックスしてほしいと思い、アットホームな雰囲気の院内レイアウトにしました。渋谷駅から近く、通勤・通学途中やショッピングついでにも立ち寄りやすい立地です。
どのような方を対象とされているのですか?
【慧院長】妊娠を望む女性ならばどなたでも。不妊に関する検査から、タイミング療法、体外受精、顕微授精まで、専門知識に基づいた精度の高い治療を提供できるよう努めています。併せて力を入れているのが、プレコンセプションケアです。今すぐでなくても将来的に妊娠を考える女性とパートナーに、現在の体の状態を知り、健康に目を向けていただくためのケアです。月経不順や不正出血に悩んでいる方や、「将来妊娠できるのか、何となく不安」という方も、ぜひ一度いらしてください。
【つるぎ先生】例えばまだ10代や20代の方ですと、将来ご自身が不妊で悩むなど想像がつかないかもしれませんね。ですが女性の体は複雑です。若いうちから体を整えておくことが将来の健康につながり、健康であることが妊娠しやすい体へとつながっていくんですよ。美容院やエステで美しさを保つように、数ヵ月に一度の体のメンテナンスで一緒に体調管理をしていきましょう。
自然なリズムを大切にした、心と体に配慮した不妊治療
診療方針を教えてください。
【慧院長】患者さんの気持ちに寄り添い、心にも体にも配慮した治療の提供に努めています。具体的には漢方や鍼灸などの東洋医学の考え方を取り入れた体づくりと、低刺激の不妊治療です。不妊治療では自然な排卵のリズムを大切にし、必要かどうかを見極めながら薬を使用します。また低刺激の治療を行うために、設備にも気を配りました。検査機器や採卵用の針一つに至るまで、痛みや負担の少ないものを念頭に導入しています。優しい刺激で質の良い卵子の獲得をめざし、培養液の保存工程にもこだわっているんですよ。モットーとする体と心に優しい不妊治療を実現するために、先進の機器と手厚い診療体制を整備し、これまでの経験をフルに生かしていきたいです。
院内体制や他院との連携についても教えてください。
【慧院長】スタッフも培養士も不妊治療のベテランで、治療への熱意と患者さんへの誠意を持って働いています。皆知識が豊富ですから、医師にもスタッフにも気軽にお声がけください。病診連携にも力を入れていく考えで、特に私が勤務していた日本赤十字社医療センターとの連携はスムーズに行える体制です。子宮内膜症や子宮筋腫など、手術を必要とする際には日本赤十字社医療センターなどの大規模病院と連携しながら進めていきます。
もし望む結果が出なかった場合、どのように次のステップに進むのでしょうか。
【慧院長】難しい問題ですね。しかしどんなに良いと思われる手段を用いても、必ず成功すると言い切れないのが不妊治療です。まずは患者さんの気持ちに寄り添い、その結果を一緒に受け止めます。そして、原因分析です。良好な卵子、受精卵の獲得が最も大切な要因ですが、それ以外に隠れている原因がないかを検討し、治療方針を調整します。良好な卵子、受精卵と子宮内環境、ホルモンバランスは密接に関係しており、いわゆる種と畑の関係です。種だけでなく、畑の質にも注目し、トータルのバランスを整え、患者さんの負担を考えながら妊娠に向かって再度治療を進めていきます。
【つるぎ先生】治療がうまくいかなかった場合、まず改善点があるのかを考えます。もちろん医師としては、初めからその方に適した治療を選択することが重要なのですが、改善点の有無を見極めた上で、患者さんが前を向いて次のステップに進めるようアドバイスしていきたいですね。
患者とそのパートナーへ、正しい情報を伝えたい
情報発信にも力を入れていく予定だそうですね。
【つるぎ先生】インターネットでは多くの情報が手に入りますが、中には誤解を招くような内容や正しくない情報も存在します。妊娠を考えた体づくりには、食事や睡眠など日常生活の中で工夫できることもたくさんあるんです。私たちが自信を持ってお伝えできる情報を、SNSなどで発信していきたいですね。そして不妊治療は女性だけの問題ではありません。私たちの発信をきっかけにパートナーの方にも不妊について関心を持ってもらい、「2人で考えていくこと」と認識してもらえるとうれしいです。受診の際も、可能ならばパートナーとお二人でいらしてください。もしパートナーの時間が取りにくい場合、オンラインで話を伺うことも可能です。
ところで、先生はなぜ医師をめざしたのですか?
【慧院長】子どもの頃に見た映画がきっかけです。あるシングルマザーが病気になり、幼い子どもを残して亡くなってしまう話だったのですが、「もし私がその病気を治してあげられたら」と思い、医師をめざしました。医師になって産婦人科を選んだのは、自分と同じ女性の悩みや苦しみをサポートをしたかったから。また、卵胞発育をコントロールする脳から卵巣へのホルモン伝達など、女性特有の体の機能に魅力を感じました。
つるぎ先生が医師をめざしたのは、院長の影響でしょうか?
【つるぎ先生】そうですね。私は母の仕事熱心な姿を見て育ち、自然と医師をめざすようになりました。医学的に興味がある方向に進んだら、気づけば母の後を追っていたように思います。母は普段からとても優しい性格なんです。共感力がとても高く、一人ひとりの患者さんとコミュニケーションを取って、患者さんや一緒に働くスタッフの心を和ませることができて尊敬しています。
最後に、妊娠を望む女性にメッセージをお願いします。
【慧院長】2022年に不妊治療に関する保険適用範囲が拡大され、これがきっかけになって不妊治療のハードルが下がりました。当院では保険診療の範囲内でも、先進的な医療でも、さまざまな治療プランをご用意してお待ちしております。患者さんと向き合う時間をしっかりと取って診療しますので、なんでもお聞かせください。一緒に治療法を考えていきましょう。