三浦 暁彦 理事長の独自取材記事
おおかみこころのクリニック横浜院
(横浜市西区/横浜駅)
最終更新日:2025/03/04

横浜駅から徒歩4分、通いやすい立地にある「おおかみこころのクリニック横浜院」は、新宿・銀座・梅田と主要な都市に展開する法人グループの横浜院として、2023年10月に開業した。気分の落ち込みや仕事や学校で感じるつらさ、なかなか眠れないなど、心のバランスを崩した人に寄り添いたいという思いから、平日は22時まで夜間診療に対応し、土日にも診療を行っている。日本精神神経学会精神科専門医をもつ理事長の三浦暁彦先生は、落ち着いた声で丁寧に言葉を選んで話す様子が印象的な医師だ。「精神科の受診しづらさのハードルを下げたい」と語る三浦理事長に、クリニックを立ちあげた経緯から診療にかける思いまで、たっぷり話してもらった。
(取材日2024年12月24日)
精神科にかかるハードルを下げたいという思いで開業
クリニックを立ちあげた経緯について教えてください。

現在、当院を運営する法人では新宿・銀座・横浜・梅田でクリニックを開いているのですが、最初に新宿院を開業したのは、夜の診療をしたいという思いがあったからです。夜は心のバランスを崩しやすい時間帯ですし、普通に働いていると昼間の診療には行きづらいですよね。それに、せっかく精神科に行こうと思っても予約が取りづらい現状を変えたいという思いがありました。悩んでいる方がたくさんいるのに受診することが難しい、そんな精神科のハードルを少しでも下げたいと思ったのです。ですので、当院でも平日は10時から22時まで、土日は10時から19時まで診療を行っています。精神科での治療には継続して来ていただきたいので、駅近で通いやすい点にもこだわりました。完全予約制で、当日予約も可能。不安を感じた際に受診していただけますよ。予約もウェブとSNSから5分もかからずに行えますので、つらいときでも予約が取りやすいかなと思います。
理念について教えていただけますか?
われわれは、医療を通して患者さんの人生を補完して、自己実現の助けとなりたいと考えています。精神科は単に病気を診るだけではなく、患者さんお一人お一人の人生がプラスになるよう手助けができる場所です。順風満帆に人生を送れる方がいる一方で、自分でも思いも寄らないきっかけで心が疲れてしまう方もいます。精神的につらくなってマイナスになってしまっても、プラスに向かっていくことは十分可能だと思っています。心のバランスを崩してしまった方の人生がより良い方向に進んでいけるよう、お力になりたい。そんな思いで、日々診療を行っています。
クリニック名が印象的ですね。なぜ「おおかみ」とつけられたのでしょうか?

先程もお話ししたように、夜間診療をしたいというのが初めにありましたので、夜行性の動物から名前を取りたいと考えました。フクロウの名前がつくクリニックはとても多くありますが、オオカミというと一見怖いイメージがありますよね。実は、オオカミはとても仲間思いで、群れをなして生活をしている生き物なのです。弱っている群れの仲間を助けるような一面があると知って、オオカミにしようと思いました。心のバランスを崩した時に一人で抱え込まず、夜間でも頼ってほしいという思いを込めたクリニック名です。
長い人生を見据えて自分で立ち直れる心を育みたい
先生が医師をめざされたきっかけについて教えてください。

実は、僕は中学生の頃に不登校になった時期があるんです。その時に自分の心についていろいろと考えて、人の心の動きや仕組みに関する本を読んで、「人の心は面白いな」と思うようになりました。ですので、最初から精神科の医師になるつもりで、医師をめざしていました。昔から人の話を聞くのがすごく好きだったこともあり、学び始める前と後でギャップを感じたことはないですね。ただ、想像していたよりも重篤な精神疾患になる方がいることを知って、重症になってしまう前に、できるだけ早期に治療したいと思いを抱くようになりました。精神科の病気は継続的な通院が必要な場合も多く、中には何年も通うことになるケースもあります。なので、通院を一段落しようと判断できる日が来たら、とてもうれしい気持ちになると思いますし、そういう時に精神科医としてのやりがいを感じると思います。
日々どのような思いで診療をされていますか?
僕は中学生の時だけでなく、研修を受けていた時にも挫折を経験しています。うつ病で休職するところまで行ったのですが、それでもたくさんの方の助けを借りながら医師として復帰することができました。自分自身の経験もあり、僕は精神科の疾患も改善を望めるものだという希望を持ちながら診療を行っています。一度精神的な調子を崩した方は、そうなる以前とは性格や考え方の変化が起こってしまうので、どうしても生活の中で病むきっかけを得やすくなるところがあります。でも、治療を続ける中で、なるべく自分で立ち直れるような心をつくっていくことができると思っています。そうした、困難を乗り越えて自発的に回復する力のことをレジリエンスと呼ぶのですが、診療では患者さんがレジリエンスを育める手助けを行っています。
レジリエンスを育むために、診療ではどんなことをしているのでしょうか?

学校教育ではいろんな教科を教わりますが、自分の心についてはあまり教わりませんよね。実際に、大人の方でも自分の感情を言葉で表現することが難しかったり、嫌な感情が芽生えた時にどうしていいのかわからなかったりする方は多いです。ですので、診療ではまず、自分の感情を正しく認識する訓練からスタートします。自分の感情がいったいどんなものかを認識すれば、適切な対処がしやすくなります。そんなふうに少しずつトレーニングを重ね、心の中に自分自身の精神科の医師が存在できるようになることで、何かつらいことがあった時にも自分で対処していくことをめざします。通院のきっかけとなったつらさが癒えても、また違うつらさに直面した時に心が折れてしまうと、また苦しい時間が続いてしまいます。患者さんの人生がより良い方向に向かうために、自分を苦しめるのではなく、自分で助けられる力が身につくよう、日々の診療でサポートしています。
普段とは違う心の動きがあれば、気軽に受診してほしい
先生が患者さんと接する時に心がけていらっしゃることを教えてください。

そうですね。あくまでも医療として客観性を保たないといけないと考えていますので、僕個人の感情が患者さんに影響を与えすぎてしまわないように心がけています。声の調子や話すスピードはなるべく一定に保って、過度に感情を見せないように気をつけています。患者さんに信頼して心の内側を打ち明けていただくためにも、小さなところから気を配るようにしています。
精神科の受診の目安はありますか?
受診の目安としては、普段の自分とは何か違う心の動きがあったときですね。例えば、いつも楽しんでいる趣味が楽しいと思えなくなったときや、気分転換をしても気持ちが晴れなかったり、食事がおいしいと思えなくなったりしたときは、受診の目安となるポイントです。普段の自分とは違うところがあれば、ぜひ気軽に受診していただきたいですね。クリニックに行って、医師と話した結果病気ではないと診断されれば安心できますし、それだけで充分メリットがあるのではないでしょうか。もし何か医療でお手伝いできることがあるのでしたら、早めの来院がその後の回復につながりますので、悩んでいるのであれば一度受診していただきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

少しでも精神科に行ってみようかなと悩んだときは、「精神科に行くほどではないのかもしれない」と決め込まずに、ぜひ一度医師と話して、客観的な判断をもらってみることをお勧めします。精神科は、なかなか人には言いづらい悩みや、心のもやもやを気軽に相談できる場所です。われわれは精神科に受診するハードルをなるべく下げたいと思って活動しています。当院は、かかりたい時にかかれるクリニックをめざしていますし、転勤や転居といった変化があっても、東京と大阪のクリニックとも連携を取っていますので、クリニック間で情報共有が可能です。必要があれば薬の処方もしますが、薬を使うかどうかは患者さんと相談しながら決めますので、ご安心ください。ご自身のことでも、身の回りの大切な方のことでも、何かメンタルで行き詰まるようなことがあれば、気軽に頼りにしていただきたいなと思っています。少しでも悩んでいるのなら、ぜひ一度ご来院ください。