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水原 祐起 院長の独自取材記事

みずはらクリニック

(宇治市/大久保駅)

最終更新日:2023/12/14

水原祐起院長 みずはらクリニック main

近鉄京都線大久保駅とつながるビルにある「みずはらクリニック」。緑色を基調とした院内は、優しい家庭的な雰囲気だ。児童精神科と精神科、心療内科があり、発達障害、摂食障害を中心とした10代の患者を診ている。院長の水原祐起先生は、医学的な分野に加え人間の心理にも興味を持ち、精神科を選んだという。京都府立こども発達支援センターで勤務していた時、身近に相談できる場所の少なさを感じて開業。現在は患者の話を聞き、見立てを行うカウンセリングをベースとした診療を行っているほか、診療以外でも週末にNPO団体での活動を行い、摂食障害の人たちを支えている。「焦らずに、寄り添いながらその子なりの成長を待つことが大事だと思います」と話す水原院長に、児童期・青年期の精神疾患の診療について聞いた。

(取材日2023年11月16日)

児童期、青年期の患者をサポートするクリニック

精神科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

水原祐起院長 みずはらクリニック1

もともと理系と文系の両方に興味があり、京都大学の総合人間学部に在籍していました。一般教養でいろいろと学ぶ中で、だんだんと心理学や精神分析学などが面白いと感じるようになりました。将来の進路を考えた時、医師免許を持っていたほうができることが広がると思い、京都大学は3年で退学をして、京都府立医科大学に入学しました。医師になりたての時、ストレスが原因で体に症状が現れる疾患などを診る心療内科と、統合失調症やうつ病など、心の病気を診る精神科のどちらを専門にするか少し迷いましたが、心療内科より深く精神や心理に向き合うことができると思い、精神科に進みました。

児童から青年期の患者さんを診療されるのには、何か理由があるのでしょうか。

京都府立医科大学の精神医学教室に入局して、統合失調症やうつ病の方は、薬で治療することが多いと知りました。自分としてはもっとカウンセリングや生活に即した治療をしたいと考えていたので、発達障害や摂食障害に悩む若い患者さんを診たいと思いました。幼児期から学童期の発達障害に関しては小児科で診るケースもありますが、思春期から青年期の子たちは診てもらえるところが少ないです。その年代は摂食障害の患者さんも多く、精神症状で食べられなくなり、体重が減って命に関わることもあります。医師になりたての時代にいた救急病院では、摂食障害で救急搬送されてくる子もいました。入院しないと危険なほどに痩せて衰弱しているのですが、そういった患者さんが集中して入院待ちになるほどで。受け皿がない状況を何とかしたいと思い、2011年に摂食障害の患者さんの社会復帰やそのご家族を支援する「NPO法人SEEDきょうと」を立ち上げました。

開業のきっかけを教えてください。

水原祐起院長 みずはらクリニック2

開業前は、京都府立こども発達支援センターの精神科医長を務めていました。京田辺市にありますが、京都府南部全域から予約が来て、非常に混んでいました。発達障害の患者さんは増えているのに地方には精神科の医師が少なく、さらに子どもの精神疾患の患者を診ることができない病院も多いです。そういった状況を改善するために、クリニックを開いてキャパシティーを増やすことが必要だと思い、2023年に開業しました。ここは宇治市ですが、木津川市や京都市からも患者さんが来られます。小学生から中学生、高校生、青年期の方を対象としていますが、今は9割近くが10代の方です。18歳未満の未成年の患者さんは、基本的には保護者の方に同席してもらっています。

焦らずに、子どもを長いスパンで診る

どういった相談が多いですか。

水原祐起院長 みずはらクリニック3

発達障害かどうか診てほしいというご相談が多いですね。発達障害は、診断が難しいケースもありますが、特性の強さの度合いとそのお子さんが今いる環境との兼ね合いで、支障を来たしているかが問題となります。特性がまったくなくて支障を来たしていたら、それは医療で対応するべき範囲なのか微妙なところ。また、特性はあるけれども、それが確定的ではないという場合もあります。環境によっては適応できたり、あるいはできなかったりするケースです。適応できない間は一時的に診断がつきますが、成長に伴って、ないしは本人の努力や治療によって改善されれば適応できていると捉え、診断がつかなくなることもあります。思春期から青年期では、摂食障害の方も多いです。不安が強い、完璧主義、こだわりが強い、柔軟性がないといった性格である傾向が多いですが、診察室でのカウンセリングだけでなく普段の生活の経験の中から改善を図る必要があります。

不登校の子についてはいかがでしょうか。

小・中学校の間、特に中学校は不登校率が高いですが、高校になると不登校率は下がります。小・中学校は地域にしかなく、そこに合わない子が一定数出てきますが、高校は自分に合った環境を選んで進学するので適応しやすいからです。基本的には年齢を重ねながら良くなっていく子がほとんどで、上手に寄り添いながら、その子なりの発達や成長を待つこと、長いスパンでその子の人生を考えることが大事だと思います。診察では大勢の患者さんを診るので、一人ひとりに深く関わることは難しいですが、小学2年生くらいから診はじめて高校卒業まで通ってくれた子がいました。実はそれほど長く関わる大人は、親以外にいないですよね。学校の先生は当然、子どもが自分の学校にいる間に何とかしたいと考えますが、高校や卒業後、子どもたちはぐんと伸びることが多く、そこを見据え、焦らずに取り組むことが大事かなと思います。

休日の過ごし方を教えてください。

水原祐起院長 みずはらクリニック4

休日は、摂食障害の方やそのご家族をサポートするNPO団体の活動を行っています。生活の中での経験が、治療につながるとの考えから立ち上げました。NPO団体の活動は私にとってライフミッションと捉えています。ワークライフバランスとよく言われますけど、それよりも、「ワークアズライフ」という考えのほうに共感しますね。「人生としての仕事」って良いなと。仕事のやりがいが大きいので、あえて趣味で気晴らしをしなくてもよいかなと思っています。

「特性」を受け入れる社会にしたい

心がけていることを教えてください。

水原祐起院長 みずはらクリニック5

親御さんやご本人がどんな気持ちで受診されているか、どういうニーズをお持ちなのか、常に考えるようにしています。医学的に「こうです」と言うのは簡単ですが、それをストレートに言うだけでは傷つくことも多いと思います。例えば薬に関しても、「この段階では飲まれたほうが良いと思います」とお伝えした場合、飲ませたくないと思う親御さんには、もう少し踏み込んで「どういうところが心配ですか」とその理由をちゃんと尋ねます。また相談されたことに、医学的な答えがないことも当然あるわけで、そういう時は「わからない」と、間違っていた時は「ごめんなさい」と素直に言う。医師と患者は対等であり、伴走者でありたいと考えています。

今後の展望をお聞かせください。

地域の放課後デイサービスや児童相談所、支援学校と密に連携を取りたいです。そういった施設は、患者さんの特性をよく理解して、支援をされています。でも、例えば医師の診断書がいる、投薬が必要といった場合に、対応する医師が地域に少ないと感じています。なので、まずは地域の精神科の医師としての役割や機能をしっかり果たしたいですね。極端なことを言えば、発達障害の子どもが、本来医療機関にかからなくても生きていける世の中になるのが望ましいと思っています。治るというものではなく特性なので、眼鏡をかけている人が視力障害者といったふうに見られないのと同様、発達障害が障害と捉えられなくなればいいですね。今はまだ過渡期にありますので、発達障害の子どもが生活していく上でできるだけ困らないように支えていきたいです。

読者にメッセージをお願いします。

水原祐起院長 みずはらクリニック6

現代は、専門家に直接会って話を聞かないと情報が得られないという時代ではなく、インターネットで自分で学んだり調べたりすることが大事な社会だと思います。子どもたちのパソコンやスマホ利用についてはある程度コントロールがいりますが、否定的な側面だけを見るのではなく、評価すべき部分があると思います。例えば、昭和世代の大人は「ゲームをする=遊んでいる=悪」のような図式を考えがちですが、今の子たちはパソコンを通じたオンラインの空間で誰かとつながって共同作戦で敵を倒すという、僕らが昔公園でやっていたようなことをやっているんですね。だから、その辺りをこちらが理解して、子どもがどんな世界で生きてるのかをきちんと知って、関わっていく必要があると思っています。

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