小林 和磨 院長、小林 綾野 先生の独自取材記事
こばやし内科クリニック
(みよし市/三好ヶ丘駅)
最終更新日:2025/09/19
みよし市郊外の打越町に2023年9月に開業した「こばやし内科クリニック」は、Kのイニシャルをあしらった六角形のロゴマークが目印。25台分の駐車場をはじめ、待合室や処置室など、どの部屋もゆとりのある広さで、発熱患者用の診察室や腹膜透析室なども備えている。日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医である小林和磨院長と、日本リウマチ学会リウマチ専門医の小林綾野先生が、夫婦二人三脚で診療をする同院は、それぞれ専門分野を軸に総合的な医療を提供。また、2人は日本内科学会総合内科専門医の資格も持ち、子どもから高齢者までの幅広い内科診療にあたっている。「人とのコミュニケーションを大切にしたい」と口をそろえて話す和磨院長と綾野先生に、クリニックの診療内容を聞いた。
(取材日2025年8月6日)
2人医師体制で総合的な内科診療を提供
まずは、開業までの経緯をお聞かせください。

【和磨院長】幼少期は病弱で、よく診療所にかかっていたのですが、その主治医の影響で医師という職業に興味を持ちました。「地域の内科の先生」というのが私の中の医師のイメージとしてあったので、地域の方々と深く関われる開業医となり、専門の腎臓疾患はもとより幅広い内科疾患を診療していきたいと考え、2023年に開業しました。豊田市出身で、勤務医時代にはみよし市で暮らしていたこともあり、この地域には親しみを持っています。医師になりたての頃から患者さんと関係性を築くことにやりがいを感じていて、特に腎臓内科は患者さんと長く深く関わるケースが多いので、そういう意味でも自分に向いていると思っています。
綾野先生が医師になったきっかけ、ご経歴について教えてください。
【綾野先生】私が医師をめざしたきっかけは、高校1年生の時に妹が救急車で運ばれた経験です。目の前で人が倒れたのに何もできなかった自分が悔しかったことから、医学に興味を持ちました。医学生になって、「今後女性医師として自分には何ができるのか」を考え、女性医師だからこそ話しやすい環境を作り信頼を得ることが一つの目標になりました。関節リウマチや膠原病は女性に多い病気で継続的な治療が必要なので、患者さんとじっくり向き合っていきたいと考えています。医師になってからは、弥富市にある海南病院の膠原病内科で経験を積みました。そこでは、関節リウマチや膠原病以外にも不明熱の患者さんなども多く診察しました。また関節リウマチや膠原病は、病気自体の影響や治療薬の影響などで生活習慣病や骨粗しょう症を発症することもあり、内科全般の研鑽を積むことができました。現在も週に4日は名古屋記念病院の総合内科部門で診療をしています。
綾野先生は、昨年の6月からリウマチ科で診療をされているそうですね。

【綾野先生】開院時期と出産が重なったことで少し遅れましたが、2024年の6月にリウマチ科を開設しました。現在は、水曜の午前に診療をしています。リウマチ科では関節痛の患者はもちろん、原因不明の発疹や口内炎、シェーグレン症候群という目や口が高度に乾燥する病気の方などが多く来院されます。関節リウマチは、かつては痛みを軽減するための治療が中心で、関節の変形が強くなったら手術するというのが一般的でしたが、現在は、メトトレキサートやJAK阻害薬という内服薬、生物学的製剤という注射薬も登場したことで、関節の変形や破壊を減らし、患者さんの生活の質を改善することが治療の目標になっています。患者さん一人ひとりの状況に合わせて薬を選ぶことができ、関節の変形が進む前に治療を始められるようになったことは、リウマチ治療における大きな進歩だと感じています。
大規模病院に行かなくてもクリニックで腹膜透析が可能
どのような患者さんが来られていますか?

【和磨院長】多いのは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の患者さんと腎臓疾患の患者さんですね。腎臓疾患の患者さんは生活習慣病を合併していることも多いので総合的に対応しています。生活習慣病の患者さんを診療する中で、睡眠時無呼吸症候群が原因で血圧が高くなっている患者さんもいらっしゃったことから、診断するための検査や治療を開始し、患者さん向け勉強会の開催もしました。地域の一般内科として患者さんのニーズに応えていくこともかかりつけ医の役目。アレルギー症状で受診される患者さんが多くいらっしゃり、スギ・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法も対応できるようにしました。これからも来院してくださる患者さんのお役に立てるよう広い視野を持って診療を進めていきたいです。
こちらで行っている腎臓病治療について教えてください。
【和磨院長】腎臓は尿を作る以外にも、血圧、貧血、骨の形成など多くのことに関与します。当院ではそれらを踏まえた総合的な診療を行い、また腎機能維持・改善のため、管理栄養士による栄養指導も行っています。また、腎不全が進行した場合には腎代替療法の選択が必要です。透析といえば血液透析を思い浮かべる方が多いと思いますが、血液透析は週3回の通院と治療時に血圧が不安定になるのがデメリット。当院で診療可能な腹膜透析は、手術で留置したチューブを用いておなかの中に透析液を注入することで腎機能を代替する治療で、自宅でできる透析方法です。また、腎移植についても当院から高度医療機関への紹介を行っています。それぞれの治療法に一長一短はありますが、腎臓専門医・透析専門医として正しく情報を伝えています。患者さんには、血液透析、腹膜透析、腎移植の各治療の説明を聞いた上で自分に合った方法を選択してほしいというのが私の思いです。
検査体制について伺います。

【綾野先生】リウマチの診断には、血液検査とエコー検査、場合によってはエックス線検査も行います。関節リウマチは、早期の治療開始でその後の関節の変形が予防できるので、早めに診断をつけることが大切ですが、他の関節痛を起こす病気との区別が難しいので、できればリウマチ専門医のいる医療機関で検査を受けてみてください。
【和磨院長】エコー検査は低侵襲の検査なので、積極的に行っています。腹部エコーに加えて心エコーや頸動脈エコーも導入し、動脈硬化などの診断にも使っています。また、簡易的な採血や尿検査は院内で当日に結果をお伝えすることが可能です。また各検査において、より詳しく調べる必要がある場合は外注検査になりますが、大きな病院と遜色のないよう、できる限り当院で診断できるようにしています。骨密度はガイドラインで推奨されているDEXA法で腰椎と大腿骨での計測が可能です。
「この先生になら相談できる」をめざして
診察や治療での患者さんとの接し方についてはどうお考えですか?

【和磨院長】腎臓病もリウマチも慢性疾患なので、患者さんの背景も考えた継続的な治療という点では似ていると思います。なので、私も妻も、患者さんの話にできるだけ耳を傾け、患者さんが納得して治療を進められるよう診療したいと考えています。患者さんが納得することは服薬の継続にもつながりますし、治療においても良い結果が期待できると思うんです。2人とも人が好きで、内科に向いていると思い内科医への道を選択しました。治療を頑張っている患者さんの体調や検査の結果が少しでも改善したら、喜びを共有していきたいですね。
地域のクリニックとしてイベントも開催しているそうですね。
【和磨院長】年に数回、院内で講演会や体操教室などのイベントを行っています。地域の方々の健康増進も開業医の務めだと考えているので、日頃の感謝の気持ちを込めて毎回、いろいろな企画を練っています。今年の夏には、健康夏祭りを企画し、キッチンカーを呼んだり、輪投げや的当てなどのゲームを用意したり、健康体操や骨の健康チェックなどを準備しました。入場無料でどなたでも参加できますから、ご家族そろって来ていただけるとうれしいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【綾野先生】関節の違和感や痛みで困っていることがあれば、早めの受診がお勧めです。リウマチという病気は自分では気づきにくいので、間違っているかもとためらわず気軽にご相談ください。
【和磨院長】一人ひとりの患者さんとしっかり向き合っていくことが地域全体の健康につながると考え、できることを積み重ねていきたいと思っています。私たちは、どちらかというとじっくりと患者さんと付き合っていくタイプの医師です。「この先生になら相談できる。ここなら何度通ってもいいな」と思っていただけるクリニックを今後もめざしていきます。

