都筑 俊寛 院長の独自取材記事
コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京
(千代田区/日比谷駅)
最終更新日:2025/04/23

ラグジュアリーホテルの一角にある「コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京」。現代アートをさりげなく飾った贅沢な空間で待っていてくれるのが、院長の都筑俊寛(つづく・としひろ)先生だ。めまいの研究に携わったフランス国立神経研究所とは今もつながりがあり、エッフェル塔をあしらったロゴマークなどパリの香りがそこかしこに漂う。いびき、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー性鼻炎、花粉症などへのレーザー治療を数多く手がけてきた実績を持つスペシャリストでもある都筑院長。待合室のテディベアに耳鼻咽喉科のトレードマークでもある額帯鏡を自作して取り付けるなど、いたずら心にもあふれている。「新たに難聴の治療にも注力したい」という都筑院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年9月21日)
探究心が尽きない耳鼻咽喉科診療
耳鼻咽喉科を志したきっかけから教えていただけますか。

きっかけは、耳鼻咽喉科は手術ができる診療科であるという点でした。しかし、学んでいくうちに外科的なスキルだけではなく内科的な診断学も必要という奥深さに気づき、ますます引き込まれていったんです。特にめまいは、患者さんの訴えから名探偵のように原因を推察していかなければいけない点も非常に面白いと思いました。さらに、嗅覚は第1脳神経、聴覚は第8脳神経、声帯の動きは脳の延髄から迷走神経を経て咽頭に達する反回神経が支配しているため、神経学的な勉強も必要です。聞こえは認知の問題、平衡感覚は小脳との関連性もあります。耳鼻咽喉科は医学の全範囲を網羅しているといっても過言ではありません。探究心が尽きることはなく、この道を選んでよかったですね。
フランス国立神経研究所でめまいの研究にも携わりました。
浜松医科大学では、めまいを専門とする鈴木淳一先生のもとで学びました。鈴木先生の勧めもあってフランスに留学することになったのですが、まったくフランス語がわからない状態からの挑戦でした。語学から学んだコレージュ・ド・フランスは今でもつながりがあり、クリニック名の由来にもなっています。パリでの生活も2年が経過する頃、論文が掲載されたのを機にフランス国立神経研究所でめまいの研究に携わることになりました。帰国後は帝京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科に入局して20年間勤務しましたが、その間もフランスから研究に来ないかと声がかかることもしばしば。勤務医のままでは難しかったので開業を決意しました。
以来、レーザー治療に特化した診療を続けて来られました。

2009年に銀座3丁目に開業した当時から、いびき、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー性鼻炎、花粉症のレーザー治療を専門的に行ってきました。レーザー治療に特化したのは、もともと手術が好きだったからです。中でもレーザー治療は痛みや出血などがほぼなく、患者さんの体への負担も少ないので、早くから積極的に取り入れてきました。2024年に日比谷に移転したのは、新たに難聴に関する治療にも取り組みたいと考えたからです。少しでもぜいたくな気分を味わっていただけるようにとラグジュアリーホテルの一角という場所を選びました。もちろん、レーザー治療も、これまでどおり続けていきます。通院でふさがりがちな気持ちが少しでも晴れやかになるように、待合室もホテルライクにコーディネートしました。
いびき、睡眠時無呼吸症候群治療に注力
いびき、睡眠時無呼吸症候群の治療について詳しくお聞かせください。

いびきは肥大した口蓋垂(こうがいすい)いわゆる「のどちんこ」や舌の付け根に気道がふさがれ、狭くなっているところに空気が通ることによって起きます。その中でも気道が完全にふさがれて呼吸が一時的に完全停止してしまうのが睡眠時無呼吸症候群です。いずれも、レーザーで口蓋垂とその周囲を切り取り、空気の通り道を確保することで改善が見られることもあります。睡眠時無呼吸症候群ではCPAP治療が一般的ですが、「機器の装着感が苦しい」「出張に持っていけない」と途中で断念してしまう人も少なくありません。しかし、高血圧、糖尿病、うつ、不安障害などのリスクもあるので、放置したままというわけにはいきません。口蓋垂肥大だけではなく肥満も睡眠時無呼吸症候群の原因の一つなので、太っている人には無理のない食事指導なども合わせて行っているので、早目にご相談ください。
アレルギー性鼻炎や花粉症もレーザーで治療できるのですね。
ハウスダスト・ダニによるアレルギー性鼻炎や花粉症による、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりもレーザー治療で改善を図れます。鼻の中の下鼻甲介(かびこうかい)と呼ばれる部分にレーザーを照射することで、鼻の通りの改善を図ることができるんですね。ただ、いびきや睡眠時無呼吸症候群とは違い、こちらはあくまでも対症療法になります。症状がぶり返してしまう恐れもありますが、レーザー照射は何度でも対応できます。また、花粉症を予防するために年に1度のペースで利用するという方法もあります。舌下免疫療法との併用も可能です。
難聴について教えていただけますか。

後天的な難聴の原因は大きく分けて3つあります。一番多いのは加齢で、年齢とともに高い音からだんだん聞こえなくなるのですが、老眼と同じように誰でもあることです。その他、突然聞こえが悪くなる突発性難聴、めまいや耳鳴りを伴うメニエール病による難聴があります。いずれも、問題が生じているのは聴覚に関わる神経です。この神経にアプローチできれば改善も図れるのではないかと私は考えています。いずれにしても、まず十分な事前検査が欠かせません。当院では一般的な聴力検査ボックスの他、それだけではわからないデータも取得できるよう先進の検査機器も完備しています。補聴器のいらない生活を希望している方も、ぜひ一度ご相談ください。
原因を正しく突き止め適切に治療する
お忙しい毎日ですがリフレッシュ法などはありますか。

新国立劇場のオペラハウスなどに、お気に入りの演目の公演がある時に出かけています。フランスにいた頃にも、オペラはよく観ました。イタリアオペラはたとえ悲しい結末でも、恋のパートだけは盛り上がる、晴れやかなところがいいですよね。今でも時々、フランスに行きますが、留学時代に住んでいたカルチエ・ラタンは必ず立ち寄ります。やはり、懐かしいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

いびき、鼻詰まりは、「病院に行くほどではない」と放置されがちです。しかし、いびきが脳疾患や心疾患とも関係する睡眠時無呼吸症候群の可能性があるように、重篤な病気のサインということもあります。また、日本では離婚の原因は性格の不一致で濁されていますが、欧米諸国ではいびきが上位なのは明らか。もし、パートナーに少しでも指摘されたら、できるだけ早く受診するようにしてください。また、一人でも多く補聴器なしの生活ができるようにしていきたいとも考えています。生活の質を上げ、家族と楽しい時間を過ごすためにも、耳から幸せを守るお手伝いをさせてください。