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牧野 裕子 院長の独自取材記事

まきのブレストクリニック

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2023/10/23

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック main

宮崎駅西口から高千穂通りをまっすぐ西へ歩いて約10分、宮崎市中心部の橘通3丁目交差点に面したビル2階に、2023年8月に開業した「まきのブレストクリニック」。その名のとおりブレスト(乳腺)を専門とするクリニックで、乳がん検診や乳がんの術後の治療・ケアと乳腺の病気の診療を行う。県立宮崎病院で12年間、乳がん診療に携わった経験を持つ院長の牧野裕子先生は、気軽に胸の悩みを相談でき、乳がん検診を抵抗感なく受けられるクリニックがあれば、乳がんの早期発見はもちろん、患者にじっくり寄り添う診療ができるのではないかと考え、開業に至ったという。病気や治療への不安に加え、治療中の家事や育児の負担に悩む気持ちにまで、患者の思いをしっかり受け止め、全力でサポートしたいと熱い思いを語ってくれた。

(取材日2023年8月25日)

乳がん検診と乳腺疾患・乳がん診療の専門クリニック

乳腺外科というと読者になじみが薄いかもしれません。診療内容を教えてください。

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック1

当院は乳がん検診と乳腺疾患・乳がん診療の専門クリニックです。診察や検査は女性医師や女性技師が行います。乳がん検診では、視触診、マンモグラフィ、超音波検査により、症状のない方に対し乳がんの早期発見をめざします。乳房痛、しこり、張りや皮膚の変化など自覚症状がある方、検診で精密検査が必要とされた方、以前に乳腺疾患にかかったことのある方に、マンモグラフィ・超音波検査・組織生検・細胞診などを行い、必要に応じて定期的な経過観察をします。より精密な検査や手術が必要な方、別の診療科の診察が必要な方には、連携病院への紹介を行います。そして、他院にて乳がんの手術をした患者さんには術後のケアを行います。具体的には、長期にわたるホルモン療法の継続や血液検査、画像検査、術後治療を終えた後の定期的なフォローになります。

先生は、なぜ乳腺外科を専門に選んだのですか?

歯科医師の父の影響と、私自身が喘息やアトピー性皮膚炎で悩んだ経験から医師を志し、九州大学医学部に進みました。もともと外科分野は考えておらず、学生時代は小児科をめざそうと思っていました。でも、大学卒業後、浜の町病院で臨床を学ぶうちに外科に興味が出てきて、九州大学病院の小児外科に進みました。小児外科は非常にやりがいがあったけれど、新生児の体温を維持するウォーマーを照射しての手術などもあり、体力的に厳しく続けるのが難しくなり、最初にお世話になった浜の町病院の外科へ移りました。すると、女性の外科医が少ないため、女性の患者さんから「話しやすい」「相談しやすい」というお声をいただいたんです。特に多かったのが乳がん患者さんからでした。そこで、乳腺外科なら、自分が外科領域を続けられて、なおかつ患者さんの役に立てるのではないかと思い、乳がんの診療に携わることになりました。

開業を決めた理由をお聞かせください。

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック2

県立宮崎病院で乳がん患者さんの声を聞き、「どこを受診すればいいかわからなかった」「怖くて受診できなかった」「忙しくて受診しそびれた」など、受診に踏み出せない方が多くいらっしゃると知りました。また、乳がんは治療期間が長くかかる病気。手術が終わった後も、投薬治療や定期的な経過観察で、最長で10年くらい通院が必要になります。治療後の経過観察期間が終了した方も心配だからその後も診てほしいという方がいます。街中に乳がんの検診や治療を専門にするクリニックがあれば、そういう方々の受診のハードルを下げ、通院しやすいのではないかと開業を考えるようになりました。この場所は他科のクリニックを閉めることになったからと声をかけていただいた場所で、宮崎市中心部なので働く女性も通いやすくデパートなどで買い物ついでに立ち寄ったりできそうで、県立宮崎病院とも連携が取りやすい理想的な場所が見つかって良かったです。

乳がん患者の心に寄り添い、納得の医療を提供したい

どのような症状があったら受診すればいいですか?

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック3

乳がんの自覚症状は、人によってさまざまです。しこり、胸の張り、痛みをきっかけに見つかったり、進行すると出血することもあり、湿疹と思って皮膚科に行ったら乳がんだった、というケースもあり得ます。何か胸に気になる症状があったら、相談に来ていただきたいです。問診や視触診で疑わしいと思ったら、マンモグラフィやエコーなど、必要な検査をします。もし、皮膚科や内科など他の診療科の領域と判断したら、ご紹介します。また、自覚症状がなくても、年齢的に気になるから検査したいとか、宮崎市から乳がん検診の案内が送られてきたという方は、検診にいらしてください。

診療の際にどのようなことを心がけていますか?

患者さんになぜこの検査をするのか、この処置や治療が必要なのか、専門用語は極力使わず、撮影画像を見せるなどわかりやすく説明して理解・納得していただけるように心がけています。医師側も患者さんの意図を理解することが必要です。例えば、患者さんが治療を受け入れられないときは何に引っかかっているのかヒアリングするとか診察時には気持ちが高ぶっていた患者さんも落ち着いたら気持ちが変わることもあるので、「お気持ちは変わりませんか」と時間をおいて再度問いかけることを行っています。また、気になる所見があり再診を勧められていた患者さんがお子さんのことや仕事や家事で忙しく受診ができず、再度受診した際はすでに病状が進んでいたケースもありました。ご家族も気にかけていただけるよう寄り添っていきたいと考えています。患者さんの意思を尊重しつつ、医師として最善の治療を提案するために押すべき時は押すことが大切です。

乳がん患者の気持ちに寄り添うことも大切ですよね。

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック4

県立宮崎病院で多くの患者さんを診察しました。温存が難しい状態と診断されたけれど、どうしても乳房を残したいと悩む方、逆に十分に温存が可能でも残すことに強い不安を感じ、手術して気持ちをすっきりしたいという方、全切除術後に乳房再建術を望む方、再建は不要という方など、思いも人それぞれです。また、病気そのもの以外でも、女性特有の悩みを打ち明けられることも少なくありません。現代の女性は仕事や家事、育児で多忙です。「入院中に家のことが気になる」「家族が手術前は気遣ってくれたのに退院した途端、まだ痛みがあるのに育児も家事も手伝ってくれない」とはよく聞く話です。また、ホルモン療法で気持ちが落ち込んでしまう方もいます。私は、患者さんとおしゃべりするのが好きですし、悩みなどを吐き出してスッキリするだけでも違いますので、診療の合間に「最近どう?」と問いかけたりもします。

早期発見のためにも検診や相談に来てほしい

休日のリフレッシュ方法や趣味などあればお聞かせください。

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック5

子育てに追われてなかなか行けないんですが、ミュージカルを見るのが好きで、学生時代はアルバイト代を注ぎ込んで観劇に行っていました。勤務医時代に比べると、週末はしっかり子どもと過ごす時間が取れているので、子どもが興味を持ってくれたら、一緒に劇場に行きたいですね。

今後の展望をお聞かせください。

まだ開業したばかりなので、紹介の患者さんが多いですが、通勤や買い物の途中で当院のことを知って、「乳がん検診してみようかな」「気になるから相談に行こうかな」と、気軽に頼っていただける「とりあえず相談できるクリニック」であり続けられるように患者さんの声に耳を傾けていきたいと思います。また、宮崎では乳腺外科という診療科があまり知られていない印象ですので、今後はもっと認知度を高めていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

牧野裕子院長 まきのブレストクリニック6

勤務医時代から数えて12年間、乳腺外科を専門に診察してきて、20代、30代の若い患者さんが以前と比べると増えていると感じます。その一方で、80代、90代でも発症することもあります。若い患者さんには、幼いお子さんを抱えて入院や長期の通院をする不安があったり、ご高齢の患者さんには、体の負担になる治療はしたくないのにご家族が治療を希望されて板挟みになったりと、年代ごと、患者さんごとにお悩みもさまざま。だからこそ、一人ひとりの患者さんの気持ちに寄り添った診療を提供したいです。統計では、女性の9人に1人が乳がんになるといわれます。怖い病気というイメージだと思いますが、受診して何もなければ一番ですし、もし、何かあっても早期に対応するほど治療の選択肢も増えます。早期発見のためにも、一歩踏み出して検診や相談にいらしていただきたいです。

自由診療費用の目安

自由診療とは

マンモグラフィ+超音波検査(30歳以上)9900円、超音波検査(30歳以上、ペースメーカー留置等、マンモグラフィが不可の方)6600円※いずれも自覚症状がない方になります。自覚症状がある方は保険内診療となります。

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