小児アレルギーの専門家に聞く
アトピー性皮膚炎の傾向と対策とは
出町柳こどもクリニック
(京都市上京区/出町柳駅)
最終更新日:2023/10/12


- 保険診療
食物アレルギーに気管支喘息、アトピー性皮膚炎など、今では子どもの4割近くが抱えているという小児アレルギー。このまま慢性化したらどうしようと、わが子の行く末に気をもんでいる親も大勢いることだろう。将来のために今のうちに何をすべきか、その疑問に答えてくれるのは、経験豊かな小児科の医師であり日本アレルギー学会アレルギー専門医でもある「出町柳こどもクリニック」の安齋祐子院長。子どもがアトピー性皮膚炎だった場合の留意点やスキンケアの是非、専門家による診療の重要性など、親が対処すべきポイントを専門家の立場から詳しくアドバイスしてもらった。
(取材日2023年9月11日)
目次
アトピー性皮膚炎と簡単に決めつけず、アレルギーの専門家に判断を委ねることが重要
- Qアトピー性皮膚炎は食物アレルギーにつながると聞きましたが。
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A
▲小児科・小児のアレルギーを専門とする安齋院長
アトピー性皮膚炎は、表皮のバリア機能が人よりも弱っている状態。荒れている皮膚からいろんなものを吸収してしまうため、気管支喘息や食物アレルギーなどを引き起こす可能性が高まります。食物アレルギーの原因物質は食べ物からと思われがちですが、一番の原因は皮膚から浸透する経皮感作。いくら口にするのを避けていても、ハウスダストには卵や小麦といった食物抗原が微量に含まれており、その上を赤ちゃんがはいはいしたり、ゴロゴロしたりすると、皮膚の荒れている部分から吸収されるという仕組みです。これを防ぐためには肌のバリア機能を補う必要があり、乳幼児期のアレルギー予防には保湿などのスキンケアが有用といわれている理由です。
- Qアトピー性皮膚炎は遺伝とも関係があるのでしょうか?
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A
▲5歳以上で使用できるアレルギーを検査する血液検査機器
アレルギー全般として、親御さんにアレルギーがある場合はお子さんも発症しやすいという傾向にあるため、ご家族のアレルギーは最初に必ずお聞きするようにします。重要となるのはアトピー性皮膚炎かどうかの見極めですが、乳児期の肌は細胞が生まれ変わるターンオーバーが早く、とてもデリケート。よだれやはいはいによる摩擦など、ちょっとした外的刺激で乳児湿疹を起こしているだけというケースもありますので、確実な診断がつくまでは明言を避けるようにしています。だいたい生後2ヵ月から半年のうちに診断をつけることが望ましいですが、いたずらにアトピー性皮膚炎と決めつけず、しっかりと経過観察していくことも大切です。
- Q保湿が重要と聞きましたが、実際にそうなのですか?
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A
▲聞き及んだ情報を鵜吞みにせずにまずは専門の医師へ相談を
今は何かといえばスキンケア、保湿ケアといわれる時代。やって悪いわけではありませんが、そこまでしなくてはいけないものなのかと考えると、やはり情報が独り歩きしているように感じます。保湿剤も決して万能ではなく、かえってあせもになって、かゆみや痛みが出るケースもあり得ます。結論からいえば、通常はそこまで必死になる必要はなく、荒れやすい口周りにワセリンを塗ってあげるだけでも十分でしょう。ただし、先ほどの肌のバリア機能が低下した状態であれば、やはり保湿が必要となります。普通に洗っただけでも肌がカサカサになってしまうようならバリア低下の黄信号。そのあたりの判断も、ぜひ専門家にお任せいただければと思います。
- Qアトピー性皮膚炎の検査・治療は何科を受診すればいいですか?
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A
▲受診先を迷ったときは、まずは小児科を窓口として受信を促す院長
対応クリニックには小児科・内科・皮膚科などがあり、どこを受診すればいいか迷ってしまうこともあるでしょう。アトピー性皮膚炎に関しては私の持論ですが、まずは小児科で大まかな原因の特定や初期治療を受けることをお勧めします。小児科と皮膚科で決定的に違うのは薬の使い方で、強いステロイドでも皮膚科の先生は適切に処方されますが、やはり副反応が気になるもの。そう考えればまずは小児科で診療を受け、重症化や改善が見込めない場合に皮膚科を紹介してもらうのが順当でしょう。小児科は全身を診る診療科ですから、すべてに完璧ではありません。その分、必要であれば専門家へうまく橋渡しすることも私たちの重要な役目と考えています。
- Qアレルギー専門医を受診するメリットを教えてください。
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A
▲同院では舌下免疫療法などにも力をいれている
進化するアレルギーの世界に追従し、豊富な知識量を有していることがアレルギー専門医の最大の特徴です。うちの子は食物アレルギーといわれて食べさせていないが、今後どうしたらよいかわからない、なんとなく気管支喘息っぽいとか、なんとなくアトピー性皮膚炎っぽいと言われているが本当にそうなのでしょうか?とセカンドオピニオンを求めて受診される方も多くいます。ちょっと説明が足りない、納得がいかないという場合は、一度きちんと調べればすっきりすることも。中にはどうしても治らないケースもありますが、どうすればうまく付き合っていけるのか、包括的なアドバイスが受けられるのもアレルギー専門医を受診するメリットだと思います。