後悔しないためのヘルメット治療
乳児の頭の形のゆがみの改善に
出町柳こどもクリニック
(京都市上京区/出町柳駅)
最終更新日:2025/02/07


- 自由診療
子どもの頭のゆがみを矯正する方法として、近年注目されている「ヘルメット矯正治療」。子どもの将来のためを思って治療に踏みきりたいと考える一方で、デメリットや危険性なども気になる保護者が多いのではないか。「ヘルメット矯正治療はあくまでも選択肢の一つ。保護者が子どものために一生懸命考えることが、後悔を残さないために必要」と話すのは、「出町柳こどもクリニック」の安齋祐子院長だ。頭のゆがみは成長・発達に影響がないといわれ、必ずしも治療を行わなければいけないものではないため、重要なのは保護者の思い。治療推奨期間が短い分、少しでも気になるなら早めの相談をと呼びかけている。今回は、ヘルメット矯正治療について、治療内容や治療を勧めるケースなどについて聞いた。
(取材日2025年1月17日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q頭のゆがみを改善するためにはどんな方法があるのでしょうか。
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A
まず、寝るときや抱っこするときの向きを変える体位変換、赤ちゃんが起きている間にうつ伏せで過ごすタミータイムなどの理学療法があります。生後3ヵ月までのお子さんや、頭のゆがみが軽度でヘルメット矯正治療をしてもあまり変化がわかりにくいような場合は、理学療法で様子を見ます。ただし、ゆがみの度合いが強ければ理学療法だけでは一定のゆがみが残るといわれています。そこで、赤ちゃん自身の頭蓋成長を利用して本来の頭の形に戻すことをめざすのが、ヘルメット矯正治療です。生後3~6ヵ月の間に治療を開始する必要があるため、ゆがみが気になる場合は早めにご相談いただくことがポイントです。
- Qヘルメット矯正治療をすることで危険や悪影響がないか不安です。
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A
矯正治療中はアプリで管理を行い、保護者とクリニックが情報共有できるようになっています。まれに皮膚が赤くなったり水疱ができたりといったトラブルがありますが、写真をアプリに入れてクリニックまでお電話いただければ、処方している薬の塗り方やすぐに受診が必要かどうかなどアドバイスが可能です。また、当院は京都府立医科大学附属病院の脳神経外科と連携しています。治療を始める前に骨の病気がないかを確認したり、治療途中で思ったように進まない場合は再度診てもらったりとバックアップがあることが強みです。複数の目で見ながら治療を進められますし、脳神経外科の医師の協力があることで保護者や私自身の安心にもつながっています。
- Qヘルメット矯正治療が必要かどうかの判断基準を教えてください。
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A
骨の病気などが原因でない限り、頭のゆがみが脳の発達や成長に影響することはないといわれています。ただ、耳の位置の左右差によって眼鏡の調整が月に1度必要になった、いわゆる「絶壁」で希望する髪型にならないなど、保護者が感じた苦痛をお子さんにさせたくないと、ご相談に来られることが多いです。つまり、大きな判断基準になるのは、保護者が気になるかどうか。ヘルメット矯正治療は保険適用がなく費用も高額なため、あくまでも選択肢の一つです。治療が推奨される期間は生後3~6ヵ月なのでお子さん本人が決められない分、保護者が一生懸命考えて答えを出したのなら、どんな選択をしても後悔することはないのではないでしょうか。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1ヘルメット矯正治療を提供している医療機関を受診
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頭がゆがんでいるように感じる、寝ているときの向き癖が強くて心配など、気になることがあればまずはクリニックを受診する。生後3~6ヵ月が推奨される期間だ。すぐに治療を始めたいと考えているなら、両親そろって受診すれば話がスムーズだという。同院で頭の形の相談を希望する場合は、3日前までに電話で予約を。
- 2説明を受け、ヘルメット矯正治療を選択するか決める
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ヘルメット矯正治療について説明を受ける。治療期間はめざす頭の形や治療開始時期によって異なるが、3~6ヵ月程度。その他、治療中は1日1回ヘルメットの中の綿を洗濯し清潔を保つことなど、注意点の説明を受け、治療を行うか決める。同院では、疑問や質問が一つもない状態まで説明することを重視している。
- 3病的な疾患が原因でないか検査を受ける
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骨の病気がないかを確認するための検査は、連携する京都府立医科大学附属病院の脳神経外科を受診。早期に治療開始を希望する場合は、同大学附属病院で金曜日の午前中に検査を受けたあと、午後にクリニックでヘルメット作製を進めることも可能だ。ヘルメット治療を選択しなかった場合についても医師の判断や保護者の希望に合わせ脳神経外科を紹介することがあるという。
- 4矯正ヘルメットの作製・装着
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同院では、作製前の段階でも「よくわかっていないことは残っていないか」必ず聞き、保護者の不安解消に努める。何も疑問や不安が残っていなければ作製に移る。頭の形が立体的になるよう9点の写真を撮影。2週間以内に装着日を設定し、オーダーメイドで作製する。初回の装着日は、ヘルメットをかぶせた後、30分ほど院内で待機。ヘルメットの痕がつく場所などを確認しながら、中の綿を調整すれば帰宅可能だ。
- 5装着時間の記録をしながら定期的に受診する
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入浴中以外は装着が基本だが、汗を拭くために外す程度なら問題はない。また、最初の1週間はトラブルに気づきにくいため、3~4時間ごとに外して頭の様子の確認を。気になる症状があれば写真をアプリにアップし、クリニックに連絡する。装着から1週間後には、大きくてすぐ外れてしまう、1ヵ所だけ圧迫痕ができるなど困っていることを確認し、ヘルメットの調整を再度行う。その後は月に1度通院し、ゆがみの改善をめざす。
自由診療費用の目安
自由診療とはヘルメット矯正治療/38万円