秦 俊尚 院長の独自取材記事
はた眼科
(飯塚市/飯塚駅)
最終更新日:2023/09/28
福北ゆたか線飯塚駅から徒歩約5分。2023年7月29日にグランドオープンしたゆめタウン飯塚の2階に同時オープンした「はた眼科」。院長の秦俊尚先生は、異業種から眼科の医師に転身した経歴の持ち主だ。院内は白を基調としていて、明るく清潔感があり、とても爽やかな空間となっている。商業施設内のクリニックということでアクセスも非常に良く、買い物などをしながら待ち時間を有効に使えるところが魅力だと言える。同院には視力と眼圧を測るレフラクト・ケラト・トノメータやOCT、視野計などの設備も整っているほか、硝子体注射にも対応。「これまで子どもからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんを多く診てきました」と語る秦院長は、眼科のゼネラリストだ。そんな秦院長に、新規開業に対する熱意や今後の展望などについて聞いた。
(取材日2023年8月29日)
製薬会社での経験をきっかけに、眼科の医師へ転身
ゆめタウン飯塚に開業することになった経緯を教えていただけますか?
北九州市内のクリニックで働いていた時に、以前勤めていたクリニックに隣接するコンタクトレンズ販売店の方から「ゆめタウン飯塚に開業しませんか?」というお声がけをいただいたことが開業のきっかけです。「ぜひお願いします」というお返事をさせていただき、良いご縁があったおかげで開業する運びとなりました。ちなみに私は飯塚地区について詳しくなく、現在も北九州市内から通っていますが、新しい土地に飛び込むことについては全然抵抗はありません。これまでに10回くらい引っ越しを経験していますから、どこにでも行けます。むしろ、新しい土地でこれから出会う患者さんのことを考えるとワクワクしています。
先生のこれまでのご経歴をお伺いします。
実は私は、最初から医師をめざしていたわけではなかったんです。佐賀大学農学部を卒業し、小さな製薬会社で研究員をしていました。そしてある時、宮崎医科大学(現・宮崎大学)の眼科に出向しまして、眼科の医師になることに興味を持ったんです。大学病院で手術をしているところを目の当たりにしたり、診療風景を見たりしているうちに眼科の医師になりたいと思いました。製薬会社では約6年勤め、私が30歳くらいの時に大分大学医学部での勉強がスタートしましたね。卒業してからは行橋病院に入局し、2年間の初期研修期間を経て、大分大学をはじめとする大分県内の眼科で約10年間研鑽を積みました。それから、「ゆのはら眼科」で約3年勤め、八幡西区の「さっか眼科」での勤務を経て開業という流れです。
異業種から眼科の医師に転身されるというご経歴をお持ちなんですね。
もともと勤めていた製薬会社では目に特化した研究が多かったものですから、次第に眼科への興味が湧いていきましたね。宮崎医科大学に出向して、医療現場に立ち会った経験がやはり大きかったです。薬を開発することもすごいことなのですが、それ以上に眼科の医師たちに魅了されました。目は人にとって重要なパーツですから、それに対応する眼科の医師は素晴らしいと思ったんです。再び大学で学び直す決断をして良かったと思っています。これまで複数の病院で手術をはじめさまざまな経験をしてきましたので、今後はここで患者さんに貢献していきたいですね。
飯塚地区ではまだ数少ない、硝子体注射にも対応
こちらでは硝子体注射の対応を始められたと伺いました。
はい、例えば加齢黄斑変性症や網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症などが硝子体注射の対象になっています。それ以外にも硝子体注射をすることで症状の改善が期待できる病気がたくさんあるので、開院して1ヵ月以内に設備が整って良かったです。現時点の飯塚地区で、硝子体注射を行っているクリニックはごく少数だと聞いています。なので、当院がさまざまな治療に貢献できたらいいなと思っています。例えば飯塚病院のような大きな病院で硝子体注射を受けた患者さんが、定期的に受診する眼科として当院に通っていただければ引き続き治療ができるんですね。硝子体注射は定期的に打たないといけませんから、その都度大きな病院に行くのは大変なんですよ。そのため、当院のようなクリニックだともっと気軽に通っていただけるのではないかと思います。
開業されて1ヵ月たちましたが、患者層や主訴について教えてください。
当院は、コンタクトレンズの処方を希望される患者さんが8割といった感じでしょうか。その患者さんたちは比較的若い世代が多いですが、10代~50代までと幅広くいらっしゃっています。それ以外の2割の患者さんは地元の方がほとんどで、主にアレルギー性結膜炎などの症状でいらっしゃいます。商業施設内ということで、たまに家族連れで来院されることもありますね。開院してまだ1ヵ月でこれから当院が認知されていくと思いますので、今後はコンタクトレンズの処方を希望される患者さんだけではなく、地元の高齢の方たちも来られるのではないかと思っています。
先生が診療時に心がけていることを教えてください。
患者さんに対しては常に丁寧に接するようにしています。当院は若い世代の患者さんが多いですが、年代関係なく言葉遣いには気をつけていますね。また、患者さんが理解しやすいように、できるだけ専門用語は使わずに噛み砕いて病態を知ってもらうことも意識しています。その上で、納得してもらうまで説明して治療を進めるようにしています。また、今はコンタクトレンズの処方を希望して来院される患者さんが多いですが、事前に検査する段階で緑内障が発覚する可能性も考えられます。このように、別の目的で来られた患者さんに実は重大な病気が隠れていたということもあり得るんですね。なので、目の病気を見逃さないように細部までしっかり検査して、できるだけ早期発見に努めたいと思っています。
眼科の分野で地域住民に貢献していきたい
先生の今後の展望についてお聞かせください。
眼科は基本的に患者層が高齢の方が多いです。白内障や緑内障などは加齢に伴いリスクが上がりますので、高齢の方も気軽に来れるような環境にしたいですね。この地域住民は高齢の方が多いと思いますので、ぜひ買い物ついでに検査に来ていただけるとうれしいです。白内障は手術をすれば視力の回復が見込めるのですが、緑内障は一度なってしまうと治りません。早めに発見して、進行しないように治療していかないといけないんですね。緑内障は40代でも発症しますから、定期的な目の検査が必要です。当院には視野計など緑内障に特化した設備も整えていますので、早期発見に貢献できるよう積極的に検査していきたいですね。
これからどんどんクリニックが進化していくのが楽しみですね。
はい、2023年9月からは視能訓練士を採用しましたので、視力検査のエキスパートが加わります。そしてスタッフの人数を増やして、患者さんへの対応を充実させる予定です。今は若い世代の患者さんが多いですが、今後は子どもから高齢者まで幅広く来ていただきたいですね。どんな患者さんが来てもいいように、今後もさらに設備を充実させたり、患者さんが居心地の良い空間をつくったりしていきます。また当院では手術は行いませんが、周辺の病院と連携を取る体制を整えているので安心して受診してください。例えば飯塚病院や飯塚市立病院などが主な連携先になっていて、手術が必要であればすぐに連絡できます。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
人間が五感から取り入れる情報の、8割から9割が目からと言われています。それだけ目は大切で、不具合が生じたらすぐに生活に支障が出るものです。なので、どんな些細なことでも構いませんから、目のことで気になる点があれば当院にいらしてください。目は加齢に伴い、ぼやけたりかすんだりしやすくなるため、早めに受診してストレス解消につなげていきましょう。また、緑内障のように自覚症状がなく、気づいた時には末期だったということもあり得るんですね。そうならないように、普段から定期的に健康診断を受診することも一つのポイントです。特に強度近視の方や、持病がある方などは緑内障のリスクが上がる可能性がありますので注意が必要です。いずれにせよ、何か困ったことがあれば気軽に相談に来ていただけるとうれしいです。