女性の多くが経験する「尿漏れ」
原因に応じた治療法に迫る
清澄女性泌尿器科クリニック
(江東区/清澄白河駅)
最終更新日:2026/04/15
- 保険診療
多くの女性が抱える「尿漏れ」の問題。自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症状を指すが、40歳以降の女性の約40%以上は尿漏れを経験したことがあると言われている。それほど身近な悩みでありながら、恥ずかしさからなかなか相談できない人や「年のせいだから」と諦めてしまっている人もいるのではないだろうか。「清澄女性泌尿器科クリニック」院長を務める平本有希子先生は、泌尿器科および婦人科を掲げ、女性のデリケートな症状に寄り添ってきた。「尿漏れは、女性であれば誰しもが直面する可能性のある悩み。生活習慣の見直しや薬の服用、トレーニングなどで改善がめざせることを、一人でも多くの方に知っていただきたいですね」。今回は平本院長に、尿漏れの原因や検査の流れ、詳しい治療方法など、気になることを教えてもらった。
(取材日2026年4月6日)
目次
生活習慣の中に原因が隠れていることも、尿の悩みは恥ずかしがらず、そして諦めずに相談を
- Q尿漏れはどのような原因で起こりますか?
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A
▲患者一人ひとりの悩みに真摯に向き合う平本院長
女性の尿漏れは、大きく分けて腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁、そしてこの2つが合併した混合性尿失禁の3種類があります。腹圧性尿失禁については、咳やくしゃみをした時、走ったりジャンプしたりした時、重いものを持ち上げた時など、おなかに力が入ったタイミングで起こります。妊娠・出産や加齢、体重増加などによって、尿道を支えている靱帯や骨盤底筋という筋肉が弱まることが原因です。切迫性尿失禁は、急な尿意に我慢ができず起こる尿漏れを指します。こちらも腹圧性尿失禁と同様に、加齢や体重増加による骨盤底筋が弱まることが原因のほか、子宮脱などの骨盤臓器脱、膀胱がん、脳の障害、脊柱管狭窄症などが原因の場合もあります。
- Q尿漏れを放置した場合のリスクはありますか?
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A
▲プライバシーに配慮された清潔感のある診察室
尿の問題が、直接命に関わることはあまりありません。しかし、症状を放置すると日常生活にも影響を来すようになり、生活の質(QOL)を下げることにつながりかねません。実際に、患者さんからは「尿漏れが気になって、鬼ごっこや縄跳びなど、子どもと存分に遊んであげられない」「バスや車での移動中、トイレが不安で大好きな旅行に行きづらくなった」といった切実なお悩みを聞くことがあります。早期の段階では、生活習慣の改善や薬の使用だけで症状の改善をめざせる場合も多いので、トイレの頻度が増えたり、尿漏れが気になり始めたら、できるだけ早めにご相談いただくことをお勧めします。
- Q尿漏れの診察では、どのような検査を行いますか?
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A
▲痛みの少ない検査を重視している
検査にあたって、検査当日は尿を溜めた状態で来院していただき、エコー検査で膀胱の広がりや結石、がんの有無、筋腫などの婦人科疾患の有無などを調べます。さらに、内診では咳をしてもらい、腹圧がかかった際にどのくらいの尿漏れがあるのかと骨盤底筋の力具合を確認します。必要に応じて尿検査や尿の勢いを測る検査、排尿後の残尿量を調べるエコー検査などを経て、尿漏れの種類や原因の診断を行うという流れになります。また、患者さんには一日の排尿量や飲水量、トイレの回数と時間、一回の排尿量など数日間分の排尿日誌をつけてもらいます。検査中、尿を我慢してもらう場面はありますが、痛みはほとんどありませんのでご安心くださいね。
- Q詳しい治療方法についても教えてください。
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A
▲自宅でのセルフケアにも役立つパンフレット
まずは生活習慣の見直しです。排尿日誌を基に、一日の飲水量が多い場合は量を減らす、体重増加が原因であれば減量するなど、日頃の生活で改善できるポイントを探します。多くの患者さんは、生活習慣の見直しと薬の服用で症状の改善をめざしていきます。また、骨盤底筋のトレーニングも有用です。骨盤底筋を鍛えるために、膣や肛門を意識して締める・緩める、早く動かす・ゆっくり動かすなどのトレーニングを行うというものです。症状が進行し、薬の服用やトレーニングでは改善が難しい場合には、膀胱内にボツリヌス毒素製剤を注入する治療法や、緩んだ尿道を支えるために尿道の下にテープを敷くTVT手術やTOT手術を行います。
- Q日頃からできる尿漏れ対策はありますか?
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A
▲年齢やライフステージに応じた治療を共に考えていく
一つは、自分に適した排尿量や水分の摂取量を知ってもらい、水分不足や水分の取りすぎに注意することです。成人の一日の排尿量は体重1kgあたり20~25mLが目安ですので、体重50kgの方であれば一日あたり1~1.25Lが適量になります。そして、カフェインや炭酸、アルコールは利尿作用や症状を悪化させる可能性があるため、症状がある場合には控えましょう。体重を増やしすぎないことも大切です。骨盤底筋のトレーニングは、症状がなくとも日頃から行うことで、尿漏れの予防につなげていただきたいです。特に、出産を終えた方や尿漏れが増え始める40歳前後の方などは、少しずつでもトレーニングを始めるのが良いでしょう。

