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本田 祐士 院長の独自取材記事

碓井クリニック

(北区/板橋駅)

最終更新日:2026/06/15

本田祐士院長 碓井クリニック main

板橋駅から徒歩3分、ピンクの桜のロゴが目を引く3階建ての「碓井クリニック」。受付を彩る装飾タイルが来院者を迎え、診察室には祖父の医院から引き継いだ人形が飾られている。本田祐士院長は帝京大学卒業後、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医として研鑽を積んだドクター。祖父が1958年に開設した医院を受け継ぐかたちで再開業し、リハビリテーション科を根幹に整形外科・内科・訪問診療まで幅広く対応する。嚥下や痙縮、装具に特化した外来も設け、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がそれぞれの専門性を生かしたケアを提供している。「困ったときにまず気軽に相談に来てもらえる場でありたい」とハキハキとした口調で語る本田院長に、同院のリハビリテーションの特色や地域への思いを聞いた。

(取材日2026年5月7日)

祖父の病を原点に、リハビリテーション科の道へ

クリニックの成り立ちについて教えてください。

本田祐士院長 碓井クリニック1

祖父の碓井茂が1958年からこの地で碓井医院を営み、長年、地域の皆さんの健康を支えてきました。祖父は91歳まで現役で診療を続けていましたが、その後クリニックは約10年間閉じた状態だったんです。祖父が他界し、祖母がいるうちに再開業した姿を見せてあげたいという思い、そして「碓井先生」と聞けばすぐにわかってくださる地域の方への恩返しの気持ちから、2023年4月に再出発しました。1年間運営した後、2024年4月に旧院の隣の現在の建物へと移転しています。クリニック名には地域になじみのある「碓井」を残し、ロゴの桜は北区のシンボルと隣の桜通りにちなんだものです。一輪だけ赤い花はアルファベットの「U」に見えるようにしています。祖父の苗字である碓井の「U」と、私の名前である祐士の「ゆう」の意味を込めました。

先生がリハビリテーション科の道に進まれた経緯を教えてください。

研修医2年目の時、91歳まで現役だった祖父が突然病気で倒れました。駆けつけて母校の帝京大学医学部附属病院へ搬送したのですが、その後、機能回復のためにリハビリテーションに励む姿を目の当たりにしたことが、リハビリテーション科を志した原点です。もともとは心臓血管外科や脳外科のように、自分の手で治す分野に進むつもりでした。しかし当時、大学病院のリハビリテーション科には医師がわずか3人でした。小さな科ではあるけれど、これから大事になる分野だと感じて飛び込みました。その後、専門医資格を取得し、医局長などの経験を積む中で、祖父から学んだ患者さん一人ひとりに丁寧に向き合う姿勢を軸に、地域に根差したリハビリテーションを届けたいという思いが強くなっていきました。現在も帝京大学で非常勤講師を務めています。

広々とした施設が印象的ですが、設計で意識されたことはありますか?

本田祐士院長 碓井クリニック2

当院は、「クリニックを作ってからリハビリテーションのスペースを考える」のではなく、設計段階からリハビリテーションのための空間を確保するという考え方でつくりました。2階にはリハビリテーション室を設け、運動療法の機器に加え、温熱電気や衝撃波を用いた物理療法の設備も整えています。3階にはベッドやトイレでの日常生活動作訓練のスペースと、将来的に体操教室や栄養教室を開けるイベントスペースを用意しました。リハビリテーション中に体調を崩された場合も、1階の外来ですぐ対応できる体制です。全フロア車いすのまま利用できるバリアフリー設計で、エレベーターも完備しています。受付には装飾タイルを施し、診察室には祖父の医院から引き継いだ人形を飾りました。板橋駅から徒歩3分と、どなたにも通いやすい環境ではないでしょうか。

整形も脳も嚥下も。専門の外来と訪問診療で生活を守る

こちらで受けられるリハビリテーションについて教えてください。

本田祐士院長 碓井クリニック3

膝や腰の不調、四十肩・五十肩などに対するリハビリテーションを行う整形外科の患者さんが多いです。加えて、脳卒中後の運動機能回復を目的としたリハビリテーションや、呼吸の持久力が低下した方への呼吸リハビリテーションにも対応しています。例えば、息切れで50メートルしか歩けなかった方が、呼吸法の練習や有酸素運動を通じて100メートル歩けるようになるだけでも、できることは大きく広がります。整形外科だけ、脳の分野だけではなく、リハビリテーションが関わる幅広い領域を支援できるのが当院の特徴です。そのため、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が専門性を生かし、日常生活動作の訓練も含めた一人ひとりに合ったプランを提供しています。

リハビリテーション科を専門とされているからこそできる診療はありますか?

リハビリテーション科専門の医師として、症状に特化した外来を設けています。一つは嚥下専門の外来で、脳のダメージなどで飲み込みが難しくなった方に対し、嚥下造影や嚥下内視鏡の検査を実施できることが当院の特徴です。検査結果をもとにその方に合う食事のアドバイスを行い、飲み込みの訓練まで包括的にお手伝いしています。もう一つは痙縮専門の外来で、脳梗塞後などに筋肉が硬く緊張してしまう状態を和らげるための治療を行います。さらに装具専門の外来では、その方の体に合った装具の調整や義足の製作にも対応しています。こうした外来は専門の医師ならではの診療です。丁寧に対応しています。

内科の診療や訪問診療についても教えてください。

本田祐士院長 碓井クリニック4

内科では風邪やインフルエンザなどの急性疾患や発熱患者さんのための外来のほか、高血圧症・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の定期管理にも対応しています。訪問診療にも力を入れており、北区・豊島区・板橋区を中心に看護師と2人体制で回っています。主な対象は通院が難しくなった方で、外来に通われていた方はもちろん、ケアマネジャーさんや訪問看護師さんからのご紹介がきっかけになることも多いです。ご自宅での看取りについても大学病院等から相談を受け、緩和ケアの対応も行っています。外来の時間は減らさずに訪問の枠を広げたかったので、午前の診療を延長して昼の時間帯に訪問へ出る体制を組みました。患者さんの年齢は幅広い印象です。

患者の声に耳を傾け、地域の「最初の窓口」へ

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

本田祐士院長 碓井クリニック5

最も大切にしているのは、患者さんが何を希望して当院にいらっしゃったのかをしっかり聞くことです。医学的に正しいことが、必ずしも患者さんの求めていることとは限りません。ご本人の希望と医学的な判断の間でグラデーションをつけながら情報を共有し、ご本人にとって一番いいところを提案する。医師としての意見を通すのではなく、患者さん本位の姿勢を大切にしています。また生活習慣病の治療では、数値が良くなった点をお伝えし、モチベーションを保てるよう工夫しています。ご家族と一緒にいらっしゃる方も多く、祖父を知る90歳の方や、その息子さん、お孫さんが通ってくださるなど、世代を超えたつながりが生まれていることもありがたく思っています。

地域の健康づくりに向けた取り組みについて教えてください。

地域包括支援センターの方とお話しする中で、要介護度の高い方へのサービスは充実していても、要支援段階の方のリハビリテーションの場が周辺にないことがわかりました。ご自身でできることは多いものの、そのままだと介護が必要になってしまう方たちです。そこで2階のスペースで集団リハビリテーションを始めました。参加者同士が仲良くなり外出のきっかけになるなど、社会的なつながりの面でも良い影響があるといいですね。3階にはキッチンも備えており、今後は栄養教室や運動教室、調理実習地域の方が集える場にしていきたいと考えています。今年度からは北区の認知症初期集中支援事業に参画し、高次脳機能障害への支援など、区や近隣機関との連携も広げているところです。

今後の展望をお聞かせください。

本田祐士院長 碓井クリニック6

根本にあるのは、困ったときにどこへ相談すればいいかわからない方が、気軽に声をかけられる場でありたいということです。当院で対応できる内容であれば完結させ、行政や大きな病院の支援が必要な場合は適切につなぐ。そうした最初の窓口としての役割を担っていきたいですね。また、今後特に力を入れたいのが、認知症や高次脳機能障害への支援です。体に目立った障害がなくても、日常生活や仕事で困っている方は少なくありません。そうした方が再び自分らしい生活を送れるようお手伝いしていくことが目標です。ゆくゆくは、歯科医師である兄とも協力しながら、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう支えていきたいと考えています。