知らぬ間に減少している骨密度
定期的な検査で早めの対応を
OKP with Life クリニック
(さいたま市北区/大宮駅)
最終更新日:2025/07/01


- 保険診療
私たちの体内では、生涯にわたって日々骨がつくられては壊され、そして壊され吸収されたところにまた新しい骨がつくられるというサイクルを繰り返している。骨粗しょう症は、そのサイクルが乱れ、骨密度が維持できなくなることで引き起こされる。その大きな要因として挙げられるのは、閉経によるホルモン分泌の減少。だからこそ「OKP with Life クリニック」の岡野良知院長は「特に55歳を過ぎた女性の患者さんには、年に1度は骨粗しょう症の検査を受けてほしい」と広く呼びかけている。自覚症状がないため放置したままの人も多く、骨が自分の体重にも耐えられなくなり、ちょっとした圧力から腰椎や大腿骨の骨折につながることもあるそうだ。誰にでも起こり得るという骨粗しょう症について、詳しく教えてもらった。
(取材日2025年5月30日)
目次
めざすは骨粗しょう症の進行カーブを緩やかにすること。特に閉経後の女性は、定期的な検査で骨密度の把握を
- Q骨粗しょう症は、どのような人がなりやすい病気ですか?
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A
▲骨粗しょう症予防には整形外科での定期的な検診を推奨している
最もなりやすいのは閉経後の女性です。私たちの体内では日々骨がつくられ、壊され、また新しい骨がつくられることで骨密度が維持されています。この働きには女性ホルモンが関わっており、閉経によりホルモンの分泌が減少することで、形成と吸収のサイクルがうまく回らなくなるのです。男性も骨粗しょう症になることはありますが、女性は男性の3倍なりやすいといわれています。また年齢に関わらず、子宮や卵巣など女性ホルモンに関わるような病気も骨粗しょう症の発症に影響します。その他、日に当たらない生活によるビタミンD不足や、急なダイエットによる栄養不足が骨粗しょう症を引き起こすこともあるんですよ。
- Q骨粗しょう症になると、どのような症状が現れますか?
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A
▲他の症状での受診がきっかけで骨粗しょう症が判明することもある
骨粗しょう症が進行しても、自覚症状として現れることはほぼありません。当院には、自治体の検診で指摘を受けて精密検査に来られる方が多いですね。その他は「たまたま見つかった」ということがほとんど。例えば腰痛でエックス線検査をしたら疑わしき所見があり、閉経後の女性だったことから検査をお勧めしたところ、測ってみたら骨粗しょう症だとわかった、というようなケースです。ちなみに腰痛は更年期以降に起こりやすい症状ではありますが、その発症に骨密度が直接関係しているわけではありません。同じようなタイミングで起こることが多いため、整形外科の受診や検査を受けるきっかけになることが多いですね。
- Q放置すると、どのようなリスクがあるのですか?
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A
▲骨折は生活の質が下がるため、検診を受けることを勧めている
骨折してしまうリスクが上がります。ほとんどの方が加齢とともに骨密度が減少してくるのですが、何もせずに骨密度が戻るようなことは基本的にありません。知らぬ間に進行して骨密度が大幅に下がってしまうと、自分の体重に骨が耐えられなくなったり、重い物を持ち上げるなど力を入れるような動作が骨への負担になったりして、骨折してしまうことがあるのです。特にご高齢の方にとって、骨折は日常生活の制限につながりかねません。国や自治体でもこのことを問題視しており、さいたま市では40歳以上の方を対象に定期的に骨粗しょう症検診を実施しています。
- Qこちらではどのように検査や治療を行っていますか?
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A
▲骨密度検査は約5分ほど寝ているだけで測定が完了する
市の検診では主に手の骨から骨密度を図りますが、当院ではさらに精密に測るために「デキサ法」での骨密度測定を行っています。腰椎と大腿骨で測定するもので、骨折を起こした際に大がかりな治療が必要となるような重要な箇所ですし、国のガイドラインでも推奨されている方法でもあります。必要に応じて血液検査による骨代謝マーカーやビタミンなど栄養素の測定も行い、ガイドラインの基準に該当した場合に骨粗しょう症と診断。骨形成の促進や骨吸収の抑制のため薬を処方したり、ビタミンDやカルシウム製剤、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーション、生活指導などを組み合わせて、骨密度減少の進行を抑えるための治療を行います。
- Q予防のために日常生活でできることはありますか?
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A
▲自院で作成しているパンフレットを用いて詳しく説明を行う
バランスの良い食生活を心がけ、ビタミンを多く取ってください。乳製品や納豆などの大豆製品を取り入れた、魚や野菜を中心とした献立が理想的ですね。当院では食材と栄養素について学べるパンフレットをお渡ししたり、栄養素が偏りがちな方からのサプリメントのご相談もお受けしたりしています。またビタミンD不足にならないように適度に日に当たること、そしてリハビリテーションやウォーキングなど無理のない運動は、骨にとって良い刺激になります。加齢や閉経によるホルモン量の減少を完全に抑えることは難しいですが、骨の状態を早めに知ることで、骨密度減少のカーブを緩やかにすることは可能です。定期的に検査を受けましょう。