秋山 暢 院長の独自取材記事
さがみひまわりクリニック
(相模原市中央区/相模原駅)
最終更新日:2025/06/02

血液・腫瘍内科を専門として長年大学病院などで白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など血液疾患の臨床・研究・教育に携わってきた秋山暢院長。「さがみひまわりクリニック」は、血液疾患の患者の多くが、症状が落ち着いても大学病院に通い続ける状況に、専門家の立場から地域で貢献したいという思いから2023年6月に開業した。血液疾患の合併症や治療の副作用など、幅広い領域の疾患に対応してきた経験を生かし、内科疾患全般も積極的に診療している。さらには呼吸器内科やアレルギー疾患が専門の医師も在籍し、より幅広い疾患に対応。疾病啓発の動画も積極的に制作・配信している。「青空に向かって咲くヒマワリのように、心身ともに健康につなげられる診療を提供するクリニックをめざす」と語る秋山院長に、同院の特徴や思いを聞いた。
(取材日2025年2月25日)
血液疾患から生活習慣病、がん緩和医療までに対応
院名に込められた思いをお聞かせください。

ヒマワリは、夏の青空に凛として真っすぐ咲く、とても好きな花です。このクリニックも、ヒマワリのような元気いっぱいのイメージで、心身ともに元気になれるような診療を提供したいと思い名づけました。そもそも私は、長らく血液疾患を専門に、血液疾患やがんの患者さんが抱える高血圧症、脂質異常症、糖尿病、骨粗しょう症、心臓病、腎臓病なども診察してきました。当院では、そうした経験を生かして、血液疾患の患者さんのみならず、地域の皆さんにも、生活習慣病を含めた総合的な内科診療を提供したいと考えています。また血液疾患やがんの患者さんには、気軽にご相談いただけるかかりつけ医としてQOLの向上をめざした医療をご提供します。大きな病院での治療が終わった方のフォローアップも行いますし、血液のがんに限らず、進行したがんの患者さんの疼痛緩和や、副作用に対する支持医療などにも対応します。
糖尿病内科も標榜されるなど、幅広い診療に対応されているのですね。
血液疾患の多様な症状や合併症、治療に伴う副作用などに幅広く対応してきた経験を生かしたいと考えています。特に糖尿病は、血液疾患でよく使われる薬の副作用として現れることがあるため、その治療にも取り組んできました。また、多血症という赤血球が増える病気の患者さんでは、睡眠時無呼吸症候群が原因のケースも考えられますので、そちらの診療も手がけてきました。そのため、当院でも睡眠時無呼吸症候群の検査や治療を行っています。
クリニックの設備にはどのような特徴がありますか。

患者の皆さんが安心して受診していただけるよう、発熱専門の外来用の部屋を設け、発熱患者さんとそれ以外の患者さんの動線が分かれるようにしました。血液疾患、悪性腫瘍では画像診断が重要ですのでCTも導入し、肺がんの早期発見をめざして50歳以上の喫煙者を対象とした低線量CT肺がん検診も行っています。通常のCTより被ばく量が低く、胸部エックス線検査では見つからない早期がんを見つけることが見込めます。血液検査や糖尿病の指標となるHbA1cや、肝機能、腎機能の検査機器も整備しました。30分ほどで結果がわかりますので、診断、治療の判断が迅速に行えます。血液疾患の方には、骨髄検査も可能で、骨髄像を一緒に見ながら説明いたします。北里大学病院など近隣の病院との連携体制も整っていますので安心して受診していただけると思います。また、相模原市の特定健診、肺がん、大腸がん、前立腺がんの検診にも対応しています。
大学病院での血液内科診療の経験を生かして幅広く対応
血液疾患とはどのような病気なのでしょうか。

白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などで、高齢者に多い病気ですが、他のがんに比べて若い方の発症も多いのが特徴です。研修医時代に、高校生の患者さんを励ましながら、一生懸命治療したことは今もよく覚えています。白血病に対する分子標的治療薬をはじめ、さまざまな薬が開発されて患者さんの寿命延伸が望めるようになってきた分野でもあります。血液内科は、医師が手術を行って治療するような診療科ではありませんが、新薬が出ることによって患者さんに恩恵がもたらされるという、目覚ましい医療の発展を如実に見てきました。今後はそうした患者さんが、地域で安心して生活できるようにお手伝いしたいと思っています。
先生はどうして血液内科に進まれたのですか。
そもそも小さい頃は体が弱く、よく熱を出していて、どうして熱が出るのか、病気や人の体の抵抗力に興味がありました。高校生の時に父が病気になったことがきっかけとなって医学部に進みました。学生時代、一番興味があったのは免疫学で、免疫に関連する病気であるリウマチ、膠原病を専攻にしようと大学院に進みました。しかし、そこで、急性白血病や悪性リンパ腫など、血液疾患の患者さんの抗がん剤治療を目の当たりにして、こうした病気を治せるようになりたいと思うようになり、血液内科を志したのです。その後は、主に大学病院で血液疾患の臨床・教育・研究に携わり、特に白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の患者さんを数多く診療し、抗がん剤治療や副作用に対する支持医療、緩和医療に取り組んできました。
呼吸器内科とアレルギー科の先生もいらっしゃるんですね。

はい。私の大学病院時代の同僚で、非常に温厚で誠実な医師です。診察は2ヵ月に1回なのですが、当院の医療提供の体制は非常に幅広くなったと考えています。専門的な診察が必要な当院の患者さんにとっても、心強い存在ではないでしょうか。また、私自身、血液内科の医師として肺炎の患者さんを数多く診てきました。抗がん剤治療の影響で免疫力が下がり、肺炎に罹患する方が多いのですね。そうした疾患や喘息の患者さんへの診察に関しても呼吸器内科・アレルギー科の医師によるバックアップは、クリニックにとっても患者さんにとってもメリットが大きいと感じています。
患者に寄り添い、より良い医療をめざして
相模原市で開業された理由について教えてください。

もともと定年後は地域医療に携わりたいと考えていたので、少し早めに60歳になったのを機に開業しました。というのも、ある程度治療が進んだ段階で患者さんを地域に戻したいと思っても、血液疾患に詳しい先生が少なく受け入れてくれるクリニックが多くはありません。そのため、多くの患者さんが大学病院に通い続ける現状があるのです。そこで、そうした患者さんの受け皿にもなりたいと考えました。この場所を選んだのは、30年以上相模原市に住んでいて、この地域のお役に立ちたいという思いからです。相模原市はとても住みやすく、愛着のある大好きな街ですから。
先生の診療方針について聞かせてください。
医学生に、患者さんとのコミュニケーションについても教えてきた経験があり、患者さんとの良好なコミュニケーションは治療にとって重要であると考えています。ただ医師に言われたとおりに薬を飲むだけでは、病気は良くはなりません。患者さんご自身に病気や治療についてよく理解していただき、前向きな気持ちで治療に臨んでいただくことが必要だと思うのです。ですから、患者さんの理解のために十分に説明すること、そして、患者さんの生活背景など個々の状況をよくお聞きして、それに合った治療を提案することを心がけています。クリニックの理念は心身ともに元気になれるようなクリニックをめざすこと。毎日朝礼の時に、理念とスタッフに心がけてほしいモットーを読み上げているんですよ。幸い、信頼できるスタッフが集まってくれたので心強く思っています。
今、力を入れられていることはなんですか?

きちんと知られていない血液疾患や、生活習慣病に関して患者さんに知っていただきたいと考えています。そのため、ホームページ内に「さがみひまわり健康大学」というコーナーを開き、病気について解説した動画の配信や、情報提供を行っています。新型コロナウイルス感染症の流行で大学がオンライン授業になった際、授業の教材として動画を作っていました。開業を機に、同じように患者さん向けに動画を制作し、少しずつ動画配信を始めています。現在血液の病気と内科疾患、食事療法についてお知らせしています。多忙でなかなか更新できないのが玉にきずです。また、このクリニックを患者さん同士でピアサポートや情報交換ができるような拠点にしていけたらいいなとも思っています。専門家としての知見を生かし、血液疾患が疑われる場合には地域のクリニックからご相談いただくなど、診診連携で地域の皆さんの健康に貢献したいと思っています。