櫻井 康雅 院長の独自取材記事
さくらい呼吸器内科。
(北九州市八幡西区/永犬丸駅)
最終更新日:2026/06/03
筑豊電気鉄道線・永犬丸駅から徒歩11分。「さくらい呼吸器内科。」は2023年6月に開業した呼吸器内科のクリニックだ。櫻井康雅院長は産業医科大学を卒業後、同大学病院や香川労災病院、霧ヶ丘つだ病院などで「肺」にまつわるさまざまな疾患、そして原因の解明に向き合ってきた呼吸器内科のエキスパート。「肺は体内にありながら外からの影響をとても受けやすい臓器。だからこそ患者さんとよく話し、何が原因であるのか、何に困っているのか、その思いに寄り添っていくのが大切なのです」と話す。いずれは八幡西区だけではなく小倉エリアや山口県や大分県などの他県からの患者の受け入れも視野に入れているという櫻井院長に、呼吸器内科とはどのような際に相談に行くべきなのか、また診療スタイルや院内のこだわりについて話を聞いた。
(取材日2023年7月5日)
息苦しさや咳が止まらないなどの症状は呼吸器内科へ
呼吸器内科は、具体的にどんな症状がある場合に行けばよいのでしょうか?

肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)とそれに伴う禁煙の指導、胸水、睡眠時無呼吸症候群、そして風邪や長引く咳、胸苦しさ、呼吸のしづらさ、また新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症、アレルギーが原因となっている喘息、自己免疫疾患である膠原病による肺障害なども呼吸器内科の領域です。つまり「肺」に関わるさまざまな疾患を診るのが呼吸器内科なのです。その他に大学病院などの基幹病院では肺がんなどの治療も呼吸器内科が行います。私は香川労災病院、呼吸器内科で知られる小倉の霧ヶ丘つだ病院(旧・津田内科病院)など、さまざまな病院で研鑽を積んできました。
なぜ開業しようと思われたのでしょう?
呼吸器内科のクリニックは皆さんが思われているよりも結構少ないんです。このエリアも例外ではなく、そうなると前述したような疾患を抱えた方の行き先は、私の出身校である産業医科大学病院などの基幹病院に限定されがちになります。疾患の原因によってはステロイドホルモンや免疫抑制剤などを使用するため、呼吸器内科の専門性がないとなかなかきちんとした診察や処方ができないことも、基幹病院に行かざるを得ない理由の一つでしょう。なので私が開業することで、まずはこの八幡西エリア在住で基幹病院に通っている患者さんなどを引き受け、患者さん・基幹病院両方の負担を減らしたいと考えました。
今はどんな方がいらっしゃっていますか?

それこそ咳がなかなか治らないという方も多いです。新型コロナウイルスという新しい疾患が出て呼吸器内科の医師として感じたのが、どうしても病院では「陽性か陰性か」を判断することが最優先になってしまうことでした。もちろん診断自体はとても大切で、感染拡大を防ぐためにも必須のことです。しかし「検査結果が陰性だったにもかかわらず咳が止まらない」という場合、いったいどこへ行けばいいのかと悩んでいる患者さんが多いことにも気づきました。陰性だから誰にも迷惑はかけない。でも、自分の体調は思わしくない。そういう悩みを抱えている方が当院を頼ってきてくださっているように感じています。
熱があっても安心して受診できる院内環境を実現したい
発熱患者さん専用の出入り口や、隔離室もしっかり備えておられますね。

以前、高校生くらいの患者さんが困っているのを見かけました。発熱症状を診る外来では「受付後は車でお待ちください」と案内するところが多いようですが、その方はおそらくお一人で来院され、学生だから車もなく、検査結果が出るまで冬の寒さをただ耐えるしかなかったのでしょう。それを見た時に、どうして困っている患者さんがもっと困るようなことになってしまうのだろう、と思ったんです。だから当院は発熱患者さんの受け入れを前提として造っています。発熱されている患者さんとそれ以外の患者さんの動線が交わることはなく、隔離室には3人掛けの長椅子を設置して、横になったり、点滴を打ったりもできます。
どんな患者さんも安心して受診できる環境を整えていらっしゃるのですね。
発熱している方は「もし自分がほかの人にうつしたらどうしよう」と心配されますからね。この数年の間で、症状によって院内の動線を分けている医療機関は、もしかしたら患者さんにとってもスタンダードになっているのかもしれません。そういう点でも、遠慮せず安心して当院を頼ってほしいと考えています。肺は体の中にありますが、呼吸によって外と深くつながっています。だから診察の際には患者さんのお仕事はもちろん、生活のご様子などを伺うのが必須になります。例えば粉塵もそうですし、ペットもインコや犬などによって症状や処方も変わります。基幹病院に勤めていた頃は、私自ら患者さんのご自宅に赴き、古くなった住宅に発生したカビが呼吸器疾患の原因だと突き止め、治療のためには引っ越しも視野に入れなければならないと説明したこともあります。肺疾患、呼吸器疾患といっても本当にいろんなケースがあるのです。
状況から仮説を立てて検証し、疾患の原因と対処法を見つけていくのですね。

はい。まるで探偵のようですよね(笑)。しかし、探偵小説を読むと、つくづく探偵と呼吸器内科の医師の思考回路は似ていると思うんですよ。大切なのは患者さんとよくよく話をすること。そのためにも患者さんが心に抱えていることを言いやすい環境づくりはとても大事にしています。薬を処方する場合でも、「2週間分処方しますが、苦しさが解消されないのであれば我慢せず、すぐに来て大丈夫ですよ」とお伝えするようにしています。患者さんはどうしても「医師の言うことだから」と無理に納得してしまう傾向がありますが、処方した薬が効いてないようだ、自分には合わないようだ、と感じたら遠慮なく言ってほしいと思います。そういうプロセスを積み重ねていくことが、その方に本当に合うお薬を見つけることに役立ち、症状の改善につながると考えています。
患者に寄り添い、共感・共有しながら治療へとつなげる
雰囲気づくりにはスタッフさんの存在も欠かせないのでは?

もちろんです。当院の展望に「この八幡西区だけではなく、小倉エリアや山口県、大分県からも呼吸器内科として頼られる存在になりたい」というものがあり、スタッフもそれを十分に理解してくれているようで、「どうお声がけすれば医学的に正しいのか」など、勉強も自発的にしかも深い部分まで学んでいる姿を見かけますし、実際に非常にレベルの高い、患者さんに寄り添った対応をしてくれていると感じています。それでも受け答えに迷うことがあれば、当院の理念である「悩みへの共感」「対等な医師と患者の関係」「当たり前を継続する」に立ち返って考えてほしいと伝えています。そして、まずはその姿を医師である私自身が示していかなければならないと考えています。
睡眠時無呼吸症候群の治療にも注力されているそうですね。
霧ヶ丘つだ病院は睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れていて、当院はそこで学んだエッセンスをしっかりと引き継いでおり、霧ヶ丘つだ病院と並ぶほどのレベルの治療が提供できると自負しています。また機器でいえば、エックス線検査ではAIによる読影を導入しました。エックス線検査の写真はモノクロで、患者さんにはわかりにくい部分があります。しかしAIが異常のある箇所に色をつけることで視覚的にもわかりやすくなり、患者さんもより自分ごととして考えてくださるようです。加えて私とAIによる検査結果のダブルチェックにもなりますから、診断においても精度向上に役立っていると思います。またエコー(超音波)検査では胸に水がたまっているかどうかの確認や、水を抜いてがんであるかどうか調べることも可能です。
今後の展望をお聞かせください。

呼吸器内科として、アレルギー疾患から睡眠時無呼吸症候群まで、肺や呼吸器関連の悩みはなんでも相談できるクリニックをめざしたいです。肺は生活とも密接した臓器であるため、長いお付き合いになることもあります。軽い症状だと思っていたらがんなどの命に関わる疾患が原因にあったということも、あります。しかしどんな場合でもしっかりと患者さんの心と体に寄り添い、思いに共感し、情報を共有しながら、一緒に良い道をめざしていければと思います。呼吸器疾患についてなんでも相談してもらえることが私の喜びでもありますから、気になる症状があればぜひ当院へお越しください。

