大庭 健史 院長の独自取材記事
中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科
(中野区/中野駅)
最終更新日:2024/08/28
中野駅南口より徒歩30秒という利便性抜群のビル2階に2023年9月、「中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科」が誕生した。院長の大庭健史先生は、中野区中野で生まれ育ち、日本医科大学付属病院の糖尿病・内分泌代謝内科で周術期の血糖管理や医療機器の研究をしながら糖尿病や甲状腺疾患を中心とした内科診療に従事してきたエキスパート。近隣のみならず都内全域の基幹病院との連携を緊密に取る。穏やかで、どんな質問にもわかりやすく説明してくれる大庭院長に、地域の「かかりつけ医」として大切にしているものやクリニックの強み、今後の展望などを聞かせてもらった。
(取材日2024年7月24日)
患者の人生に寄り添いたいと希望し、診療科を選択
先生のこれまでのご経歴を教えてください。
父が医師で、母は薬剤師、母方の家族にも医師や薬剤師が多かったので、物心ついた時には自然と「自分も医療従事者になって人の役に立ちたい」と思うようになりました。医学部で学んでいた時は呼吸器内科にも興味があったのですが、当時、肺がんはまだ治療が難しく、ごく限られた治療法しかない病気だったこともあって、「もっと患者さんの人生に寄り添いたい」と糖尿病・内分泌内科を選択しました。生活習慣病、特に糖尿病は、しっかりとマネジメントすることで病気のない人とほぼ同じADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の維持も期待でき、そして天寿を全うすることも望めます。医師としての腕が問われますし、自分も学べば学ぶほど患者さんに還元できると思い、この診療科を選びました。
開業に至るまでの経緯も教えていただけますか?
大学病院では、診療をしながら研究も行っていました。どちらにもやりがいを感じていましたし、研究をしたからこそ見えてきたことや確信できたこともあったのですが、一方で「どちらかに専念したい」という思いもずっとあったんです。数年前、研究がある程度納得いくところまでやりきれたと感じたのをきっかけに、診療に専念することにしました。自分が生まれ育った中野の街で開業したい、幅広い患者さんに負担なく来ていただける利便性の良い場所、できれば駅前で開業したいと思ってこちらに開業しました。
クリニックの強みを教えてください。
新型コロナウイルス感染症流行以降の開業でしたので、感染症対策にはかなり重点を置いています。完全予約制の発熱に対応する外来では、他の患者さんと重ならないよう専用のブースで新型コロナウイルスとインフルエンザの抗原検査を行い、結果が出てから診察する流れを採用しています。各種検査機器も精密なものをそろえていて、特に血糖測定は新しい機器を導入していますので、HbA1cという、過去1~2ヵ月間の平均的な血糖値を反映した数値が20分ほどで出ます。私自身が日本糖尿病学会糖尿病専門医ですので、特に糖尿病を患う方には「ここに来れば安心」と思ってもらえるよう体制を整えています。甲状腺の超音波検査が行えるのも強みですね。地域医療に貢献したいとこちらに開業しましたが、糖尿病や内分泌系の専門性については、これからも妥協せずにいたいです。
これまでの知識と経験で、より良い選択肢を提示
先生はブログを書くなど、発信にも力を入れていますよね。
現代社会では情報があふれていますが、情報は更新されていくものです。高血圧症の基準などもそうですよね。われわれ医療者が治療の選択などで使う各種ガイドラインも、数年に一度は改訂されています。そういった新しい情報を患者さんにもわかりやすく提供したいと思ってブログを始めました。発信する際に私自身も論文を読み返したりガイドラインを確認したりしますので、自分の勉強にもなります。ブログの良いところは、患者さんが自分のペースでゆっくり読めるということです。診療中は、限られた時間で治療の説明をしなければいけないのですが「詳しいところはここのブログに書いてありますからね」などと伝えてあげると、患者さんがお時間のある時にじっくり読むことができますし、後で思い出せなくなったとしても、何回でも読み返すことができます。
たくさんの病院と連携していると伺いました。
都内の主要病院のほとんどと連携していて、入院の適応があったり、手術などのより高度な治療が必要になったりした場合にはそちらにおつなぎしています。勤務医として多くの病院で多くの医師と連携してきた経験から、それぞれの患者さんに適した病院におつなぎすることができます。例えば「胃がんの手術をするならA病院」だったとしても、糖尿病の人の胃がん手術についてはB病院のほうが良いといったこともあります。持病や、患者さんの優先したいものによって適切な医療機関も異なりますので、たとえ当クリニックではない医療機関で治療することになったとしても、しっかりと体制を整えて適切なルートに送り出したいんです。また、最近は不妊と甲状腺疾患との関係も注目されていて、レディースクリニックとの連携も増えていますね。不妊に悩んでいる方は、一度甲状腺の検査を受けることをお勧めします。
肥満症の治療にも力を入れていると伺いました。
はい。肥満症そのものの治療も大事ですが、生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群など、肥満症が引き起こすさまざまな問題の予防のためにも力を入れて取り組んでいます。肥満症すなわち食べすぎや運動不足といったイメージがあるかもしれませんね。しかし太ってしまう原因として内分泌やホルモンの異常などが隠れているケースもあり、それらを治療することで肥満の改善が期待できるケースも多いのです。さらに、そういった異常がなくても、管理栄養士による栄養相談や、必要に応じた薬の処方なども行いますので、食べすぎや太りすぎなどで悩んでいる方は自己管理だけでどうにかしようとせず、医療機関に相談するということも大事だと思います。
「ここに来て良かった」と言われるクリニックに
クリニック内での待ち時間がほとんどないのが印象的です。
アプリを導入するなどして患者さんの利便性の向上を図っています。通常の電話予約も可能ですが、例えばアプリを使うと、オンラインで予約、QRコードで受付ができ、クレジットカードで決済できますので待ち時間の短縮につながります。スマートフォンが診察券代わりになるので、お財布の中から診察券を探す手間もありません。患者さんからも便利だと好評ですし、アプリだとキャンセルするのに気後れがないというメリットもあるようです。患者さんが楽に受診できるようにと導入したアプリですが、受診の流れがスムーズになることでスタッフも時間が取れ、空いた時間を患者さんのために使うこともできますし、さらには、一人ひとりの滞在時間が短くなれば、クリニック内の「密」も緩和されますので、感染症対策にもなり一石三鳥です。こういった医療のDX化も、数年後には当たり前になっていると思いますね。
クリニックの今後の展望を教えてください。
今後も変わらず、もっと地域に貢献できるよう良質な医療を提供していきたいです。この地域は、いわゆる昔ながらの下町っぽく、商店街の多い街だったのですが、最近はマンションが建つようになり若い世代も増えてきています。甲状腺疾患は比較的若い人に多いので当クリニックの患者層も20〜50代が多いのですが、昔からここにいらっしゃる高齢者にももっと貢献できたらと思いますね。検診で要精密検査と言われたとか、最近血圧が高くなってきたとか、ちょっとした心配事も相談いただけたらと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
先ほどもお伝えしましたが、肥満症や生活習慣病には「本人がだらしない」といったイメージがあるかもしれませんが、そうとは限りません。きちんと検査をすると、別の病気が隠れているかもしれませんし、適切な治療で症状の改善が望めることも多くあります。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医としての知識と経験を生かして、質の高い医療で地域に長く貢献していきたいです。地域の方々に「ここに来て良かった」と言われる、安心して通えるクリニックをめざしますので、何か不調や困り事などがあれば、まずは相談にいらしてください。