岡田 真誠 院長の独自取材記事
ファミリークリニック綾瀬
(足立区/北綾瀬駅)
最終更新日:2026/06/05
東京都足立区に事業所を構え、東京都東部や千葉県西部、埼玉県東部に住む患者を対象に訪問診療を行う「ファミリークリニック綾瀬」。もともと消化器外科の医師として大学病院や総合病院の外来に勤務していた岡田真誠先生は、その命を全うするまで患者を診ることができる訪問診療にやりがいを感じ、2025年4月に同院に入職。頼れる医師やスタッフたちとともに、訪問診療を必要とする患者や家族に向き合っている。「フットワーク軽く困っている人に先ず駆け寄って助けに行く」を理念に、医師もスタッフも24時間365日対応できる体制を整えている。おおらかで相談しやすい雰囲気が漂う岡田院長に、同院の医療について尋ねた。
(取材日2026年3月9日)
患者に残された時間や生活に向き合うための訪問診療
クリニックの概要や、現在に至るまでの歩みをお聞かせください

当院は、東京都東部や千葉県西部、埼玉県東部に住む方を対象に訪問診療を行うクリニックとして、2023年に開業しました。私は2025年4月から当院で勤務しており、現在院長を務めています。それまでは「東京大学医学部附属病院」や「大森赤十字病院」などで消化器外科の医師として、ほぼ毎日のように手術支援ロボットを用いたりと緊急性の高い手術を行っていました。大腸がんなど重い病気の患者さんを診ることが多かったです。
消化器外科の分野で研鑽を積まれて、訪問診療に注目したのはなぜですか?
手術を終えた後の患者さんの人生に寄り添い、大切な時間を少しでも快適に過ごせるように力を尽くしたかったからです。というのも、病院の消化器外科に運ばれてくる患者さんは大がかりな手術を受けることが多いのですが、その後に再発されたり、緩和治療が必要になるケースは少なくありません。手術を行うのは消化器外科の医師ですが、その後、患者さんに残された時間や生活と向き合うのは訪問診療を行う医師であり、介護や看護職の方々です。初めから終わりまでを一人で担当することは難しく、周りにお願いするのは当然のことですが、それが私にはもどかしかったんですね。訪問診療や終末期ケアに「送る」側から、それを「受ける」側に回って患者さんの人生を支えたい。その思いから訪問診療の分野にシフトしました。病気を治療することに比重を置いた立場から、患者さんの苦痛を和らげることを第一に考えるようになり、医師としての視点も変わった気がします。
岡田先生をはじめ、綾瀬院にはさまざまな専門知識を持った先生が在籍されていると伺いました。

私は消化器外科や緩和ケアに携わってきましたし、そのほかにも内科、整形外科、精神科、皮膚科、呼吸器内科と、それぞれに専門知識を持った医師が診療にあたっています。すべての医師が患者さんの症状を総合的に診ることができ、必要があれば各分野の知識を持つ医師につなげるという体制です。関節内注射や神経ブロック注射、心臓の状態を診るための超音波検査などもご自宅で受けられます。病気は治るに越したことはないのですが、訪問診療の現場では、それよりも優先すべきことがあることも。もし数値が多少良くなったとしても、患者さんの痛みやつらさが増すようでは、終末期の医療としては失敗かもしれません。医師同士で定期的にカンファレンスを開きながら「この方に必要な医療は何か」を皆で考えています。
フットワークは軽く、24時間365日対応の診療体制
どんな時に訪問診療を頼ったほうが良いですか?

訪問診療には、病名としての制限はありません。例えば、具合が悪くなければ診療を受けられないのか、といったらそうではなく「病院に行くことすら忘れてしまう」というような場合も、通院困難として訪問診療が受けられます。このように認知症を患って訪問診療を希望される方が最も多く、病気によって怒りやすくなったり、暴力的になったりしてしまう方も多いです。また、末期がんで「最期を家で迎えたい」とお考えだったり、うつ病の症状がひどくて外に一歩も出られないなど、通院の難しい方ならば年齢を問わず対象になります。当院は相談しやすい、垣根のないクリニックをめざしていますので、何か困り事があったらまずは電話にてご相談ください。
夜間や休日でも相談できるのですか?
はい。「フットワーク軽く困っている人に先ず駆け寄って助けに行く」というのが当グループの理念で、医師もスタッフも24時間365日対応できる体制を整えています。訪問診療を望まれる方に対して、基本的にはお断りをしない方針です。ご本人やご家族が「通院が難しくなってきた」と思った時点でお電話ください。可能な限り訪問診療に伺いますし、さまざまな医療サービスや介護サービスの情報を提供することもできます。診療情報提供書がお手元になくても大丈夫です。準備する手間ですとか、かかりつけ医に頼みづらいなどの理由もあるかと思いますので、書類については私たちがサポートします。また、介護保険を使う際に必要となる主治医意見書についても、当院の往診により作成が可能です。患者さんに寄り添い地域貢献ができればと思っていますので、ぜひ頼ってください。
先生方もスタッフの皆さんも、チームで患者さんを支えているのですね。

医療は医師だけでは成り立ちませんからね。看護師、ドライバー、事務スタッフ。皆エネルギッシュでフットワークが軽く、相談しやすいタイプだと思います。また訪問診療では、ケアマネジャー、訪問看護師、訪問介護士、理学療法士など、地域の介護・看護職の方々との連携も欠かせません。病院での治療から訪問診療に切り替える場合には、医師同士の意見交換も必要ですし、病気だけではなくその後の住居や生活について考えなくてはならないケースもあります。その患者さんに関わる多職種が集まる「担当者会議」の場には積極的に参加し、ご本人やご家族を含めお互いが信頼し合える関係を構築し、ワンチームでその方が笑顔で暮らせるように各々の立場から意見を出し合いサポートしていきます。
必要な人に必要な医療を届けていくために
訪問診療を行う中で、どんな時にやりがいを感じますか?

患者さんの「悩み」が消えたとしたら、その方の力になれたのだとうれしく思います。訪問診療を受ける患者さんの中には、不眠や体の痛み、便通のお悩みを抱えている方も多いです。訪問診療では負担の少ない超音波検査や心電図検査などもできますし、血液検査で体の状態を知ることも可能です。一人ひとりのお悩みに向き合って対応し、次回伺ったときに「そんな悩みがあったなんて忘れていた」なんて言葉を聞けたら医師冥利に尽きますね。また訪問診療では、症状の改善をめざして診療をすることはもちろん、命を全うして最期を迎えられるように尽力します。その最期の瞬間に、ご家族から「今までありがとうございました。心のよりどころになりました」などと感謝の気持ちを頂戴すると、人として向き合い真摯にやってきたことへのやりがいを感じます。
今後の展望についてお聞かせください。
患者さんをお断りせずに診ていくという姿勢を大切に、この地域で訪問診療を必要とする方々に頼られるクリニックであり続けたいです。ご高齢の方だけでなく、精神的な病気も含めて通院が困難な方、がんの末期の方も、年齢にかかわらず訪問診療の対象となるのだと皆さんに知ってほしいです。グループ全体としては、分院を増やしており、各地でお困りの方に訪問診療を提供していければ良いと思っています。そして、より専門性の高い診療、例えば小児疾患や精神疾患を深く診られるような体制も整えて、必要な方に必要な医療を届けていきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

外来診療と訪問診療では考え方がまったく違うと実感しています。外来の場合、患者さんは通院ができるレベルなので、医師は「症状・疾患」にスポットをあてることが多いんです。一方、訪問診療では最期を家で迎えたいなどその方の人生に向き合う場面が多く、症状・疾患だけでなく、患者さんの性格や人柄、家族構成や家庭環境に目を向けて「人」として接することが多いと感じます。患者さんの援助を行うご家族の体力や余力など、周囲の方も含めて向き合うことも大切です。私たちはそのような気持ちで訪問診療を行っています。「こんなこと聞いて良いのだろうか」と思わず、些細なことでもご相談くださいね。

