排尿時の違和感は
放置せずにすぐに泌尿器科へ
所沢いそのクリニック
(所沢市/東所沢駅)
最終更新日:2023/05/15
- 保険診療
加齢により誰にでも起こり得る排尿に関する悩み。さらには子どものおねしょや、尿をつくる臓器である腎臓の病気、性感染症など、泌尿器科の診療範囲は幅広い。「所沢いそのクリニック」の磯野誠院長によると、40歳以上に多く見られる頻尿や尿漏れについても、専門である泌尿器科に相談することが望ましいという。それらの原因は過活動膀胱だけに限らず、膀胱がんなどの重い病気が潜んでいることもあるからだ。選択する薬や治療法も異なり、高齢者の夜間頻尿は骨折の原因ともなるため、「たかが頻尿」と思って放置すると取り返しのつかないことになりかねない。今回は磯野院長に、頻尿や尿漏れの治療について、また前立腺肥大症や前立腺がんについて話を聞いた。
(取材日2023年5月1日)
目次
誰にでも起こり得る頻尿や尿漏れ。適切な診断と治療を受けるために、排尿時に違和感があれば泌尿器科へ
- Q泌尿器科ではどのような病気を診てくれるのでしょうか?
-
A
まず挙げられるのが、尿が出にくかったり血尿が見られたりといった「おしっこ」に関する症状です。男性ですと、前立腺がんの検査も泌尿器科の大事な役目ですね。背中や腰の痛みの原因が尿路結石だったというケースもあります。そのほか、尿を作る臓器である腎臓の病気、子どものおねしょ、クラミジア感染症などの性感染症も泌尿器科で診ています。最近では男性の更年期障害も増えています。更年期というと女性のイメージがありますが、男性でも疲労感や抑うつ、勃起不全(ED)といった心身の不調が表れるんですよ。このように泌尿器科で診る病気は意外と多いのです。
- Q頻尿や尿漏れの治療について教えてください。
-
A
頻尿や尿漏れが起こる原因の一つに「過活動膀胱」があります。通常ですと膀胱にある程度尿がたまってから尿意を催すのですが、過活動膀胱の場合、膀胱に少ししか尿がたまっていないのに尿意を催してしまい、また我慢ができず漏れてしまうこともあります。これを尿意切迫感といい、40歳以上の8人に1人は過活動膀胱だといわれています。過活動膀胱の治療は、骨盤底筋体操などの行動療法と、薬物療法を組み合わせて行います。薬も年々進化しており、現在はボツリヌス毒素製剤を用いた治療法が主流です。また、排尿を調節する仙骨神経に電気刺激を与える仙骨神経刺激法も、今は保険診療で受けられるようになりました。
- Q排尿障害を放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか?
-
A
夜中に何度もトイレに起きてしまうと睡眠不足になり、QOL(生活の質)が低下します。ご高齢の方ですとさらに深刻で、ふらつきから転倒して骨折し、寝たきりにつながることもあります。逆に尿が出ない状態が続くと、腎臓に負担がかかりますね。また、頻尿の原因は過活動膀胱だけではありません。その症状の裏に膀胱がんなどの重い病気が潜んでいることもあり、これらを見逃すと取り返しのつかないことになってしまいます。「たかが頻尿」と思って放置すると、思わぬリスクを引き起こすのです。
- Q前立腺肥大症について詳しく教えてください。
-
A
前立腺とは男性の膀胱の隣にある臓器で、これが大きくなる症状が「前立腺肥大症」です。加齢などにより誰にでも起こり得ますが、過活動膀胱の原因となることもあり、50歳以上で排尿に異常を感じたら前立腺肥大症を疑います。近年では国内における前立腺がんの患者数が急増しているといわれていますが、前立腺肥大症と前立腺がんに直接の因果関係はありません。ですがどちらも50歳を過ぎるとリスクが高まるため、泌尿器科では前立腺肥大症と併せて前立腺がんの検査も行います。そこで偶然に前立腺がんが見つかることも多々あるんですよ。
- Q泌尿器科の病気は早期発見が重要なんですね。
-
A
そのとおりです。頻尿や尿漏れも原因によって薬の選択や治療法が変わり、泌尿器科の医師はさまざまな病気の可能性を考えながら検査を行います。重い病気を見落とさないためにも、排尿に異常を感じたら泌尿器科を受診してください。また前立腺がんには自覚症状がほぼないため、50歳を過ぎたら定期的に検査を受けることをお勧めします。クラミジア感染症などの性感染症も、治療をしないとパートナーも感染してしまいますし、男女ともに不妊の原因にもなり得ます。これらの内容に一つでも心当たりがあれば、すぐにでもいらしてください。