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岩下 祐司 院長の独自取材記事

いわした内科おなか診療所

(鹿児島市/市立病院前駅)

最終更新日:2023/07/10

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所 main

上荒田町に2023年6月に開業の「いわした内科おなか診療所」では、消化器分野で長年研鑽を積んできた岩下祐司院長が病院レベルの医療の提供をめざす。岩下院長は、消化器の中でも高度とされる膵臓や胆道の診療経験も豊富な医師で、今後は生まれ育った地である鹿児島で、消化器・内視鏡のスペシャリストとして地域医療を支えていく。中でも特徴的なのは、実施できる医師が限られているという超音波内視鏡検査に対応可能な点。大規模病院レベルの検査をクリニックで実現できるのは、院長が内視鏡の魅力に惹かれて以来、学びの姿勢を貫いてきたからだろう。生活習慣病など内科全般の診療も得意とする岩下院長に、これまでの経歴や同院開業の経緯、診療に対する思いを聞いた。

(取材日2023年4月18日)

勤務医時代に培った経験を生まれ育った地域へ還元

先生の生い立ちや、これまでのご経歴を伺います。

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所1

私は医師の家系の生まれということもあり、幼少期から将来は医師になると決めていました。久留米大学を卒業後は鹿児島大学病院の第二内科(現・消化器疾患・生活習慣病学)に入局し、消化器領域で研鑽。とりわけ内視鏡検査に魅力を感じ、胃・大腸内視鏡検査を中心に一般的な消化器内科の知識・技術を身につけました。加えて県内のさまざまな地域の病院で地域医療も学びつつ、日本消化器病学会消化器病専門医や、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を取得しました。また難しい内視鏡検査・治療として、肝臓と腸をつなぐ胆管や胆囊といった胆道系臓器や、膵臓などの病気がある方に行う特殊なものも存在します。そうした分野に興味を持ち、消化器の中でも膵臓や胆道を専門にしたいと思ったのが10数年前。以降は県外にも修行に出向いて内視鏡治療を幅広く勉強し、その後地元に帰って鹿児島市立病院に赴任しました。

そこから開業しようと思ったきっかけは何でしたか?

設備が整った病院での内視鏡治療といった高度な処置に関心があったため、初めは開業は考えていませんでした。しかし、膵臓などの病気を抱えた患者さんの中には長期的に診る必要がある方が多く、定期的な検査も不可欠です。そうした側面を踏まえて診療するうちに「外来で患者さんと人としてお付き合いし、病気だけでなくその人個人を診たい」と思うようになりました。また地域のクリニックには膵臓や胆道の病気を診療できる医師が少なく、大きな病院へご紹介しなければならない現状もあり、気軽に受診できる場所が必要だと感じたのも理由です。これまで患者さんやご家族からも「膵臓の専門的な検査を受けたくても、どこに行けばいいかわからなかった」というお声を多く聞きました。このような複数の背景があり、開業を決意した次第です。

医院名の由来も教えてください。

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所2

患者さんにとってのわかりやすさを考え、医院名には自身の苗字の「いわした」を入れました。名前が出ている分、ここなら信頼できると思ってくださるのではないかと思います。次に、消化器が専門であるものの内科も標榜している点から「内科」の文字も追加。さらに、消化器の病気をすべてカバーできることをどう表現したら良いか悩んだ末に「おなか」という言葉を採用しました。そして「クリニック」ではなく「診療所」とつけた理由ですが、こちらは亡き祖父が開業していた「岩下診療所」から取ったものです。祖父から「医院の名前を継いでほしい」と言われていたのが頭に残っており、今は閉院した岩下診療所を別の形で継ごうという思いから、このような医院名に決まりました。

専門性の高い超音波内視鏡検査を含め幅広い検査が可能

この地域で医療を提供していくことに、どのような思いがありますか?

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所3

地域にはクリニックが多くありますので、開業医の先輩方と連携を図り、さまざま教えていただきながら診療にあたっていきたいと思っています。その中で、自身の専門領域でしっかり存在意義を示したいですね。また、私は内科領域を総合的に診療するために修行を積み、日本内科学会総合内科専門医も取得しました。一般的な内科の病気から、専門分野における一歩踏み込んだ検査まで多彩な医療の提供が可能ですので、何かあれば気軽にご相談いただきたいですね。また、診療の基本は消化器内科であり、胃腸や膵臓、胆道の病気の検査や治療が最大の目的になりますが、膵臓がんなどの根本には生活習慣病がリスクファクターとして隠れています。そのため内科で生活習慣病も診ながら、消化器疾患の早期発見につなげたいと考えています。

経験を生かし、こちらでも内視鏡検査に注力なさるそうですね。

当院では先進の内視鏡検査機器を導入しており、私も消化器内視鏡専門医として専門性の高い検査・診断に取り組みます。胃内視鏡検査は、特に早期の食道がんや胃がんの発見に有用な特殊光観察を併用して行います。鮮明な画像評価を優先するために経鼻ではなく、拡大内視鏡を併用できる経口の内視鏡を用いて、より詳細・精密な観察ができるようにしています。ただ、経口だと患者さんが苦しさを感じやすいので、検査の際は鎮静剤を使用します。また、大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合、基本は日帰りで切除に対応可能です。加えて最大の強みとして、特殊な超音波機器を搭載したカメラを口から挿入し、消化管を通して膵臓、胆管、胆囊などを間近で観察できる超音波内視鏡検査も行います。

超音波内視鏡検査はどのような場合に行うのですか?

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所4

超音波内視鏡検査は膵臓がんや胆道がんの疑いがある、またはリスクの高い方などに実施する検査で、通常は大規模病院でしか行われません。修練にも時間がかかるため、実施できる医師は限られています。超音波観測装置も新鋭のものを導入しており精度の高い検査が可能ですので、ぜひ多くの方に受けていただきたいですね。とはいえいきなり超音波内視鏡検査を受けるのは抵抗があるという方もいると考え、当院では膵臓を簡便に観察できる、ミルクティーを使った腹部超音波検査をご案内しています。これは事前にミルクティーを飲んで胃にためることで、膵臓の普段は見えない部分を可視化できる検査です。そして腹部超音波検査の結果、気になることがあれば精密な検査につなげていきたいと思います。

早期発見で、消化器がんで命を落とす人を減らしたい

先生が考える、内視鏡の魅力は何ですか?

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所5

外から見えない部分をきれいに見られるところですね。細かい病変・ポリープや小さな早期がんは外側から見てもわかりませんし、CTでも胃や大腸を大まかにしか観察できません。ほかの検査では発見できないものをより早く、詳細に確認できるのが内視鏡の一番の魅力です。私が消化器内科医師をめざしたのも、学生時代に見学した胃内視鏡検査がきっかけでした。一人前にできるようになるまで5~10年ほどかかる胃・大腸内視鏡検査をしっかりと学んだ後、より難易度の高い検査・治療として膵臓や胆道の内視鏡治療へステップアップ。そうやって「内視鏡」の分野で技術を磨き続けてきたからこそ、超音波内視鏡検査も行えるようになりました。

現在も大切にしている勤務医時代の教えはありますか?

先輩方からはずっと「病気だけを見るのではなく、その人全体を見なさい」と言われてきました。その教えを守りながら20年以上診察してきましたが、まさに真実だなと思います。病気の発見も医師の仕事ではあるものの、患者さんにとって何が一番良いのか、どこまで検査すべきかなどを、年齢をはじめさまざまな観点からトータルに判断することも重要です。一人ひとりに向き合う姿勢は医師として最も大切ですね。日頃患者さんとお話しする際は、なるべく緊張しない雰囲気づくりを心がけています。加えてその方が言いたいこと、望んでいることを引き出せるよう、いろいろな質問を投げかけ、会話の内容にしっかり耳を傾けます。

読者へのメッセージをお願いします。

岩下祐司院長 いわした内科おなか診療所6

勤務医時代からの患者さんには、引き続きご安心いただける医療を提供したいと考えています。また新たに受診してくださる方にとっても、気軽にお越しいただける医院でありたいと思います。当院では一般的な病気の治療のほか、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の管理も実施可能です。血液検査も、ある程度は当日中に結果が出せるよう体制を整えています。そして一番の目標は、消化器がんを治療できるうちに発見し、がんで亡くなる方を少しでも減らすこと。がんの罹患者数・死亡数ともに、ほぼトップを占めているのは消化器がんです。膵臓や胆道を含め、消化器領域すべてをカバーできる強みを生かして、これからもがんの早期発見に尽力してまいります。

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