小児弱視や斜視の治療は
早期発見が鍵
こじま眼科
(大東市/住道駅)
最終更新日:2024/11/01
- 保険診療
大阪府大東市にある「こじま眼科」は、小児弱視や小児斜視の治療に注力するクリニックだ。院長を務める小嶌洋史先生は、保護者の認識不足からくる子どもの視機能の獲得機会喪失を防ぎたいと、小児弱視と小児斜視の治療にとどまらず病気の啓発活動にも積極的に取り組んでいる。しかし「まだまだ治療機会を逃し、視力を獲得しきれないまま大人になる子どもたちがたくさんいる」と、病気への理解が深まっていない現状に警鐘を鳴らす。治療のタイムリミットといわれるのは6〜8歳頃。一人でも多くの子どもが治療に取り組み、大東市から弱視で悩む人がいなくなる未来をめざして日々奮闘する小嶌院長に、小児弱視、斜視について詳しく解説してもらった。
(取材日2024年9月6日)
目次
視力獲得のチャンスを逃さないために、指摘されたら早期の受診を
- Q小児弱視や斜視はどのようなきっかけで受診する人が多いですか?
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A
3歳半健診で指摘され、受診されることが多いです。特に小児弱視は子どもが自覚していることが少なく、保護者も見た目で判断することが難しいため自分たちで発見することが難しい病気です。もし健診で指摘されたら、なるべく早く眼科の医師の診察を受けるようにしましょう。斜視の場合は、日常生活で親御さんや保育士さんが目線のずれを発見し、受診されることも多いです。視力が発達する時期は決まっており、その時期を逃すとどちらも治療が難しくなります。普段からお子さんの様子を観察しておくことは大切ですが、それ以外にも健診などを積極的に受診し、要検査と言われた場合には放置しないように注意しましょう。
- Q小児の弱視とはどのような症状を指すのでしょうか?
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A
小児弱視とは、斜視や強度の遠視、乱視などが原因で目から鮮明な像を得ることができず、視機能の発達が妨げられ視力が出にくい状態を指します。実は生まれたばかりの赤ちゃんは、みんな低視力でぼんやりとしか見えていません。しかし、目から入ってきた映像と脳が結びつく経験を経て視覚中枢が発達し、視力を獲得していきます。視覚中枢の発達がうまくいかなければ、低視力のまま成長することに。眼鏡やコンタクトレンズを使用すればいいと考えるかもしれませんが、小児弱視のまま育つとそれらで十分な視力を補うことができない場合があります。適切な時期に治療を行わなかったお子さんは、一生「見えにくい世界」で暮らすことになりかねません。
- Q小児の弱視の治療について教えてください。
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A
小児弱視の治療にはタイムリミットがあり、人生で最も視機能が完成する6〜8歳頃までの治療が重要になります。治療は専用の眼鏡をかけて「鮮明な映像を映し、脳に情報を送る」というもの。さらに左右差がある場合には健全な目にアイパッチという目隠しをつけ、見えにくい目の発育を促します。痛みを伴うこともなく難しい治療ではありませんが、慣れないうちは嫌がったり、面倒くさがったりすることもありますので、当院では保護者の方も含めて視能訓練士がしっかりとサポートしています。弱視の治療は1回2回で終わるものではなく、小学校高学年くらいまで続きます。気長に取り組むことが大切ですので、困ったことがあればご相談ください。
- Q斜視とはどのような症状か教えてください。
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A
斜視とは目が目標とは違う方向を向き、左右の視線が合わない状態のことです。目の位置が内を向く内斜視、外を向く外斜視、上を向く上斜視、下を向く下斜視があり、子どもの2%程度が該当します。目を動かす筋肉や神経、脳の異常、遠視、視力のアンバランスなどが原因で、ひどくなると立体視ができなくなる場合もあります。時々、赤ちゃんが内斜視ではないかと心配される方がいらっしゃいますが、赤ちゃんの場合は「そう見えている」だけのことも多いです。ただし、ずれが大きい場合や生後6ヵ月を過ぎてもずれがある場合は注意が必要です。お子さんの顔を見ていて「おや?」と思ったら、一度相談しておくと安心です。
- Q斜視にはどのような治療方法がありますか?
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A
斜視は原因や斜視のタイプ、年齢や進行状態によって治療方法が異なります。目のずれが小さい場合には治療用の眼鏡を使用したり、アイパッチを使用したりして目の位置の矯正を図ります。斜視の種類によっては、眼鏡だけで斜視の改善が見込めることがありますし、こちらも痛い治療ではありませんのでご安心ください。ただし、目の位置のずれが大きい場合には手術が必要になるかもしれません。早ければ2歳までに手術を行うこともあります。手術はかわいそうと放置していると、勉強やスポーツに支障を来すこともあります。斜視は小児弱視の原因にもなり得ます。治療は長期にわたりますが、諦めずしっかり治療に取り組むことが大切です。