川口 拓郎 院長の独自取材記事
名古屋東別院ヒュッゲデンタルクリニック
(名古屋市中区/上前津駅)
最終更新日:2024/12/03

名古屋の中心部、中区のビル1階にある「名古屋東別院ヒュッゲデンタルクリニック」。内部はコンクリートの打ちっぱなしで天井は配管を見せた斬新な造り。一方、木の椅子やレースのカーテンを取り入れるなど温かみを感じさせる雰囲気もある。待合室を挟んだ隣には同じ趣向のカフェ兼レンタルスペースが併設されていることも特徴だ。川口拓郎院長は口腔外科が専門で、虫歯や歯周病治療など一般歯科をはじめ親知らずの抜歯、根管治療、インプラント治療、小児歯科まで幅広く対応。さらに「患者さんには定期検診で歯のケアをしつつ快適な生活を送ってほしい」と予防歯科にも力を入れる。院名にある「ヒュッゲ」というデンマークの言葉に込められた思いや同院の強みについてなど、さまざまな話を聞いた。
(取材日2023年5月29日)
日常の豊かな時間となる居心地良い歯科医院をめざして
開業の経緯をお聞かせください。

私は長年、総合病院の口腔外科に勤務し、親知らずの抜歯や口腔がんを含む多くの手術に携わってきました。口腔がんは進行すると切除部分が大きくなり患者さんのQOLが著しく低下します。口腔外科を専門的に診ることのできる歯科医院が身近で通いやすい場所にあれば病院に行かずとも抜歯ができるし、口腔がんの早期発見にもお役に立てるのではないかと考えました。この近くには東別院(真宗大谷派名古屋別院)があり、そこでは月に数回朝市が開かれていて地元の野菜や手作りのお菓子、小物がたくさん出品されているんですが、私はその朝市が好きでよく行っていたんです。そういったご縁を得て好きな場所の近くに開業することができました。
院名に含まれている「ヒュッゲ」とはどのような意味なのでしょうか?
「ヒュッゲ(Hygge)」とはデンマーク発祥の言葉で、コーヒーを飲みながら読書をしたり楽しい食卓を囲んだりといった日常の些細な出来事に幸せを感じるという考え方を指すものです。好きな言葉でずっと心に留めていたので、当院で過ごす時間を日常の豊かな時間のひとこまにしていただけたらという願いを込めて院名にし、内装もその概念のとおりに居心地の良い落ち着ける空間をめざしました。ユニット3台はそれぞれ余裕を持ったスペースで、2台の仕切りや窓にはレースのカーテンを用いています。レース越しに何となく人の気配を感じる程度でプライバシーを守るとともに、窓からの日差しが優しく入るようになっています。晴れた日は、レースのカーテンに窓の外の鉄格子の模様が浮かび上がってきれいですよ。ユニット1台は親知らずの抜歯やインプラント治療など外科手術専用の個室としています。
院内にカフェが併設されているのですね。

はい、食べることが好きなので、歯科医院と同じコンセプトで心地良く「食」を提供できるスペースをつくりたいと思い、併設しました。当院もカフェも、一級建築士である妻が設計しています。たくさんの方に思い思いに楽しんで利用していただければうれしいです。
口腔外科の専門性を生かし適切な診断に努める
どのような患者さんが来られていますか?

近隣にお住まいの方やお勤めの方など20~40代の患者さんが多いですが、お子さんや50~70代の方も来院されます。虫歯や歯周病のお悩みのほか、予防のためにクリーニングに来られる方も多くいらっしゃいます。私の専門である口腔外科の中では親知らずの抜歯が最も多く、一般歯科医院からの紹介やご自身でずっと気にされていた方、他院で抜歯できないと言われた方などが来られます。親知らずは若いうちに抜くほうがメリットがあるといえますね。年齢を重ねてからの抜歯では、骨が硬くなっている分、削る量が増えますし、免疫も若い頃より落ちるので回復も遅いでしょう。持病を抱える心配も出てきます。また親知らずがあって歯磨きがしにくいと手前の歯に虫歯や炎症が起きる、口臭の原因になる、歯並びを悪くするなど多くのリスクがあります。いろいろなダメージを考えると早いうちに抜くことをお勧めします。
抜歯のほかに口腔外科が専門の先生ならではの特徴とは?
歯だけでなく、粘膜や顎の骨の病変の治療、粘膜疾患の精査・治療、インプラント治療、外傷などに幅広く対応できることですね。口腔病理診断所と連携していますので、病院と同じように口腔がんかどうかを検査し診断することができます。当院でできる範囲の手術は平日夕方の時間帯や土曜・祝日に行うことも可能で、大きな病院よりも予約を取りやすいと思います。また極力痛みの少ない治療を心がけており、麻酔注射の前には表面麻酔を、さらに必要に応じて神経の根元に注入するブロック麻酔を併用するといったこともできます。設備としては一般的なエックス線写真撮影機器だけでなく3次元CTを備えており、適切な診断につながるように努めています。
診療の際、心がけておられるのはどんなことですか?

患者さんの不安に寄り添い、しっかりと主訴を聞いて差し上げること、そして治療法の選択肢を示して丁寧に説明し、患者さんが希望された治療を全力で行うことです。もしこの方が自分の家族だったらという気持ちで誠意を持って向き合うようにしています。また、病院勤務時代、とても厳しい先生がいらして多くの指導を受けたのですが、中でも印象に残っているのは、手術はもちろんどんな治療も準備が一番大事ということです。専門性の高い治療も準備がいい加減では良い治療とはいえません。さらに何か起こったときのために第2、第3の案を想定し備えることが大切だということも学びました。それらのことを心がけて治療にあたっているので、安心して治療に臨むことができると思います。
予防にも注力し患者の「食」のサポートを
先生は予防にも力を入れていらっしゃると伺いました。

はい。私自身、虫歯がなくて予防の重要性を身にしみて感じており、同じ意識を共有できる方が少しでも増えてくれればいいなと思います。予防歯科は、定期的にお口のトータルチェックを受けることで病変の早期発見につながり治療が最低限かつ短期間で済むことが望めます。特に口腔がんについては昨今、若年層の発症も少なくなく、早期発見に努めていきたいですね。また歯科衛生士からご自身に合った歯磨き方法のアドバイスが受けられるといったこともメリットで、患者さんの歯科知識が向上し健康意識も高まると思います。健康なお口の状態を保つことは体の健康にもつながり、ひいては健康寿命の延伸にも役立つのではないでしょうか。ぜひライフスタイルに定期検診を組み込んでいただきたいと思います。
そもそも先生が歯科医師を、さらに口腔外科をご専門にされた理由とは?
昔から手を動かして物を作ることが好きだったことが歯科医師をめざした最も大きい理由でしょうか。今はワイヤーアートに凝っていて自宅にはたくさんの作品があります。動物をモチーフにしたものが多く、飼っている小型犬をモデルにした作品もありますよ。当院の洗面所の壁にも作品を飾っています(笑)。口腔外科を専門に選んだのは、一般歯科を扱う歯科医院に勤務してから学ぶことは難しく大学でしか勉強できない分野だったからというのが最初の理由です。しかし勉強しているうちにどんどん興味が出てやりがいを感じるようになり、より高度な技術も身につけたいと、骨切りから口腔がんの手術まで携わり、日本口腔外科学会口腔外科専門医の資格も取得しました。この資格は開業歯科医院で取得されている先生はそれほど多くはないので、専門性を生かした診断、治療に努めていきたいです。
開業されて2ヵ月余り、今後の展望をお聞かせください。

口腔外科が専門といっても大層な手術をするわけではありません。患者さんがいつでも通いやすく心地良く過ごせる歯科医院をめざしていますので、虫歯や歯周病、お口のことでちょっと気になることがあればお気軽に相談に来ていただければと思います。スタッフも当院の理念である「ヒュッゲ」にふさわしい優しい雰囲気のメンバーがそろいました。力を合わせて治療や予防を行い、患者さんが一生健康的な生活を送り、「食」を楽しまれるためのサポートをしていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療 1本/26万円〜、矯正(成人)/75万円〜、矯正(小児)/40万円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。