早川 和男 院長の独自取材記事
しだみ早川整形外科
(名古屋市守山区/高蔵寺駅)
最終更新日:2026/04/30
JR中央本線・高蔵寺駅から車で約7分の場所にある「しだみ早川整形外科」。2023年3月に開業した同院は、木のぬくもりとやわらかな自然光に包まれた、落ち着いた空間が印象的だ。院長の早川和男先生は、国内外で研究に携わってきた経験を持つ。そうした豊富な研鑽を重ねながらも、早川院長が大切にしているのは、決して背伸びをせず、目の前の患者に誠実に向き合うことだ。顔を見て話し、必要なことをきちんと見極め、無理のないかたちで治療やリハビリテーションを進めていく。その姿勢からは、派手さよりも堅実さを重んじる実直な人柄が伝わってくる。「地域の身近なクリニックとして、困ったときにまず相談してもらえる存在でありたいんです」。そう語る早川院長に、日々の診療で大切にしていることや、地域医療への思いを聞いた。
(取材日2026年4月8日)
「近くにあって良かった」と思える存在でありたい
こちらでは、どのような患者さんが多く来院されますか?

30代後半から50代、60代くらいまでの、働き盛りの世代の方が多いですね。仕事や日常生活で体に負担をかけながら過ごしている方が多く、特に肩の痛みを訴える方が目立ちます。整形外科では腰や膝の症状をイメージされることも多いですが、当院では肩の不調が多い印象です。背景には、年齢とともに体の変化を感じながらも、仕事で無理を重ねざるを得ない状況があるのだと思います。そのため当院では、頻繁な通院が難しい方にも続けやすいよう、1〜2週間ごとの受診で状態を確認しながら、ご自宅でできるセルフケアをお伝えしています。忙しい方でも無理なく続けられるかたちを一緒に考えていくことを大切にしています。
通院だけに頼るのではなく、日常の中で続けていける方法を重視していらっしゃるのですね。
リハビリというと、病院に通って、少しマッサージを受けたり電気を当てたりするもの、というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。ただ当院では、院内で何かをすること以上に、ご自宅で続けられるケアをお伝えすることを大切にしています。来院時にはけがや病気の状態をしっかり確認した上で、同じケアを続けるのか、次の段階に進むのかを判断していきます。症状を良い方向に導くには、ご自宅で無理なく続けていただくことがとても大切だからです。そのため、一般的なリハビリのイメージとは少し違うと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
開業以来、リハビリの環境や体制の面で変化したことはありますか?

具体的には、ベッドの数を増やしたり、低周波・高周波、けん引の機械を加えたりと、リハビリ室の設備を少しずつ充実させてきました。大きく何かを変えたというよりは、患者さんが増えてきたことに合わせて、より受けやすい環境を整えてきた、という感覚ですね。リハビリのスタッフも本当に一生懸命やってくれています。開業当初より人数も増え、理学療法士やリハビリ助手など多くのスタッフが関わってくれています。また、リハビリスタッフだけでなく、医療事務・受付、看護師、放射線技師も含めて、院内のスタッフ全体がとても心地良い対応をしてくれていると感じていますね。医療機関では技術や知識ももちろん大事ですが、それと同じくらい、人としてどう接するかも大切だと思っているので、本当にありがたい存在です。
病名のつかない症状も丁寧に見極め、きちんと診る
日々の診療では、どのような考えで治療を進めていらっしゃいますか?

診療を続ける中で感じるのは、はっきり病名がつく病気だけでなく、生活の中で起こる不調を抱えて来られる方がとても多いということです。例えば肩凝りのように、日々の生活や体の使い方が原因になっていることも少なくありません。だからこそ、その場しのぎではなく、どう付き合っていくかまで含めてお伝えすることを大切にしています。もちろん、専門的な治療が必要な方もいらっしゃるので、最初にしっかり見極めることは欠かせません。その上で、生活に起因する痛みや不調については、リハビリを軸に、ご自身でも続けられるかたちを一緒に考えていきます。注射治療が必要な場合もありますが、まずはリハビリやセルフケアを通して、体の使い方や生活の負担を見直していくことが大切だと考えています。
患者さんと向き合う上で心がけていることを教えてください。
診療が立て込んでいても、まず顔を見て話すこと、そして困ったらまた来てくださいとお伝えすることは心がけています。時間に限りがあるので、途中で話を区切らなければならないこともありますし、患者さんによっては、私に対する感じ方が分かれる部分もあるかもしれません。ただ、限られた時間の中でも、できるだけ誠実に向き合いたいと思っています。また、当院を選んで来てくださる患者さんへの感謝は年々強くなっています。しばらく受診がなかった方がまた戻ってきてくださることもあり、そういうときは、もう一度ここを選んでくださったのだと感じます。継続して通ってくださる方はもちろん、一度離れてまた来てくださる方にも、ありがたい気持ちを持って診療しています。
そもそも開業しようと思われたのは、どのような理由からだったのでしょうか。

患者さんをきちんと最後まで診ていきたいと思ったからです。もちろん病院に勤務していた頃は、手術をしたり救急患者さんの対応をしたりと、基幹病院ならではの役割があります。ただ、その後の経過観察は近くのクリニックにお願いすることも多く、もっと一人ひとりの経過を長く見ていきたいという思いがありました。もう一つは、家族の存在ですね。実の父に「人生は一回きりなんだから、自分の城としてクリニックを持ってみろ」と言われたことが、開業の大きな後押しになりました。働いている姿を子どもたちに見せて、「かっこいい」と思ってもらえたら、という気持ちもあったんです(笑)。開業にあたって背中を押してくれた父の言葉は、今も自分にとって大切な原点です。その思いは、これから先も変わらず持ち続けていきたいと思っています。
症状が軽いうちでも、迷わず相談してほしい
実際に開業されて、地域のクリニックとして感じたことはありましたか?

クリニックを始めて強く感じたのは、本当に多くの方がいろいろなことで困っているのだなということです。症状そのものの相談だけでなく、仕事のことやご家族のこと、あるいは本来は別の診療科で相談するようなことまで話してくださる方もいます。それだけ、患者さんが不安や困り事を抱えて来院されているのだと思います。地域のクリニックだからこそ、患者さんの背景も含めて受け止める場面があります。もちろん、すべてをこちらで対応できるわけではありませんし、専門外のことは適切な診療科につないでいく必要があります。ただ、地域のクリニックでは、症状だけを見るのではなく、その方の背景や生活の中での困り事にも寄り添いながら、身近な立場で患者さんを支えていくことが大切だと感じています。
地域で診療を続けていく上で、大切にしていきたいことはどんなことでしょうか?
背伸びをしないことですね。新しい知識はきちんと学び続けながらも、設備を次々に増やしたり、やみくもに規模を広げたりするつもりはありません。今のやり方を大切にしながら、目の前の診療をしっかり続けていくことが、一番大事だと思っています。一方で、患者さんが増えてきた今、体制を整えていくことも必要だと感じています。患者さんへの対応の質を落とさないために、専門性のある先生に協力していただくことも考えていきたいですね。ここまでやってこられたのはスタッフの支えが大きいので、そのことにも感謝しながら、これからもより良い診療を続けていきたいです。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

「こんなことで病院に行っていいのかな」と迷うような段階の方にも、気軽に相談に来ていただきたいと思っています。悪化してからよりも、早い段階で見せていただいたほうが治療しやすいことが多いので、一度相談していただけたらと思います。また、ほかの病院で様子を見ましょうと言われた症状でも、治療やリハビリで楽になる方法が見つかるかもしれません。当院では、比較的軽い段階の症状であれば、スタッフと連携してチームで良い方向に持っていくことをめざします。専門的な検査や治療が必要な場合には、適切な医療機関へ速やかにつなぐことも大切にしています。地域のクリニックとして、まず相談を受け止め、必要に応じて大きな病院へつなぐ。そんな「たまたま近くにあって良かった」と思っていただける存在でありたいですね。

