大人の発達障害を正しく理解
個性をプラスにより良い人生を
渋谷365メンタルクリニック
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日:2024/10/04


- 保険診療
発達障害は、暗黙の了解が理解しにくい、不注意やうっかりミスが多いなど症状はさまざま。本人に自覚がなくても人間関係でトラブルを招くこともあり無視しがたい。「渋谷365メンタルクリニック」の森秀和院長は、発達障害は「個性」で本人に合ったことでは躍進的な力を発揮することもあり、社長を務める人もいると話す。一方、多様な症状に性格などが組み合わさり、時に仕事や学校生活に支障が生じることもあるという。同院では患者の人生がより良くなるよう、長期でサポート。生きづらさを感じる点を解消し、個性をマイナスではなくプラスに生かせるように導いている。「ご本人に合った考え方や生き方を探すことが大切です」と話す森院長に話を聞いた。
(取材日2023年5月29日/更新日2024年8月20日)
目次
発達障害とは、生まれ持った個性の一つが症状として表れたもの。その患者に合った生き方を探すことが大切
- Q発達障害とは何でしょうか?
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A
▲発達障害は個性の一つ。一人ひとりに合わせた向き合い方が大切
発達障害とは、生まれ持った個性の一つが症状として表れたものです。アスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(ラーニングディスオーダー)と診断される患者さんが比較的多いですね。アスペルガー症候群は、場の空気が読みづらい、暗黙の了解が理解しにくいといったもので、自閉症でも同様の症状が見られます。注意欠陥・多動性障害(ADHD)では、不注意やうっかり、衝動性などが見られます。学習障害(ラーニングディスオーダー)の患者さんは、全般的な知的発達に遅れはないのですが、読み・書き・計算などの特定のことが苦手です。症状は必ずしも一つではなく、複数併発することもあります。
- Q仕事や学校生活でどのような難しさが生じるのでしょうか?
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A
▲自分の発達障害の特性を理解してもらうことを大切にしている
先に挙げたような症状にご本人の性格が組み合わさり、時に生活に支障が生じます。例えばアスペルガー症候群の患者さんはこだわりが強い一面もあり、特定のことや行動にこだわるあまり学校や会社の人間関係でトラブルになってしまうことがあります。注意欠陥・多動性障害(ADHD)の患者さんはうっかりから忘れ物やミスが増え、それが続くと周りにも迷惑をかけてしまいます。また発達障害の患者さんは音に対して敏感な傾向にあり、ちょっとした雑音が全部うるさく聞こえてしまうのです。周囲となじめず疎外感を感じたり、イライラが続いたりしてしまうと、そこからうつ病や強迫性障害などほかの病気につながってしまうこともあります。
- Q治療法や薬について教えてください。
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A
▲患者に向き合い方を説明し、本人が生活しやすい環境を作っていく
うっかりや衝動性に対してはそれを抑えるための薬がありますが、発達障害のすべての症状をカバーする薬はありません。その方の個性なので完全になくすことは難しいですから、まずは症状について知っていただき、日常生活がスムーズに進むような対処法をお伝えします。予定を忘れてしまうのならばスマホのアラーム、マルチタスクが苦手ならば腕輪型のメモ、雑音が気になる時にはイヤホンが役立ちます。精神科の病気はすべてそうですが、発達障害の治療もオーダーメイドです。患者さんの悩みが軽くなるよう尽力しています。
- Q症状との付き合い方をアドバイスしてくださるのですね。
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A
▲長期でのサポートも可能。先生と二人三脚で障害と向き合っていく
そのとおりです。この先の人生を快適に過ごせるよう、長期にわたってサポートいたします。生きづらさを感じているならばその点を解消し、個性をマイナスではなくプラスに生かせるように導くのが私の役目です。それだけで才能が花開くこともあるんですよ。研究者や経営者の中には、発達障害で悩んだ過去を持つ方もいらっしゃいます。自身の個性を知り、治したい部分には気を配り、その上で個性を長所として発揮している方々です。例えば特定の物事への深い「こだわり」が、優れた製品や研究結果を生み出すこともあります。ご本人に合った考え方や生き方を探すことがとても大切なのです。
- Qいつ受診すれば良いのでしょうか?
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A
▲人生をより良くするために精神科を利用してほしい
子ども時代に治療を始めることも最近は多いですが、以前は今ほど発達障害は注目されていなかったため、大人になり周囲との関わりから気づく方も多いです。それでもまったく遅くないですし、近年大人の発達障害に注目が集まっています。子どもの頃から周囲となじめない、ミスが多くて困るなど発達障害かもしれないと感じたら、いつでもご相談ください。発達障害はひとくくりにはできず、悩みや解決法は千差万別です。だからこそ医師と患者さんが一対一で向き合うことが大切です。私は精神科・心療内科の治療を「患者さんの人生をより良くするもの」だと思っています。一緒に個性の伸ばし方を考えましょう。