外山 裕志 院長の独自取材記事
とやま眼科クリニック
(尼崎市/尼崎駅)
最終更新日:2025/12/15
阪神本線、阪神なんば線の尼崎駅。西改札口を出て徒歩3分。「とやま眼科クリニック」は五合橋線と国道2号が交わる大きな交差点にある医療ビルの2階にある。院内へ足を踏み入れると、白を基調とした清潔感のある空間で、明るくスッキリと整えられた待合室が心地良い。奥には検査室・診察室・手術室があり、先進の機器が並んでいる。外山裕志(とやま・ひろし)院長は、2023年3月にこのクリニックをオープンした。落ち着いた声とまなざしで穏やかに話す外山院長に、クリニックへの想いを聞いた。
(取材日2025年11月17日)
目を診るという選択と、地域で続ける医療
まず最初に、先生が眼科を選んだ理由を教えていただけますか?

進路は大きく外科系と内科系に分かれるのですが、私は手術ができる科に興味があり学生時代から外科系に進みたいと考えておりました。その中でも眼科は目に関しては外来治療から手術、治療後のフォローまで一連の流れを自分の手で担当できることが私にとっては大きな魅力でした。例えば、内科でがんなどが見つかった場合に手術が必要な時は外科に治療を依頼します。中にはそのように内科だけでは完結できないケースも少なからずあります。その点、眼科は専門領域ではありますが、目に関することならほとんどすべてを眼科の中で完結できるのです。その点にとても魅力を感じたことが、私が眼科を選んだ大きな理由の一つです。
開院を決意したきっかけや背景を教えてください。
医師になると、臨床医は大学病院や市中病院で勤務医として働く道と地域で開業する道の大きく2つがあります。私は医師になった当初から、地域に根差したクリニックを開き、患者さん一人ひとりと向き合いたいという思いがありました。私の家族や親戚に医師はいませんが、その分、より「身近な存在として頼っていただける医師になりたい」という気持ちが強かったのだと思います。開院の時期について、最初から具体的な計画があったわけではありません。「40歳を過ぎた頃に、良いタイミングが来れば」といった漠然としたイメージでした。しかし、関西ろうさい病院に勤務していた時、その近くで理想的な場所に巡り合えたことがきっかけとなり、36歳という思ったより早いタイミングで開業することになりました。勤務していた病院の近くで開院することになってスムーズに地域に根づくことができたと感じております。
診療内容について教えてください。

当院では、目に関するさまざまな不快な症状や病気に幅広く対応しています。幼児の方からご高齢の方まで、年齢や生活背景に関わらず、どなたでも受診していただけます。お子さんでは結膜炎や近視などが多く見られ、ご高齢の方では白内障・緑内障・加齢黄斑変性などの症状で来院されるケースが多いです。いずれの場合も、少しでも違和感や不調を感じたら、まずは気軽にご相談いただきたいと思っています。個人クリニックではすべての病気を治療できるわけではありませんが、勤務医時代に多くの症例を経験してきたことで、症状の見極めや診断にはしっかり対応できると考えています。当院で治療できるものは責任を持って行い、より高度な医療が必要な場合には、適切なタイミングで大きな病院へスムーズにご紹介いたします。
先進の機器による精密な検査と、アットホームな診察
どのようなクリニックをめざしているか、教えてください。

ありきたりに聞こえるかもしれませんが、地域に密着し、丁寧に診療するクリニックでありたいと考えています。開業医は、患者さんとの距離が自然と近くなります。だからこそ、親や親戚に会うような気持ちで、親しみを持って来院していただける、温かくアットホームな場所でありたいと思っています。当院は2023年にオープンしたため、設備も新しく整っています。白内障手術装置や手術用顕微鏡など、先進の医療機器を導入し、検査の精度にもこだわりました。もちろん、開業医としてできる範囲には限りがあります。しかし、最先端の研究を行う医師とはまた異なる立場で、「患者さんに提供できる最善」を着実に積み重ねていくことが大切だと考えています。
力を入れている治療について教えてください。
当院では、日帰り白内障手術と硝子体注射に特に力を入れて取り組んでいます。白内障は程度の差はあるものの、80歳以上ではほとんどの方が発症しているといわれるほど、とても身近な病気です。「最近かすんで見える」「まぶしく感じる」といった症状で来院される方も多いです。視力自体が落ちていなくても、“強い見えづらさ”を感じる方もいらっしゃいます。つまり、視力検査の数値だけではわからない不調が出ることもありますので、違和感を覚えた時点で一度検査していただくことをお勧めしています。こうした症状が原因で、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、白内障手術を検討する段階です。手術時間はおよそ10〜15分ほど。体への負担も比較的少なく、日帰りで受けていただけるのが特徴です。
硝子体注射についても教えてください。

硝子体注射は、加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症などの疾患に対して行う、目の中に直接薬を注入する治療です。「痛そう」「怖い」というイメージを持たれることが多いですが、目薬の麻酔をしてから行うため、あまり心配しないで受けていただきたいですね。注射に使う抗VEGF薬は、新生血管の活動の抑制に役立ち、炎症や出血を防ぐ作用が望めます。これらの病気は、定期的な検査と適切なタイミングでの注射を続けることで、視力を維持できる可能性の向上が期待できるため、継続的な治療がとても重要です。患者さんの不安が少しでも軽くなるように、丁寧に説明しながら治療を進めるよう努めています。
高い技術面だけでなく、スタッフの面でも充実していらっしゃいますね。
はい。当院には視能訓練士が常駐しており、視力検査はもちろんのこと、白内障手術の術前・術後検査や斜視弱視検査などの高度な検査についても高い精度で行うことができます。安心して受診いただきたいです。
幼児から高齢者まで、気軽に相談できる眼科をめざして
先生がやりがいを感じるのは、どのような瞬間ですか?

勤務医時代も開業医になってからも変わらないのですが、やはり、患者さんが喜んでくださることが一番うれしくて、やりがいを感じます。そのように言っていただけるように、今後も努力を重ねたいです。
地域の皆さんへのメッセージをお願いいたします。
尼崎には、ファミリー層から高齢の方まで幅広い層の人々が住んでいらっしゃるのですが、目の疾患を抱えるのは高齢の方が中心です。高齢者の中にはインターネットの検索が苦手という方もいらっしゃるので、地域の情報はクチコミが多く、当院について知らない方が、まだまだたくさんいらっしゃると感じています。若い人は目の不具合をまだ感じていないかもしれませんが、ご自身の親御さんやお子さんなど、身近な誰かが目に何らかの違和感を感じているようであれば、気軽に受診するようにお勧めしてもらえたら、と思っています。そうすることで、病気の早期発見にもつながります。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。

地域との関わりや、患者さん一人ひとりを大切にするという今のクリニックの形を、引き続き大事にしたいです。繰り返しになりますが、地道に、目の前の患者さんに対して今できることに力を注ぎながら、クリニックを運営していけたらと思っています。スタッフともども心より皆さまのご来院をお待ちしております。

