山下 愛茜 院長の独自取材記事
えびなファミリークリニック ソラーレ
(海老名市/海老名駅)
最終更新日:2023/03/31

神奈川県中央部に位置する海老名市。相模川に平行して走る県道46号線沿いに「えびなファミリークリニック ソラーレ」は位置している。その名のとおり、地域の子どもから高齢者まで幅広い世代を診察する地域のかかりつけ医だ。内科・小児科・リハビリテーション科を標榜する同クリニックには、「どこの科にかかったらいいのかわからない」という相談が寄せられることも珍しくない。山下愛茜院長は、「まずはソラーレに行って聞いてみよう」と頼りにしてもらえたらうれしいと朗らかに語る。地域のニーズに応えようと尽力する山下院長に、地域への思いや、全国でも数少ないクリニック内の重症心身障害児専門デイサービス、今後の展望など、たっぷり話を聞いた。
(取材日2023年3月17日)
地域の人が困った時に最初に頼れる窓口でありたい
2022年に継承を前提に院長に就任されたと伺いました。

当クリニックはもともと、海老名市にある「えびな脳神経クリニック」の本院「えびな脳神経外科」でした。理事長と脳卒中専門病院でともに治療にあたっていたご縁から、2022年に当院の院長に就任したという経緯です。2022年6月に「えびなファミリークリニック ソラーレ」に改名し、新たなクリニックとして開院しました。現在は内科・小児科・リハビリテーション科のクリニックとして診療を行っていますが、もともと脳神経外科に通われていた患者さんも診ていましたし、CTやMRI検査が必要な患者さんを「えびな脳神経クリニック」へ送れるよう、引き続き連携を取っています。
患者さんの層について教えてください。
患者層は、やはり地元の方が中心ですね。当クリニックは海老名市の北側にあり、座間市からも近いんです。そうした立地の関係から、厚木や座間から通われる患者さんもいらっしゃいます。年齢層は、赤ちゃんから100歳を越えた高齢者の方まで、幅広いですね。毎日、本当にいろんな方がいらっしゃいます。「ここは世代を問わずどんな方でも来ていただける場所ですし、どんなお話も聞きますよ」という思いでファミリークリニックと名づけましたので、地域の方々にお越しいただけていて、ありがたく思っています。実は「どの病院に行ったらいいのかわからない」とお越しになる方も多いんです(笑)。私はそのことを本当にうれしく感じているんですね。やっぱり、地域で最初に頼れる場所だと思ってくださっているということですから。当クリニックで診られる症状なら診療しますし、別の病院のほうが適している場合には紹介いたします。
先生が医師をめざしたきっかけは何でしょう?

父が外科の医師だったので、その背中を見ているうちに、自然と医師を志すようになりました。父は仕事について家庭でよく話すような人ではないのですが、家族が体調を崩した時には、しっかり話を聞いて適切に判断してくれました。今思えば、父のように頼れる存在が身近にいたら心強いなと感じた幼い頃の思い出が、地域に根差したクリニックをめざす現在にもつながっているのかもしれません。リハビリテーションを専門にしようと思ったのは、小学生の時に知的障害があるクラスメイトがいたことがきっかけです。養護学校とも交流があった小学生時代のことを思い出して、障害がある方のために何ができるのかを考えた時に、小児科からではなく、リハビリテーションの面から関われないかという想いが芽生えたんです。どのように障害と付き合いながら生きていくのかを支えたい。その想いは、今も変わっていません。
太陽のように地域を照らす、人が集まる場所をめざして
クリニックの特徴について、教えてください。

当クリニックの特徴は、やはりどんな年齢の方でも幅広く診察できることですね。もともと、リハビリテーションを専門にしようと思った時に、障害者だけでなく、本当の意味で子どもから大人まで診られる医師になりたいというビジョンを持っていたんです。特に障害者のリハビリテーションでは、患者さんの生活の中に入って、どのように生活を作っていくのかを考えます。患者さんの人生に寄り添いながら、将来まで見据えて時間をかけて診療を作り上げていくんです。ですから、最初からファミリークリニックにしたいという構想を持っていました。また、クリニック名の「ソラーレ」は、イタリア語で太陽を意味する言葉です。「当クリニックが地域の太陽となって、ぽかぽかと温かい光で照らすような存在でありたい」という想いを込めています。小さなことから何でも気軽に相談できて、帰る時には自然と笑顔になる。そんな場所をめざしています。
患者さんに接する時に心がけていることはありますか?
心がけているのは、患者さんが一番訴えたいことをきちんとくみ取ることですね。当クリニックには、言葉が不自由な方や自分の悩みをうまく打ち明けられない方など、さまざまな患者さんがいらっしゃいます。しっかりお話を伺うためにも、まずは笑顔で迎えて、少しでも安心していただけるような声かけをするようにしています。電子カルテの入力もしますが、できるだけ患者さんとの距離を縮めて、きちんと目を合わせて観察をすることも大切にしています。その分、医師の中では患者さんとの距離が物理的に近いほうかもしれません(笑)。でも、そのくらい真摯に向き合ってこそ、患者さんが抱えている気持ちや症状まで読み取れると思うんです。
2023年4月に、クリニック内に重症心身障害児専門の施設を開設されるそうですね。

療育施設で勤めていた時から、お子さんやご両親がまだ訓練を受けたいと思っていても、一定の基準に達したら卒業しなくてはならないことが気がかりでした。そういうお子さんは、学校が終わったら行く場所がないんですね。また、ご家族にも自分のための時間や心のゆとりが必要です。この近辺では療育施設がありませんし、地域の受け皿としてもニーズがあると思い、クリニック内に重症心身障害児専門の児童発達支援・放課後等デイサービス施設「オトノハ」を開設しようと思いました。オトノハには専属の理学療法士が在籍していますし、何かあった時にはすぐに医師が関われるというメリットがあります。専門家が連携してオーダーメイドのリハビリプログラムを作成しますし、バギーや車いすに乗ったまま乗車できる福祉車両で、学校へお迎えやご自宅への送迎にも対応します。専門家がしっかり受け入れますので、安心してお任せいただければ幸いです。
間口は広く、地域に深く根差したクリニックに
お忙しいと思いますが、休日の過ごし方を教えてください。

休日は、基本的に子どもたちのために時間を使っていますね。成長していくにつれて子どもと過ごす時間はどうしても少なくなってしまいますので、自分のためにも意識的に子どもたちと触れ合うようにしています。私には子どもが4人いるのですが、みんなで一緒にというよりは、一対一で接することを心がけています。一つ一つはささやかなことですが、散歩に出かけたり、一緒に買い物に行ったりして、子どもたちとコミュニケーションを取ることが小さな楽しみとなっていますね。
今後の展望はありますか?
これまでと変わらず、困った時に頼れる場所として間口を広く設けておきたいと思っています。一人ひとりの患者さんに向き合い、親身に診療していけば、自然と地域の方々に「困ったらソラーレに行こう」と思っていただけるような場所になれるかな、と。これからも地域に根差した診療をコツコツ続けていきながら、将来的には診療科目を増やすことも視野に入れつつ、地域の方々にとってより良いクリニックにしていけたらと思っています。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

この場所で1年間クリニックをやってきて、この地域の方々にとって、すぐそばに頼れるクリニックがあることが本当に求められていたんだなと感じています。小児科やリハビリもそうですが、ちょっと体の不調を感じた時に駆け込める場所が近くにあることは、本当に安心していただけることだと思います。当クリニックは、お子さんから高齢者の方まで、幅広い世代の患者さんを診察するファミリークリニックとして、小さなお悩みからご相談に乗ります。当クリニックには子どもから大人まで対応できる理学療法士がいますので、リハビリも安心してお任せください。また、最近は、発達の悩みや療育の相談も増えています。子育ての悩みは尽きませんが、私自身が4人の子どもを育ててきた経験を持つ母として、女性医師として、親身に寄り添いますので、お気軽にご来院ください。