口腔機能・食事・姿勢・呼吸など
包括的な視点で行う小児矯正
大倉山こいし・こども矯正歯科
(横浜市港北区/大倉山駅)
最終更新日:2025/09/12


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子どもの虫歯は減少を続け、歯科医院への通院の目的も、定期検診による予防が中心になっているようだ。そのため「親御さんからはお子さんの歯並びについてのご相談が増えています」と、「大倉山こいし・こども矯正歯科」の小池香織院長は語る。「ただ当院では、3〜5歳児に歯を動かすための小児矯正を積極的に行うことはなく、一般的に以前より小さくなったとされる現代人の顎を十分に発達させ、永久歯が整うスペースを確保するためにも、口腔機能のトレーニングをお勧めしています」。さらに同院では口腔機能に加え、食事や普段の姿勢、呼吸などの相互関係も歯並びに影響するとの考えから、これら全体を診ていくのが特徴。そうした包括的な視点で行う同院の小児矯正について小池院長に詳しく聞いた。
(取材日2025年8月20日)
目次
口腔機能のトレーニングや姿勢への意識が重要に。3〜5歳児から始める包括的な小児矯正
- Qお子さんの通院では虫歯治療より予防や矯正が多いそうですね。
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A
▲小さな頃からの習慣が、未来の歯をつくることにつながる
親御さんは子どもの頃に虫歯に悩まされた世代のせいか、お子さんに対する虫歯予防の意識は高く、歯磨きが行き届いて虫歯は非常に少ない傾向です。通院の目的も定期検診による虫歯の予防・早期発見のほかに、矯正の必要性や歯並びへの対策など「どうしたら悪くならずに済むか」という視点のご相談も増えました。しかし一般的に3〜5歳児くらいでは、上の歯や下の歯が前に出たような状態でも矯正を始めることはまずありません。すきっ歯を心配される親御さんもおられますが、永久歯が並ぶ余地が必要なので、生え替わり後は問題のないことがほとんど。一方、口腔機能の発達を促すトレーニングは3〜5歳児くらいからが適しています。
- Q口腔機能の発達サポートはどんなお子さんに必要でしょうか?
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A
▲キッズスペースを用意し、通うのが楽しくなる工夫を凝らす
口腔機能は食べる・飲み込む・話すなど口に関わる働きのことで、私が3歳児検診や当院の患者さんを診る限り、ほとんどのお子さんが口腔機能の発達が不十分と感じています。この発達をサポートし、「お口ポカン」な状態の改善や顎の適切な発達につながれば、永久歯の歯並びが整いやすくなって、将来の矯正が不要になることも期待できます。15歳未満で口腔機能発達不全症と診断された場合、口腔機能の発達を促すため舌や口の周りの筋肉、顔の筋肉などを適切にトレーニングするMFT(口腔筋機能療法)が保険適用になりますが、当院ではそれ以外のケースでも、必要に応じて自由診療で筋機能をトレーニングするプログラムをご提供しています。
- Q口腔機能以外ではどんな要因が歯並びに影響してきますか?
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A
▲噛む力は、姿勢が重要なポイントに
やわらかい食事が多いと噛む回数が減って、顎の発達が不十分になりがちとはよく言われますが、併せて食事をする時の姿勢にも注意が必要です。例えばお子さんが親御さんやテレビを見て、顔を斜め向きのままで食事を続けていると、噛む力が偏って顎や顔全体にずれが生じることが考えられます。もちろん普段の生活でも、肩が前に出た前かがみの姿勢は下顎が下がって口が開きやすく、口呼吸になって舌が正しい位置に収まらないなどにより、口腔内のトラブルや歯並びへの悪影響も出てくるのです。このため当院では筋機能トレーニングの一環として、お子さんが正しい姿勢を意識し、それを支える体幹も鍛えるためのプログラムも取り入れています。
- Qお子さんや親御さんへの話で重視される点は何でしょうか?
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A
▲歯並びは「生活習慣」から育てていく
多くの親御さんは「この歯並びで大丈夫だろうか」とお子さんの口腔内を気にされますが、適切な歯並びをめざすには口腔機能を中心に、食事と姿勢と呼吸といった生活面での注意が大切とお伝えしています。歯並びの乱れや顎の不十分な発達は、口腔機能や生活面に何か問題があるサインとも言え、特にお子さんの場合は、全身の健康や機能の改善を図ることで成長を促し、結果として正しい歯並びに導くことができればと考えています。加えて筋機能トレーニングも背筋を伸ばした正しい姿勢でないとやりづらいため、当院では姿勢の指導も併せて行っています。また、6歳以上で矯正が必要なお子さんにはマウスピース型装置を用いた矯正も行います。
- Qどうして食事・姿勢・呼吸に着目されたのですか?
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A
▲歯並びの悩みは、体の不調のサインの可能性も
私の場合は、口腔機能の発達が不十分なお子さんの多さから筋機能トレーニングの必要性を感じ、姿勢を整えないとトレーニングがうまくできないことなどで、姿勢の大切さを意識するようになりました。やわらかい食事による顎の発達問題は以前から言われていますし、誤った姿勢では呼吸がうまくできないといった関係にも気づき、これらが影響し合って歯並びの乱れにつながると考えています。こうした知識は歯学部卒業後に独自に学びましたが、当院の小石理事長とも情報交換をしながら、また親交のある鍼灸師の方に協力していただき、当院で姿勢をテーマにした親子向けのセミナーや院内勉強会を行うなど、さらに知識を深めるよう努めています。
自由診療費用の目安
自由診療とは口腔機能トレーニングの初期費用/18万2000〜23万7000円(口腔内の状況や永久歯の生え具合、顎の成長具合などによって変動あり)、 呼吸のトレーニング/14万3000円、舌・嚥下トレーニング/各16万5000円、マウスピース型装置を用いた小児矯正/60万5000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。