新型コロナウイルス感染症と罹患後症状
気になる症状は早めに相談
天川大島にしきどクリニック
(前橋市/前橋大島駅)
最終更新日:2023/11/14
- 保険診療
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行した今、「それは決してコロナ禍が終わったわけではありません。人間の生活に入り込み、いつまでも付き合っていかなければならないウイルスとなりました」と訴えるのは、「天川大島にしきどクリニック」の錦戸崇院長。たくさんの患者を悩ます新型コロナウイルス感染症とその罹患後に残る症状の診療に力を入れている医師だ。「まずはその症状の原因を鑑別し、経過を見ながら治療を進めていくことが大切です」という錦戸院長に、症状や治療の進め方、大切にしていることなどを詳しく聞いた。「ウイルスは広まるもの。感染者を差別しないでほしい」と穏やかに話す錦戸院長からは、患者の健康を思う優しさがひしひしと伝わってきた。
(取材日2023年7月14日)
目次
咳や息切れ、倦怠感や睡眠障害など多様な症状には、適切な診断と治療が大切
- Q新型コロナウイルス感染症から罹患後症状まで診療されてますね。
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A
2020年から新型コロナウイルス感染症が流行拡大しましたが、複数回感染したり、ワクチンを打っても感染してしまったりと、一度は罹患したことのある方が増えてきました。そして罹患後に出てくる症状に悩む方も珍しくありません。例えば「なかなか体のだるさが抜けない」など、1年単位で悩んでいる方もいます。新型コロナウイルスに感染した際の症状もさまざまですが、中には感染時の症状は軽くても、罹患後にとある症状が重く出ているという方もいます。気になる症状があれば、一人で抱え込まずに、医療機関を受診していただきたいですね。診察ではその症状が罹患によるものなのか、ほかの病気ではないかを鑑別していくことになります。
- Q罹患後の症状にはどのようなものがありますか?
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A
咳や息切れなどの呼吸器系の症状をはじめ、痰が残ったり、味覚や嗅覚がなくなったりするほか、疲労感やだるさ、めまい、睡眠障害、動悸、うつ状態、記憶力や集中力・判断力の低下など、症状は多岐にわたります。小学生や中高生で朝起きることができなかったり、授業に集中できずに成績が落ちたりするケースもあるようです。ほかにも、マルチタスク能力が低下することで、仕事や運転ができなくなることも。日常生活に支障を来たす場合などは、詳しい検査を受けることをお勧めします。検査を受けても異常値が出てこないこともありますが、それぞれの症状に応じた治療を進めていくことが重要です。
- Q診療で大切にしていることは何でしょう?
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A
患者さんの訴えに対して、真摯に耳を傾けることですね。罹患後の症状はさまざまあるからこそ、来院の目的はもちろん、どのような症状があり、どのくらい続いているのかなどをじっくり伺うようにしています。さらに、症状に応じた薬を処方した上で「薬がその人に合っているか」「新しい症状はないか」など、経過をじっくり診ていきます。すぐに良くはならなくても、少しずつでも良くなっていける方法を一緒に探していきたいなと。診療を通じて、患者さんが自らの症状に関する理解を深め、気づきにつなげていくことも大切だと考えています。
- Q具体的な治療の進め方についても教えてください。
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A
新型コロナウイルス感染症の治療に関しては、最近、抗ウイルス薬もできましたし、当院でも積極的に活用しています。また、一般的な流れとして、感染した際により専門的な治療が必要な場合、診断した医師から近隣の医療機関などを紹介することになります。気管支喘息や肺炎で酸素吸入、脱水症状で点滴といったように入院治療を進めていく流れです。罹患後に症状が出てきた方については、先ほどのとおり、その症状に応じた薬や治療を行いますし、場合によって漢方薬を組み合わせることもあります。咳などの呼吸器系の症状がある場合、咳止めの長期間服用による弊害もあるため、専門の医師に相談することも大事です。
- Qインターネットなどで情報収集する人も多いようですね。
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A
病院やクリニックなど発信者の名前や資格が明らかではない情報も少なくありません。すべてをうのみにしないように注意していただきたいですね。特に「この症状は風邪だから新型コロナウイルスではない」と自己判断する方もいらっしゃるようですが、そうとは限りません。風邪の症状があれば、新型コロナウイルス感染症の可能性も含めて検査を行い、適切な治療を受ける必要があります。市販薬で済ませるのではなく、専門知識を持った医師に相談するようにしましょう。なお、当院では病気で学校や会社を休まないといけない方には診断書や傷病手当を書くなど、社会的なサポートも行います。ぜひ医療機関を活用していただきたいです。