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小堀 俊一 院長の独自取材記事

大森西メンタルクリニック

(大田区/梅屋敷駅)

最終更新日:2019/12/11

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「大森西メンタルクリニック」の院長を務める小堀俊一先生は大田区の出身で、大森にキャンパスのある東邦大学医学部を卒業。2001年に東邦大学医療センター大森病院の向かいに現在のクリニックを構え、長年にわたり地域診療を行っている。外観はプライバシーの守られた造りになっており、2年前にリフォームしたという院内は明るさと清潔感にあふれている。若い世帯の流入も顕著な大田区。小堀院長は同院において、働き方改革が推進される以前より、地域に根づいて勤労者の心のケアを行ってきた。今回、小堀院長に医師をめざしたきっかけから、診療、患者にかける思いについてたっぷりと話を聞いた。
(取材日2017年9月11日)

産業精神医学に精通し、勤労者の心のケアに従事

医師をめざしたきっかけは何ですか?

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私は読書が好きで、特に精神科の医師であり、作家としても活躍していた方々の書く小説を中学生の時から読んでいました。そういった本を読んでいるうちに、精神科の医師という仕事に興味を持つようになったんですね。また、私は人と話をすることが好きで、会話の中で相手が何を感じているかをくみ取りながらコミュニケーションを交わすことに、面白さを感じていました。そうした自分の性格も精神科の医師として生かせるのではないかと思ったのもあります。私の場合は始めから「医師になりたい」というより「精神科の医師になりたい」という思いが強かったですね。そして、生まれ育った、大好きなこの街にある、東邦大学医学部へ進学しました。

卒業後のご経験を教えてください。

東邦大学の精神神経学講座へ入局しました。当時は社会復帰が難しいとされていた統合失調症について、患者さんが社会生活を送る上で指標となるものを生み出したいという思いで大学院へ進学し、研究に取り組みました。その後、メンタルヘルスという言葉ができたばかりの頃、東京労災病院に赴任し、勤労者の心の健康管理に力を入れていくようになりました。一般病床での精神科の治療について、当初はスタッフの理解や協力を得るのに苦労したのを覚えています。東京産業保健推進センターの立ち上げにも協力したりと、産業精神保健の分野の移り変わりを見てきました。東京労災病院では、副部長を経てその後に、部長を務めさせていただいたので、病院の玄関にある精神科の標榜を見るたびにいつも責任や緊張を感じていましたね。

勤労による精神疾患について、どのような移り変わりが見られますか?

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終身雇用制から成果制度へ移行し、リストラの増加に伴って自殺者数も増加の一途をたどり、2016年に「働き方改革実現推進室」というのが設置されました。従業員のストレスチェックを産業医が行い、事業所にコメントすることが法的に定められたものです。医師は勤労者の労働と病気の関係性を雇用者へ医学的に説明することで、勤労者の要求が単なるわがままではないことを示し、雇用者側に業務上必要な処置を取るよう促す役目です。昔は精神的な疾患にかかると個人の疾患として扱われましたが、現在は各企業が労働環境改善に関する取り組みを見せ、疾患に対する理解も大きくなっていますね。

家族も交えて診療し、患者をサポート

どのような方がこちらに来院されますか?

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年代によって悩みは違えど、うつ病などの症状はそれぞれ現れますので、20代から60代と幅広い年代の患者さんに受診いただいています。うつ病の認知が広く進み、以前に比べて精神科の受診のハードルも下がったため、来院者数は増えています。「苦しい」と口に出せる人が増えたということは、治療の機会を得られる方も増えるということですから、ある意味ではいいことだと思いますね。特に大田区は次々と新しいマンションが建設され、若い世帯の流入が急増しているため、当院にも勤労者の来院が多いです。最近は家族に促されるというより、自覚症状を持って来院される方がほとんどです。

診療はどのように行われますか?

例えば勤労者の場合、当院ではまず症状のチェックはもちろん、労働時間数、残業時間数など業務上の負荷項目を確認します。そこで過剰な労働があると判断すれば、ご本人の了解を得てご家族から会社へフィードバックしていただくようにご説明しています。そして、患者さんの事情とすり合わせながら、ベストな治療法を検討し、医師から患者さんへの一方通行ではない双方向の治療を進めていきます。来院の目安としては、一晩中、悩みが頭の中をぐるぐると回るようことが一週間続くようでしたら、疾患の可能性があるので受診をお勧めいたします。

家族の同席も大切ということでしょうか?

ご本人だけでなく、ご家族からも状況をお伺いすることで、ご本人からの聞き漏らしやコミュニケーションの齟齬を防ぐことができます。患者さんご本人は初診は具合を悪くして来院され、話を十分に聞けていない可能性もあるので、ご家族がいらっしゃれば、あとで診療内容を確認できますし、両者で情報を共有していればその先の治療もスムーズに行うことができます。ご家族にとっても、患者さんの状況をわからなければご自宅のケアも難しいと思うので、初診はなるべくご同席いただきたいですね。

エネルギー消費はうつ病治療の大敵

うつ病の患者さんを持つご家族へのアドバイスはありますか?

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うつ病はエネルギーが低下している状態なので、あれこれやろうとすると余計にエネルギーを消耗してしまいます。ダムに水をためるように、エネルギーをやたらに消耗させないことが治療では大事になります。よく、気分転換に旅行へ行こうとされるご家族がいらっしゃいますが、それはかえって症状を悪化させることもあるので避けていただきたいですね。最初の10日間は一日中何もしないで、好きにゴロゴロ寝かせるようにお伝えしています。休養は早期回復の鍵なんです。また、ご飯を作らせないように指示していますね。まず献立を考えることって、すごく労力のいることなので、ご飯を調達されるようにお話しします。だいたいの場合、10日ほどたてばご本人も自分のしたいことがしたくなり、動きを見せるようになると思います。

治療でめざすゴールとは何でしょうか?

基本的にはどんな症状でも通院すれば回復が期待できます。ゴールは医師が決めるものではなく、患者さんの生活観によって異なりますので、診療ではご意向を確認し、そのゴールに向けてどの段階でどういう治療をし、どのような状態が予想されるか、といった見込みをお話しします。それは、ゴールに向けて患者さんに少しずつ心の準備をしていただく意味もあります。そして、お薬の量もだんだんと減り、診療を終えても問題ないと判断すれば、患者さんに「治療を終了していいですか」とお尋ねします。そこで「はい」とご納得いただいたとき、達成感を感じますね。治療が終わり、患者さんが元気になった様子を拝見するとホッとしますし、私もとてもうれしい気持ちになります。

患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

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素直に患者さんの言葉に耳を傾けることですね。誤診を防ぐためにも、お答えいただける範囲内でできるだけの情報収集を行います。また「この薬は即効性があるけれど、太ることがある」、「この薬は太ることはないけれど、即効性は期待できない」と、患者さんにお困りのないよう、物事を明解にお伝えするように心がけています。患者さんから「はっきりと物を言ってくれる先生」という声をよくいただきますね。それから当院には十年以上一緒に勤務し、診療内容を熟知したスタッフがおりますので、彼女たちにもお気軽にお声がけください。患者さんにとってご相談いただきやすい環境を整えておりますので、お悩みがあれば抱え込まずに、まずは一度足をお運びいただければと思います。

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