桂田 達也 所長の独自取材記事
塩小路クリニック
(京都市下京区/京都駅)
最終更新日:2025/04/11

京都駅、七条駅より徒歩10分。心地良い高瀬川のせせらぎが聞こえる京都駅東エリアにある「医療法人医仁会 塩小路クリニック」は、歴史ある京都の街の医療を支える「武田病院グループ」が営むクリニック。春には満開の桜の花で彩られるエントランスをくぐり抜けると、笑顔のスタッフが優しく対応してくれる。一般内科・血液内科で研鑽を積んだ桂田達也所長は、老年内科や訪問診療の経験も豊富で、現在も午後には施設への訪問診療に出かけ、多くの人の体調管理に注力する。「われわれがめざすのは健康寿命を延ばすこと。そのためにできることを丁寧にしながら患者さんに寄り添うのがわれわれの役割」と穏やかに話す桂田所長に、クリニックの成り立ちや理念について詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2025年3月19日)
地域住民の体調不良や慢性疾患の管理に幅広く対応
まずはクリニックについて教えてください。

当院は1961年に開業した武田医院夜間診療が発展し、今日まで京都の医療や福祉に携わってきた「武田病院グループ」のクリニックです。武田病院とは密に連携しておりますが、われわれは、より地域の皆さんの些細な体調不良や日常の健康管理のお役に立てるよう、一般内科を中心とした診療を行っており、午前中はクリニックでの外来診療、午後は介護施設や居宅への訪問診療を行っています。非常にアットホームなクリニックですから、風邪などの感染症や日々の体調不良、慢性疾患や生活習慣病の管理、健康診断結果のご相談、ワクチン接種など、不安なことがあればまずは気軽にご相談いただければと思います。
これまでどんな経験を積まれてきたのでしょうか?
大学卒業後、大阪赤十字病院で内科医としての研鑽を積みました。以来30年以上、一般内科診療と併せて、貧血から白血病、悪性リンパ腫まで幅広く専門の血液疾患の診療に携わりましたね。その後、2002年にグループの一つである武田総合病院との縁をいただき、血液内科で診療を重ね、2020年からは老年内科と訪問診療にも携わるように。そこで痛感したのが、高齢者の総合的なサポートがいかに大切かということでした。そんな時、当院の所長就任の打診をいただき、これまでの経験を生かせるのならこんなにうれしいことはない、と就任を決意。そもそも医師は人の不安の軽減に役立てる素晴らしい職業だと感じてこの道を選びましたが、内科医としてキャリアを積んだ今、自分の選択は間違いではなかったと自信を持って言えます。患者さんと接する中で新たな発見や喜びを得られ、より患者さんと密に関わることのできる今の環境に大きなやりがいを感じています。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?

外来を受診してくださるのは、基本的には近隣にお住まいの方です。年齢層でいうと、比較的高めの方が多く、糖尿病など生活習慣病の管理のために定期的に通われる方がほとんどです。ご夫婦やご家族そろって受診してくださる方もいますよ。一方で、風邪やインフルエンザなどの感染症がはやる季節には若い人の受診が増えますね。発熱がある患者さんに関しては事前に連絡をいただき、他の患者さんと動線や診察室を分けるなど感染症対策もしっかりと行っています。多くの患者さんに安心して受診していただくためですので、ご理解いただけたらと思います。
思いやりの心を大切に患者の不安に丁寧に寄り添う
飛び込みでいらっしゃる患者さんも多いとお聞きしました。

そうですね。京都という土地柄もあって、旅行中の方が急な体調不良で受診されることが少なくありません。また、近くには大学もありますので、学生さんが授業やアルバイトの合間に来られることも。当院は完全予約制ではないので、予約をしていなくてもスムーズに診察を受けていただけます。風邪や腹痛といった急な体調不良の時に予約が取れずにスマホとにらめっこをしたり、やっと取れても待合室で長い時間待ったりするのはつらいですよね。当院はそういったことが極力ないように努めています。一方で、間もなく予約システムも導入する予定ですので、定期的に通院されている方はシステムを活用していただくことで、待ち時間が比較的少なくて済むと思います。患者さんにより負担が少ない方法を模索しながら、より効率的に質の高い診療を提供したいですね。
診察に際して心がけていることはありますか?
患者さんやそのご家族の方への 「思いやりの心」を忘れないことです。基本的なことですが、スタッフ皆がまずは患者さんに優しく接することこそが医療の基本。どんな人も体調不良の時は不安なものですし、お一人暮らしや持病をお持ちの場合にはなおさらでしょう。そんな患者さんの気持ちに寄り添いながら丁寧に診療し、できるだけわかりやすい説明をするよう心がけています。また、患者さんのお話はじっくり聞くこと。症状を診るだけでなく、患者さんの考えを丁寧に聞き取ることも大切です。診察の際はできる限り時間を取って、ゆっくりお話をしていただいています。時間がないときは看護師や事務スタッフが私の代わりに説明をしたり、励ましてくれたりすることも。優しいスタッフがそろっていることも、当院の自慢なんです。
生活習慣病の治療についてはいかがですか?

私がめざしているのは、地域の皆さんの健康寿命を延ばし、できるだけ寝たきりにならず心豊かで明るい生活を過ごしていただくことです。そのために大切なのが、生活習慣病を適切に管理していくこと。ただ、ほとんどの場合、初期の生活習慣病は自覚症状がありませんから、通院や服薬を継続できない方が多くいらっしゃいます。そこで当院では調剤薬局と連携することで、服薬管理が難しい患者さんの元を薬剤師が訪れ、服薬指導ができる体制を構築しています。こうすることで薬の重複や飲み忘れの減少、患者さんの数値の安定などにつなげられます。また、通院を続けていただくために、治療の大切さを繰り返しお伝えするとともに、数値や体調の変化をともに喜びながら信頼関係を築いていきたいと思っています。
綿密な連携により、地域の健康を支えていきたい
たくさんの人が関わり合いながら、患者さんを支えていくのですね。

そうですね。より詳しい検査や専門的な治療が必要となれば関連病院を迅速に紹介していますし、必要があれば健診施設、介護・福祉施設とも連携します。核家族化が進み、お一人暮らしの高齢者も増えていますので、患者さんのご家族も含めまして、心配なこと、わからないことがあれば気軽に頼っていただけたらと思います。われわれの役割は地域の皆さんの健康管理に役立つことだと思っていますので、訪問診療も含めてさまざまな形で皆さんの力になれたらうれしいです。もちろん、私を含めスタッフたちも皆さんの味方です。私に話しにくいことがあれば、話しやすいスタッフに声をかけていただければ、共有して対応していきます。
忙しい日々の中で、先生のリフレッシュ方法はありますか?
私は特に趣味がないものですから、休みの日はとにかくゆっくり過ごして回復に努めています。スポーツなどを楽しんで体を動かすことも大事だとは思うのですが、テレビを見たり本を読んだりして過ごすことがほとんど。ゆっくり過ごすことで「頑張ろう」という気持ちが湧いてきますし、新たなアイディアが湧いてくることも。アクティブなタイプではありませんから、生活習慣病の患者さんたちが「なかなか運動ができない」とおっしゃる気持ちもよくわかります。マラソンを楽しむ人がいれば、私のようなタイプの人もいる。患者さんのライフスタイルに合わせた治療計画や提案の大切さを、改めて感じます。
それでは最後に今後の展望やメッセージをお願いします。

大きな変化をとは考えていませんが、訪問診療は増やしていけたらと思っています。現在は施設への訪問が中心ですが、お一人暮らしの方など居宅訪問も増やせたら。そのためには準備することもありますので、なかなかすぐにとはいかないかもしれませんが、1人でも多くの方に必要な医療が届けられたらと思っています。また、生活習慣病の治療が面倒で放置している方も気軽に来れるクリニックになっていければ良いなと思います。せっかく長生きするのなら、好きなものを食べて、好きな場所に行き、楽しい話をして笑ってほしい。そのために必要なのは、病気の早期発見と早期治療、そして治療を継続することです。誰もが気軽に来られるクリニックをめざしていますので、いつでも気軽にご来院ください。