笹本 牧子 院長、笹本 修一 理事長の独自取材記事
ささもとクリニック
(大田区/梅屋敷駅)
最終更新日:2024/12/18

合併症を起こしやすく、いったん罹患してしまうと治癒が難しいといわれる糖尿病だが、「糖尿病の患者さんが、できるだけ薬に頼らず良い状態を維持できるようサポートしていきたい」と語るのは「ささもとクリニック」の笹本牧子院長。人情味あふれる昔ながらの商店街の一角で、糖尿病内科を中心とする生活習慣病の早期発見に取り組んでいる。もともと心理カウンセラーをめざしていたというだけあって、患者の話に真摯に耳を傾ける診療スタイルを持ち味とする。「病気にならないようにという予防の観点と、病気になってしまった場合でもできるだけ早期発見するということを大切にしています」とほほ笑む夫の笹本修一理事長とともに、早期発見のための取り組みや患者への思いについてじっくり語ってもらった。
(取材日2024年10月2日)
気軽に通える糖尿病専門のクリニック
まずはクリニックの特徴について教えてください。

【牧子院長】当院は糖尿病内科のクリニックです。60~70歳くらいの患者さんを中心に、最近はウェブ問診を始めたこともあり働き盛りの30~40代の患者さんも増えていますね。糖尿病は早期の発見・治療が大切ですので、より30~50代の方にアプローチできるよう、ホームページの内容を充実させようと計画しているところです。当院は呼吸器を専門とする夫との2人体制で、私は糖尿病の診療を、夫は風邪などの診療と分担しているため、診療もスムーズです。また、糖尿病の治療で重要なのは、合併症を防ぐこと。糖尿病の合併症で睡眠時無呼吸症候群になっている方も多いので、そうした方には大学病院と連携しながら治療を行います。また、喫煙者は糖尿病になりやすく、合併症のリスクも高いといわれていますが、当院では夫が禁煙治療を担当していますので、包括的に糖尿病の治療ができる体制が整っています。
修一先生は長年、大学病院の呼吸器外科でご活躍されていたそうですね。
【修一理事長】大学病院では呼吸器外科で主にがん患者さんの手術に携わっており、こうなる前のもっと早い段階で医師としてできることはないかという思いが常にありました。治療することも大切だけれど、患者さんの負担を考えると、予防することはもっと大切です。今、私がめざしているのは、予防のためにタバコをやめていただき、生活習慣を改善して病気を未然に防ぐこと。それから、がんは5年以内に再発しなければ治癒したということで定期検診もなくなりますが、実際には5年以上たってから新たながんが発生する患者さんも少なくありません。そのような患者さんを大学病院と連携しながらフォローアップしていくのも、このような町のクリニックの使命ではないかと感じています。
患者さんと接する時はどのようなことを心がけていますか?

【修一理事長】生活習慣病の場合、定期的に通うべきところを何らかの理由で期間があいてしまったり、他院で診てもらっていたのが途中で挫折してしまったりという患者さんも少なくありません。でも、どのような場合でも、決して患者さんを問い詰めるようなことはしません。「来てくれて良かった」と、医師としての思いを伝えるようにしています。
【牧子院長】糖尿病の患者さんは血糖値だけ見るのではなく、なぜ血糖値が悪くなったのか、患者さんの生活背景まで伺って根本的な問題を解決する必要があります。仕事や人間関係の悩みや家庭の問題などのストレスから過食気味になってしまう方も少なくないため、「どうしてこうなったのか一緒に考えてみましょう」「何か困っていることはありませんか?」と、患者さんの気持ちに寄り添いながら、患者さんが「先生、実はね……」と、話しやすくなるような声かけを心がけています。
糖尿病をはじめとする生活習慣病は早期発見が要
病気の早期発見のために、どのような検査ができるのでしょうか?

【修一理事長】心電図や胸部エックス線検査のほか、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査、動脈の硬さを調べる検査が可能です。
【牧子院長】糖尿病については、尿検査、血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の検査が可能です。HbA1cは外注すると検査結果が出るまでに1週間くらいかかるのですが、当院は15分くらいで結果がわかります。また、糖尿病は神経障害も起こりやすいことから、神経伝導速度検査にも対応しています。糖尿病は自覚症状のないまま重症化してしまうことも多く、足先のしびれ感や冷感など、比較的初期の段階で神経障害を発見できれば症状を抑えることも期待できます。最近は骨粗しょう症も糖尿病の合併症の一つだといわれるようになってきていることから、骨粗しょう症のスクリーニング検査も始めました。
最近、「隠れ糖尿病」という言葉をよく聞きます。
【牧子院長】欧米人に比べて、日本人は体質的にインスリンの分泌量が少なめで、それほど太っていなくても糖尿病になりやすい傾向があります。健康診断を受ける場合、食事を抜いていくことが多いと思いますが、糖尿病の初期段階では空腹時の血糖値はあまり高くなく、そのために見落とされてしまう糖尿病を「隠れ糖尿病」といいます。「喉が渇く」「体がだるい」といった自覚症状はほとんどないため、初期の糖尿病を見つけるためには、食後1~2時間くらいの血糖値を測った上で、血液中にあるHbA1cの検査をする必要があります。
「隠れ糖尿病」を早く見つけるためには、どんなことに気をつければいいでしょう。

【牧子院長】健康診断で血糖値が高いと、結果に「医師に相談を」と書かれていると思います。でも、実はそのまま放置している方が多いのが現状です。そうした方や、家族に糖尿病が多い方や体重が著しく増えた方は、一度検診を受けていただきたいですね。その時は、食後1~2時間に検査を受けることをお勧めしています。HbA1cの数値によっては、糖尿病の初期段階なのか予備軍の段階なのかは判別がつかないことも多いです。その場合はさらに精密検査をした上で、診断をつけていきます。
モチベーションを維持できるよう、患者をサポート
糖尿病の治療は長期間にわたりますが、こちらではどのようなサポートをしているのでしょう?

【牧子院長】糖尿病の治療には患者さんのプライベートがかなり密接に絡んでいますので、まずは患者さんの状況をしっかり伺って、通り一遍の治療ではなくオーダーメイドの治療を提供しています。医師が患者さんを知ることで患者さんも信頼してくださいますし、「じゃあやってみようかな」と取り組んでくださるんです。食事管理についても、自炊が好きな方もいれば料理が苦手な方もいます。そういう方には、コンビニを利用してバランス良く栄養が取れる方法を説明したり、宅配弁当をご案内したりしています。糖尿病治療には時間がかかりますし、自分の生活を変えるのが難しくて挫折してしまう方も少なくないですが、ありがたいことに「やっぱりもう一度チャレンジしてもいいですか?」とお電話をくださる方もいます。お一人お一人に寄り添いながら健康のサポートができたらと思いますので、まずはお気軽にご相談ください。
先生方のリフレッシュ法を教えてください。
【牧子院長】わが家は結構アクティブで、冬にはスキーに行きます。今年1月からは家族みんなでテニスを習い始めました。私は出産前までテニスをしていたのですが、久し振りの再開ですね。
【修一理事長】私はこの間、奥多摩へトレッキングに行きました。日々のリフレッシュは運動で、長期休暇には家族旅行に出かけます。今年はイタリアに行きました。私は写真を撮るのも好きなので、趣味がてら記録がてら写真を撮るのが毎年の楽しみです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【修一理事長】当院は即日で検査結果がわかりますし、男性と女性それぞれの医師がご相談に乗ります。自分で言うのもなんですが(笑)、当院はアットホームな雰囲気で話がしやすいクリニックだと思います。患者さんの気持ちや考えをいきなり否定したり、治療を押しつけたりすることはありませんので、お話を聞かせていただければと思います。
【牧子院長】毎日お忙しいと思いますが、もっと自分の体に興味を持っていただきたいと思います。ある程度年齢を重ねたら、定期的な健診や検査だけでなく、体重や血圧を測ってみる。少しでも不安だったら、医師に相談してみる。そうした小さな行動が、後の健康を支えてくれます。生活習慣病は早いうちに発見して、一緒に生活をコントロールしていくことが大切です。私たちがサポートしますので、一緒に健康をめざしていきましょう。