木村 幸滋 院長の独自取材記事
さっぽろ南大橋クリニック
(札幌市豊平区/中島公園駅)
最終更新日:2023/02/27

札幌市豊平区の中でも札幌駅近くに位置する水車町。この場所に2022年11月開院した「さっぽろ南大橋クリニック」は外装・内装ともにシックな色合いで、ホテルのように落ち着いた雰囲気の漂うクリニックだ。院長の木村幸滋先生は、札幌医科大学附属病院や天使病院などの総合病院、旭川赤十字病院や製鉄記念室蘭病院などの地域拠点病院で豊富な治療経験を積んだ後、同院を開院。一般内科、循環器内科、腎臓内科、人工透析内科に加えて訪問診療にも注力し、地域で暮らす人々の多様なライフスタイルに寄り添った医療を提供している。優しく気さくな印象の木村先生に開院したての清潔感あふれる院内で、同院の診療や施設の特徴、地域医療に対する思いや今後の構想について詳しく聞いた。
(取材日2023年1月17日)
循環器や腎臓の病気をはじめ内科全般を幅広く診療
ご専門の枠にとどまらず内科に関連した症状を広く診療されているのですね。

はい。専門としている循環器内科や腎臓内科の病気だけではなく、風邪や発熱、頭痛、腹痛など一般的な内科の症状、また生活習慣病と呼ばれる糖尿病や脂質異常症まで、内科全般を診療しています。当院は札幌市街地からほど近く、利便性の高い場所に位置しています。この立地を生かして、昔からこちらにお住まいの高齢の方はもちろんのこと、札幌市街地に通勤・通学をされている若い年齢層の方のご要望にもお応えできるよう、幅広い診療を提供しています。
医師を志したきっかけやご専門の治療分野をお聞かせください。
幼い頃に通院していた小児科の先生がとても人柄の良い方で、その影響もあり医師への憧れを抱くようになりました。その後医学部に進学し、学問的に関心があったことや将来的に開業を見据えていたことなどから循環器内科を選択しました。しかし、実際に臨床の現場に入ってみると、同科の治療では投与する薬のわずかな差異が患者さんの生死を左右するシビアな面もあり、研修医時代には自分の力量不足を痛感する場面も多く経験しました。ただ幸いなことに、私が入局した大学の循環器・腎臓・代謝内分泌内科には面倒見のいい先生方が多くいらっしゃって、一つ一つご指導いただきながら確実に知識や技術を身につけることができました。あの恵まれた学びの環境があって今の私がいるのだと思いますね。
腎臓内科についても学ばれたのですね。

心臓の不調は高血圧や糖尿病、コレステロールなどが関連しているので、それらの管理も診療の対象に含まれます。病院によっては、糖尿病は糖尿病、腎臓は腎臓というように担当科を細分化しそれぞれ個別に診ているところもありますが、私の入局した大学病院ではそれらをまとめて診療していたため、体系的・総合的に勉強できたのです。この経験は有意義でしたね。また長期的に患者さんと関わるのも新鮮でした。救急など緊急性の高い場面が多い循環器とは異なり、腎臓に関係した病気は治療が長期にわたります。病気の原因は生活背景とも深く関連しているため、患者さんとの丁寧なコミュニケーションを通じてそれらを把握することが求められます。そのため信頼関係の構築が不可欠と言えますが、長い時間をかけて患者さんと深く向き合えることにはやりがいを感じています。
腹膜透析や夜間透析など多様なニーズに応える透析治療
透析治療についてお聞かせください。

当院では一般的に広く知られている血液透析に加えて、腹膜透析の治療・管理にも対応しています。腹膜透析はおなかに管を通すカテーテル手術を受けた後に、ご自宅や職場で患者さんご自身の手によって行える治療方法です。管理のために通院は必要ですが、血液透析と比べてひと月あたりの受診回数が少なく済むため、通勤や通学をされている患者さんでもご自身のライフスタイルに合わせて治療できるという利点があります。現状では血液透析ほど普及しておらず、治療・管理を行っている病院も少ないため、この方法を採用した際に生活上で注意すべき点など、適切な知識を患者さんに発信していきたいと思っています。また、血液透析については夜間透析も開始しました。ご自宅へ帰る途中に立ち寄ることもできますし、当院で一晩過ごして翌朝職場や学校へ向かうことも可能です。時間を有効利用できる「透析するホテル」のような感覚でご利用いただければと思っています。
個室で透析治療を受けられるのですね。
一般的に透析の病院やクリニックでは、ベッドが並んだ相部屋で透析治療を受けるケースが珍しくありません。でも患者さんによっては周りの人が気になる方もいらっしゃるでしょうから、プライバシーの保てる治療環境がつくれたらと以前から思っていました。個室ですのでテレビをご覧になっても問題ありませんし、無線LANを利用してお仕事をなさっても動画を視聴されても結構です。透析室のある2階は内装のデザインもホテルのような落ち着いた雰囲気にしました。透析の所要時間は平均4時間ほどですが、来院いただく皆さんにその時間を少しでも快適に過ごしていただけたらうれしいですね。周囲の患者さんとの接触機会も抑えられるので、感染症対策の観点からも安心して来院いただけたらと思います。
訪問診療にも注力されているとお聞きしました。

病気や障害を抱える患者さんの中には、さまざまな理由でご自宅や施設での診療を望まれる方がいらっしゃいます。そのような方の所へ医師が伺い、定期的な診療を行うのが訪問診療です。例えば、腹膜透析を受けている患者さんの場合、治療・管理に対応できる病院が多くないために通院でお困りの方もいらっしゃいます。そのような場合にも訪問診療というかたちでサポートできたらと考えています。高齢化が進み、また昨今の感染症の流行もあって訪問診療の需要はより一層増えていると思われます。当院では定期的な訪問とは別に、急な体調の変化があった場合にも対応できるよう、24時間受付の電話相談窓口や往診に伺う体制も整えています。
患者の気持ちに寄り添い信頼関係に基づく医療を提供
診療で心がけていることはどんなことでしょう。

患者さんがご自身の治療について「この選択で良かったな」と満足していただくことが重要だと考えています。インターネットなどで調べても、専門知識を持たない人がご自身にとって何が必要な治療か適切に判断するのは困難です。そのように不安を抱えている患者さんにしっかりと状況を説明し、適切な治療の提案を行い、ご自身にとって望ましい判断ができるよう、お手伝いができればと思います。健康を優先したい方もいれば働き続けることを重視している方もいるように、生きる上でのモットーやライフスタイルは十人十色ですから、患者さんの人生に丁寧に寄り添った診療ができるよう心がけています。
どんな時に医師としてのやりがいを感じますか?
やはり患者さんから感謝をしていただけるのが一番うれしいです。医療に携わっていると人の生死を分ける場面に直面することも少なくありません。その状況で力を尽くした結果に対し、患者さんやご家族の方から感謝のお言葉をいただくと医師になって良かったと改めて感じます。また、前述のように腎臓に関わる疾患や訪問診療では治療が長期になることもありますが、その過程で患者さんと深く向き合えることにもやりがいを感じています。患者さんと時間をかけて仲良くなり、信頼関係を築いていけるのはとてもうれしいことですね。地域の皆さんにとって身近な存在であるかかりつけ医となった今後も、「あの先生に診てもらって良かったな」と思っていただける存在であるように毎日の診療に努めています。
最後に今後の展望をお聞かせください。

腹膜透析や夜間透析など多様な選択肢を提供し、患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせた治療を提供していきたいですね。今後は訪問看護も立ち上げて訪問診療全般に力を入れていく予定です。地域で暮らす皆さんが望んでいらっしゃることはどんなことか、それを常に考えて医療に取り組んでいきたいと思っています。専門の循環器内科や腎臓内科にとどまらず内科全般を広く診療できる力を身につけようと、これまで精一杯研鑽を積んできました。患者さんの抱えていらっしゃる不安や疑問には丁寧に耳を傾けてお応えいたしますので、ぜひ気軽に足をお運びください。どんなことでも気兼ねなく、ざっくばらんにご相談いただけたらと思います。