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吉川 英里 院長の独自取材記事

栄歯科医院

(京都市右京区/西院駅)

最終更新日:2023/03/28

吉川英里院長 栄歯科医院 main

患者との対話を第一に、歯科医師が治療からクリーニングまで担当するスタイルが特徴の「栄歯科医院」。吉川英里院長は2022年11月に父から同院を継承し、自身の専門である小児歯科の知識や経験を生かしつつ、患者の年齢を問わず幅広い治療を行っている。取材に明るく応じる吉川院長の口から語られるのは、父や恩師、そして患者との心温まるエピソードの数々。相手への尊敬や感謝を忘れず、出会いを大切にし続けてきたことが伝わってくる。多忙な中でも強い信念を持ち、患者とその家族に向き合う吉川院長。そんな院長の歯科医療に対する考え、小児歯科診療における心がけ、開業医としての目標などについて聞いた。

(取材日2023年3月1日)

地域とのつながりを大切に、小児患者も父の患者も診療

初めに、こちらの歯科医院の歴史を伺います。

吉川英里院長 栄歯科医院1

当院は父が25年前に開業した歯科医院で、私も学生時代から父を手伝っていました。そのため一番身近な職業は歯科医師で、もともと医療系の仕事に就きたいとも考えていましたので、私も同じ道に進みました。当院を継承したきっかけは、父の突然の入院です。当時私は大学病院で助教を務めていましたが、代診のために急遽こちらに帰省。その後、父の容態が急変してしまい、当院を一度閉めることになりました。ただあまりに突然の出来事でしたので、院内を片づけていると患者さんたちが次々に様子を見にいらっしゃり、声をかけてくださいました。そして代診時にお会いした方や、子どもの患者さんとそのお母さんから診療を続けてほしいというご要望を多く頂戴し、再びの開業を決意したんです。

大変な中での再始動だったと思いますが、現在の診療状況について教えてください。

私は4年ほど前から、小児専門の歯科医師として当院で月1回診療してきました。なので現在は、以前から担当している子どもの患者さんと、父の入れ歯やかぶせ物の患者さんの両方を診ており、年齢は0歳から80代までと幅広いですね。大学病院では小児歯科のみに従事していたものの、当時の教授の「大人も診るべき」という方針により、外勤先の歯科医院ではすべて大人の患者さんを診療していました。そうした経験を経て一通りのことができるようになったからこそ、今は年齢を問わず治療が可能です。また再び開業する際、壁紙を一新し、患者さんからも好評を頂いています。

近隣の医療機関とはどのように連携されていますか?

吉川英里院長 栄歯科医院2

歯並びが悪く矯正が望ましい場合には、患者さんのニーズや部活動といったライフスタイルを踏まえ、複数の紹介先から適切な歯科医院をご案内できます。特定の歯を動かすためにほかの歯もすべて動かす必要がありますので、専門の先生にお任せしていますね。また、入れ歯やかぶせ物は父に唯一かなわないと思っている分野です。そのため難しい症例や、より専門的な治療が必要と判断した際には、近隣の補綴専門の先生にお送りします。加えて口腔がんの疑いがある方や、難易度の高い親知らずの抜歯なども、口腔外科専門の歯科医院や大きな病院にご紹介が可能です。お世話になっている先生の中には、父や私と同じ大学出身の方や、父と仲良くしてくださっていた方も多く感謝しています。

子どもが泣いたり暴れたりするのは当然のこと

子どもの患者さんと接する際に心がけていることは何ですか?

吉川英里院長 栄歯科医院3

子どもからすると大人は体が大きく見えるため、目線は絶対にお子さんと同じぐらい下げます。あと「できることからやってもらう」というスタンスで向き合っていますので、場合によっては歯科医院に慣れるところから始めてもらっても構いません。診療台に座れなければ、待合室のソファで診療するのもいいでしょう。そしてお子さんのできることが増えたら、ものすごく褒めます。褒めることでお子さんがうれしい気持ちになり、自慢げな表情に変わっていくのを見れたら一つのやりがいになりますね。そして基本であり重要なのが、「痛くしない」と言って痛がらせてしまうなど、お子さんにうそをつかないこと。今から何を使って何を行うかも、器具を見せたり触らせたりしながら説明します。

小児歯科が専門だからこそ、親御さんも安心して通えそうですね。

小さいお子さんや障がいのあるお子さんのお母さんは、治療中に泣いたり暴れたりして迷惑をかけるのが申し訳ないとよくおっしゃいます。しかし大学病院で6年間、そのようなお子さんを多く診てきたので心配はいりません。大学病院の小児歯科には、痛い・怖い思いをして、歯科医院で治療ができなかったお子さんが多く来ます。そのため大学病院では、単に治療を行うだけでなく、お子さんが怖がらずに治療を受けられるようなトレーニングも一緒に行い、地域の歯科医院にお返しできるようにしていました。最終的には、「歯医者は怖くない、楽しい」と言ってくれるお子さんも多くいましたよ。小さい頃から通院することで、虫歯のリスクやお母さんの歯磨きの負担も減ると思いますので、歯科医院になれていないお子さんでも遠慮なく来てくださいね。

治療だけでなく、クリーニングも先生ご自身で行っていると聞きました。

吉川英里院長 栄歯科医院4

これは父の代から続いているスタイルなんです。私も父と気持ちは変わらず、ファーストタッチは歯科医師でありたいと思っています。患者さんとしても、歯科医師にわかってもらった上ですべて担当してほしいとお考えの方も多いようです。だからこそ、当院では一人ひとり、患者さんがお子さんの場合はお母さんともとことんお話をします。時には、治療の時間よりも患者さんとお話しする時間のほうが長くなってしまうこともありますが、父が「治療に関するヒントが見つかるかもしれないし、患者さんとの距離も近くなるからたくさん喋りなさい」と言っていたので、そのスタイルを大事にしています。

通院を楽しみ、笑顔で通える歯科医院をめざす

先生が小児歯科を専門に選んだ理由をお聞かせください。

吉川英里院長 栄歯科医院5

父は入れ歯とかぶせ物を専門としつつ、オールマイティーな治療を行っていました。私もそんな歯科医師になれるよう、大学病院でオールマイティーな治療学べる場所を探したところ、小児歯科に出会ったんです。大学病院では、大人の治療は歯周病・入れ歯など専門が細分化されていますが、小児歯科では基本的に大人と同じ治療を幅広く行います。加えて、子どもが好きなので子どもに関わる仕事をしたいと思っていましたし、大学の先生も「小児歯科に向いている」「小児歯科はオールマイティーな治療を学べる」と言ってくださったため、小児歯科を専門にしようと決めました。学生数が多くとも、個人をしっかり見てくれる朝日大学の先生方のおかげで現在の姿があるといっても過言ではありません。

小児歯科ならではの喜びややりがいはありましたか?

患者さんの中には、最初は治療を怖がってしまい、やむを得ず抑制具を使う必要があるお子さんもいます。治療中は心が痛みますが、治療を重ねるにつれ抑制具が必要ないくらい落ち着いて治療を受けられるようになっていきます。大学病院では、少し怖がりなお子さんが「先生のところは怖くない」と言ってくれたり、それ以前に通院を楽しみにしてくれていたことに喜びややりがいを感じていました。また、昔は抑制具を使って治療を受けていた記憶が本人にはなく、その子が「自分は最初からうまく治療ができていた」と得意げに話をした時はお母さんと一緒に大笑いしましたね。お母さんと一緒にお子さんの成長を見守っているようで、大学病院を退職する際の「ずっと診てほしかった」というお言葉もありがたかったです。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

吉川英里院長 栄歯科医院6

令和5年度からは、父からの引き継ぎを含め、保育園の園医4件を担当させていただきます。毎日の診療で精いっぱいではありますが、「何でも頑張ってみよう」という目標のもと、地域医療に一層貢献したいと考えています。また、母校の非常勤講師も務めさせていただくので、大学病院の先生方に難しい症例を相談できるような環境も整っています。医院を再開するにあたり、いろいろな部分で多くの方々に助けられていますので、お子さんから高齢の方まで、皆さんが笑顔で通えるかかりつけの歯科医院をつくりたいと思っています。患者さんと小さい頃から長くお付き合いし、身近な存在になりたいと思っていますので、どんなお悩みでも気軽にご相談ください。

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