丁寧な問診と精密な検査で
めまいの原因を適切に診断
蒲田西口耳鼻咽喉科・めまいクリニック
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2025/05/13


- 保険診療
天井がぐるぐる回っている。体がふわふわ揺れる。歩くとふらつく。こうした症状、いわゆるめまいは日常の中で、ある日突然、誰にでも起こり得る。医療機関へ行っても、その原因を特定するための診断はなかなか難しいという。その結果「いくつかの診療科を受診しても原因がわからない」「精神的なものではないかと言われた」と悩む人も多い。大学病院のめまいに特化した外来でさまざまなめまいを訴える患者を診察し、現在は「蒲田西口耳鼻咽喉科・めまいクリニック」の院長を務める菅澤恵子先生は「めまいは耳鼻咽喉科が専門とする症状の一つです」と話す。めまいにはどのような種類があり、どういった検査や診察で原因の特定を進め、処置が行われるのか。精密な診断のための検査機器を備え、めまい診療に力を注ぐ菅澤院長に、めまいについて話を聞いた。
(取材日2025年4月3日)
目次
丁寧な問診と、精密な検査で適切に診断。めまいの原因を明らかにして、不安の解消をめざす
- Qめまいの種類について教えてください。
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A
▲めまいの原因はさまざまな種類がある
めまいは大きくいうと、耳に問題のある場合と、耳以外の脳、心臓などの循環器に原因のある場合に分けられます。ぐるぐる回るような回転性のめまいのほとんどは、耳に原因のある「良性発作性頭位めまい症」です。平衡感覚をつかさどる内耳の前庭の耳石器という部分にある耳石と呼ばれる結晶が剥がれ、それが三半規管の中に入ることでめまいが起こるといわれます。また、難聴や耳鳴りを伴うメニエール病でも、めまいが症状の一つにあります。一方、手のまひや歩きにくさ、ひどい頭痛などの症状を伴うめまいは、脳梗塞や脳出血が疑われます。そのほかにもうつ病や神経症など心の疾患や高血圧、低血圧などでもめまいが生じることがあります。
- Qめまいを感じた時、どのように対処すれば良いでしょうか。
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A
▲めまいを感じたら耳鼻咽喉科の受診を
回転性の強いめまいがあった時は、吐き気や頭痛を伴うことが多いので、内科を受診される方が多いのですが、まず耳鼻咽喉科を受診なさることをお勧めします。めまいは耳鼻咽喉科が専門とする分野の一つだからです。一方、手がしびれる、歩くことが困難、ひどい頭痛があるなど脳疾患が疑われる場合は、脳神経内科を受診なさるのも良いでしょう。どちらにしても、原因がはっきりして、診断がつくことで不安を軽減できることもあると思います。天井がぐるぐる回るようなめまいだと、「何の病気なんだろう」と不安な気持ちになる方も多いです。それを解消するためにも、まずは耳鼻咽喉科を受診なさってみてください。
- Qこちらでのめまいの診断はどのように行われますか?
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A
▲めまいに関する検査機器も充実
まず問診を丁寧に行います。いつ、どこで、どのような状態の時、どの程度のめまいが起きたのか。普段の生活習慣なども詳しく伺い、原因は耳か、それとも耳以外なのかを判断していきます。また耳の平衡機能に異常がないかを診るために眼球の動きや振れを解析するビデオ運動検査(VOG)、耳石器の機能を評価するVEMP検査、聴力検査、重心動揺検査などを一通り行い、データを集めた上で診断を確定させます。多いのは良性発作性頭位めまい症ですが、「前庭神経炎」、「前庭性片頭痛」、あるいは機能性めまいである「PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)」などのケースもあります。正確な診断をつけるためには精密な検査と知見が必要です。
- Qめまいに対するアプローチ方法を教えてください。
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A
▲状況に沿った適切な治療が必要
良性発作性頭位めまい症だと浮遊耳石置換法を行います。頭や体を動かして、三半規管に入った耳石を元の耳石器に戻すよう図ります。薬で耳石は消せませんが、めまい感が強い場合は症状を軽減するための抗めまい薬や、吐き気を抑えるための薬を出すこともあります。メニエール病の場合は内服治療が中心ですが、なかなか良くならない場合は、中耳加圧療法など他の治療法を検討します。脳出血など脳に問題のある場合は脳神経内科や脳外科での治療、PPPDでは抗うつ剤を処方するといったアプローチがあります。同じ病気でも状況により対処法は異なりますので、カスタマイズが必要です。
- Qこちらのクリニックの診療の特徴について教えてください。
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A
▲めまいに関する経験豊富な菅澤院長が診療にあたる
私は20年以上めまいを専門分野としています。大学病院のめまいに特化した外来で多くの患者さんを診てきました。また検査機器についても、できる限り新しく精密なものをそろえるようにしています。治療の選択肢も多く用意していて、1年ほど前からは漢方の処方も始めました。低血圧や自律神経の乱れなどを原因とする慢性的なめまいに対しては、漢方によって体のバランスを整えることをめざします。そして数は少ないですが、耳以外に原因のある場合は、それぞれの専門家を紹介します。まず、最初の診断をつけるという意味でも、お役に立てるのではないかと思っています。