成川 史子 院長の独自取材記事
なるかわ歯科医院
(大田区/蓮沼駅)
最終更新日:2024/09/27
蓮沼駅の線路沿いを歩いて1分ほどの「なるかわ歯科医院」を訪ねた。1997年の開院から地域に根差し続けるクリニックだ。「患者さんと一緒に年齢を重ねている感じです」と語る、成川史子院長。同院では歯周病対策を中心に、幅広い治療に対応している。長く勤めているスタッフが多く、ベテランならではのコミュニケーション力も同院の魅力の一つだろう。「患者さんと相談しながら、5年後、10年後を見据えた治療を提供していきたい」。今回は、成川院長に現在の患者層や診療方針について聞いた。
(取材日2021年5月11日/更新日2024年9月11日)
長年培ってきたチームワークで歯周病対策に取り組む
今、現在の患者層について教えてください。
開業して25年以上がたち、開業当初からの患者さんはもちろん、以前からの患者さんからの紹介でお知り合いの方が来院することも多いです。さらに80代90代のご高齢の方も増え、一緒に年を取っている感じがしますね。あとは、通りがかりの方が「こんなところに歯医者さんがあるんだ」と見つけてくださったり。最近は「インターネットで調べた」という方も増えていて、地域の方を中心としながらも、患者さんのお住まいの地域は広がっている印象があります。年齢層的には、10代20代の若い方というよりは、上の世代の方、以前からの方が多いので、50代以降の方は多いです。歯科医院全体として歯周病を中心に取り組んでいますので、それも理由の一つだと思います。
歯周病に関して、以前との変化、最近の傾向などはありますか?
どうしてそうなったのかの原因究明だけでなく、歯周病が悪化しやすい人とそうでない人がいるということがわかってきましたね。定期的なメンテナンスも皆同じでいいわけではないということです。当院では、歯周病菌の検査・口腔内の状態の把握だけではなく、歯科衛生士がお一人お一人の内科的なことや、生活習慣などひっくるめてインタビューしています。そして、長年続けていくうちに、悪化しやすいタイプというものが見えてきたんです。生活習慣病との関連もあり、糖尿病が悪化すれば歯周病も悪化する傾向にあります。口の中だけを見ていてはだめだということは、当院のメンバーみんなで認識しています。
それで予防やメンテナンスが充実しているのですね。
当院の歯科衛生士も、それぞれが興味のある分野の技術を磨きながら、さまざまな勉強会に参加しています。歯科衛生士は常時3人、合計4人のスタッフがいます。そのうち2人は勤続20年、一番短くても4年と、長く勤めてくれるスタッフが多いのでうれしいですね。女性ばかりなので、結婚・出産後で一時的にお休みしても、戻ってこられるようにしていますし、今も2人が子育て中で、勤務時間や日数を調整しながら働いてもらっています。スタッフが無理なく働ける環境だからこそ、患者さんとも信頼関係を築けているのではと思っています。
義歯をはじめ幅広い治療に対応
歯周病以外ではどのようなご相談が多いのですか?
すでに他で治療を受けたけれど、うまくいかなくてセカンドオピニオンを依頼されることがたいへん多くなってきました。必要な診査をもとに、患者さんご自身の現状を正しくご理解いただく手助けをすることに重きを置いています。意見を述べて終わる場合もあれば、そのまま治療を希望する方もいます。セカンドオピニオンのご相談内容としては、「歯を抜かなければいけないと言われたけれど、本当に抜かないとダメなのでしょうか?」「なす術がないと言われたけれど、なんとか治療できないでしょうか?」という方が多いです。
遠方から来院する方も多いそうですね。
情報があふれている時代なので、患者さんも勉強熱心な方が多いです。一方で、インターネットなどの情報から判断し、自分の症状を決めつけてしまっているケースも実は多いんです。例えば「私は歯周病です」と言う患者さんの検査をしてみると、歯周病ではなく別の問題がある場合もあります。そんな時に「納得がいかない」と言う方も、中にはいらっしゃいます。さまざまな治療法に関しても、誰にでも適応できるわけではないですし、検査をしなければ判断できないこともあります。まずは相談していただけたらと思っています。
どのような治療に対応していますか?
地域の歯科医院としてだいたいのことには対応しています。おそらく専門の先生との連携も多いほうだと思いますが、口腔外科に抜歯を紹介するだけでなく、矯正の先生のところにもご紹介して行ってもらったり、私が矯正の先生と相談することも多いです。歯の根っこの治療など精密な治療が必要なものについては、当院でもマイクロスコープを使って丁寧に行いますが、さらに専門の先生の治療が必要だと判断すれば、積極的にご紹介するようにしています。専門家との連携により、患者さんにトータルで最良の治療を受けていただけたらいいなと思っています。
得意としている分野について教えてください。
私はもともと大学の補綴科で部分床義歯を勉強していたので、口腔機能の回復という点でさまざまな治療法を提示できると思います。患者さんと相談して、「必要な治療はこれですが、他にもこういう選択肢があります」というオプションを複数提示させていただき、最終的には患者さんに選んでもらえたらと考えています。インプラント、入れ歯、その併用など患者さんの残っている歯の状態に合わせて5年10年後を考えた選択をご提案したいです。また、歯周病の再生療法や退縮した歯肉に対する処置も積極的に行っています。
将来の健康につながる長持ちする治療を提供したい
歯科医師として喜びを感じるのはどんな時ですか?
歯の治療は、症状が重いと治療が終わるまで3年くらいかかることもありますので、そういう方の治療が終わってメンテナンスしながら経過を診ていけるのは、この仕事をしていて良かった点です。例えば、歯周病が進行していて土台となる骨を作るところから始めてインプラントにしなければならない方や、今の噛み合わせがずれてしまっている方など、歯だけでなく全体的に治療が必要な場合、治療期間が長くなる傾向にあります。でも、途中でくじけずに最後まで治療を進められた時は、「お互いに頑張ったね」と思うんです。
プライベートではどんなことを楽しんでいらっしゃいますか?
クラシック音楽が好きで、特にオペラ鑑賞が大好きです。旅行して各地の劇場やコンサートホールで楽しむために、一生懸命インターネットでスケジュールとプログラムをチェックしてチケットを取ったりします。ピアノとチェロも先生について習っています。なかなか練習時間が思うようにとれませんが、音楽は自分が演奏するにせよ、聴くにせよ、私にとっては心の救いです。嫌なことがあったとしても、音楽にふれると心が安らいで気持ちが落ち着きます。あとはプールで水泳をしています。
地域の方へのメッセージをお願いします。
患者さんと一緒に考えながら治療計画を立てるようにしています。当院での診療を続けてきて思うのは、年齢を重ね、体調やライフステージによって必要とされるものは変わるということです。ある時点で最高だと思ったことが、将来的にはそうではない場合もあります。5年後、10年後を考えた時に、どのような治療が必要なのか。これからの10年間、定期的なメンテナンス以外での必要な来院がなるべく少なくなるといいなという思いをお伝えしています。患者さんとはずっとお付き合いしていくことを考えて、その人に最適な方法を探すようにしています。お口の中の状態が健康につながっていきますので、ぜひ歯科医院を利用してください。特に免疫力のバランスは口の中に表れます。ホームケアをしっかり行っていただければ、ある程度のことができると思いますが、そこに私たち専門家の目を加えていきたいですね。気になることがあれば、まずは気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/7万4800円~、インプラント治療/45万円~、骨造成/11万円~、歯周組織再生療法/6万円~、退縮した歯肉に対する処置/5万円~