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白土 一人 院長の独自取材記事

白土クリニック

(横浜市港南区/上永谷駅)

最終更新日:2023/06/29

白土一人院長 白土クリニック main

「これ? 喉を診るときに使う、額帯鏡っていうんです。こういう時くらい医者らしくしようと思って」。そう笑いながら迎えてくれたのは、「白土クリニック」の白土一人院長。横浜市立大学附属病院時代には消化器内科を専門とし、特に肝臓がんの治療を中心に経験を積んだ。患者が気兼ねなく幅広い症状を相談できる一般内科のクリニックをめざし丸山台の地に開業し、以来20年近くにわたり地域に親しまれてきた。忙しい合い間を縫ってさまざまな分野の勉強にも努めているが、そんな苦労もこちらに聞かれて初めて「そうそう、大変だった」と振り返るのが白土院長らしい。終始明るい表情で話をしてくれる白土院長の温かな人柄にふれ、インタビューが終わる頃には心が軽くなっているのが感じられた。

(取材日2016年12月7日/情報更新日2023年5月12日)

自身の姿勢を守り、かかりつけ医として内科全般に対応

開業までの経緯をお聞かせください。

白土一人院長 白土クリニック1

大学病院で肝臓がんを中心に診療にあたり、論文を書いたり内科医長を務めたりしました。ただ僕は人の上に立って指導できるタイプではないので、後任を他の先生に譲り町の病院で改めて内科を広く学びたいと思ったんです。その後は上永谷駅近くの民間病院で2年間、専門である消化器疾患、血圧や糖尿病の治療、小児の治療など、内科全般を勉強させてもらいました。開業を考え始めたのは、ちょうど40歳を迎える頃、この場所にビルが建つのを立て看板で知ったことがきっかけです。工事中は何度も現場に足を運んで、自分の思い描いていたクリニックができたと思いますね。内装で一つだけこだわったのは、バリアフリーの時代に反して土足厳禁にしたこと。車いすの方が入りにくい部分もありましたが、お子さんの患者さんのことも考えて衛生面を重視しました。スリッパを履かなくても大丈夫なくらい、きれいにするように心がけているんですよ。

消化器内科をご専門にされたのは、どうしてですか?

実は、初めは産婦人科志望だったんですよ。医者と聞くと病気の人ばかりを診るイメージの中で、健康な患者さんである妊婦さんを診られることに憧れを持っていたんです。でも実際に研修をしてみると、そんな甘いものではないことに直面しました。昼夜を問わず呼び出しがあり、出産は正常に生まれて当たり前というプレッシャー。「これは40歳を過ぎたら続けられないかも」と感じたんです。医師として長く患者さんと関わるためにも、産婦人科と同時に研修していた消化器内科を選びました。最近の消化器内科では、胃カメラやエコーを活用した体への負担がより少ないがん手術が可能になりましたし、もともと外科系の人間である僕にとって、手術ができる環境に身を置けることも魅力だったと思います。

なぜ医師の道を志したのですか?

白土一人院長 白土クリニック2

高校1~2年の時は、友達と毎日バンド活動を楽しみながらアルバイトをしていて、特に将来のことは考えていなかったと思います。学校へ行きたくないときは、通学の電車で終点まで行って帰宅する、そんな気ままな生活を送っていましたね。でもある日、母親に「医者になったら?」と言われたんです。それがきっかけです。元来、理系の人間でしたが機械などには興味がなく、満員電車に揺られる会社員にも抵抗があったので、意外と母親の言葉をすんなりと受け止められたのかもしれません。医師をめざすと決めてからは苦難の日々で浪人も経験しましたが、案外楽しかったですね。その頃の友達とは今でも交流があるんですよ。

患者が「また行こうかな」と思えるようなクリニックに

こちらのクリニックの患者層を教えてください。

白土一人院長 白土クリニック3

60~80代の方が中心です。もちろん、お子さんを連れた20~30代のお母さん方も時々いらっしゃいます。この辺りは30~40年前に建てられた住宅が多いのですが、立派なお宅がたくさんあるでしょう? きっと若い頃から第一線でバリバリ仕事をしていたビジネスマンが多いのだと思います。近隣のご夫婦で受診される方も多いですね。また、20年近く診療を続けているので、クリニックと一緒に歳を重ねる患者さんも増えてきました。足腰が弱くなり、受診できなくなる方もいらっしゃったので当院でも訪問診療を行うことになりました。当初は訪問専門のドクターに依頼をしていたのですが、やはり今まで通っていた患者さんは自分で診ていきたいという想いがあり、空き時間で患者さんのお家に伺うことにしました。今まで診察してきた患者さんなので、ご本人だけでなくご家族にも喜んでいただけることがとてもうれしいですね。

診療する上で心がけていることはありますか?

咳や腹痛・胸痛・頭痛……いろいろな症状を訴える患者さんが来院されますが、一人ひとりの症状をすぐに解決してあげられれば名医と呼ばれるでしょう。でも、短い診察時間の中だけでは、なかなか難しい部分もあります。通院患者さんではなく、一時的に来院される患者さんは特にそうです。だからこそ私はよく話を聞いて、丁寧に説明して差し上げることを意識して、短い時間の中でもできる限り患者さんに満足してもらえるよう努めているんです。適切な検査をして、必要であれば躊躇せず他科の先生に依頼することもできます。「ここに来て良かったな」と感じてもらうことで、「また行こうかな」と思ってもらえますしね。

この周辺には他の診療科のクリニックも多いそうですね。

白土一人院長 白土クリニック4

そうですね、たくさんありますよ。この近くだと大学の大先輩が診療している泌尿器科と眼科、僕の同期がやっている皮膚科、他にも呼吸器内科、心療内科、小児科と多くのクリニックがあります。それぞれが異なる専門分野のクリニックなので、まるで一つの街が総合病院になっているような環境です。当院では内科の症状には一通り対応できる体制を整えていますが、大きい病院に行くほどではないけど、もう少し専門的に診たほうが良いという場合には、それぞれの診療科の先生を紹介しています。「ちょっと頼めますか?」「いいですよ」というふうに、電話1本で協力し合えるのは助かりますね。

「いつもと違う」は体からのサイン

30年を超える医師生活の中で、記憶に残るエピソードを教えてください。

白土一人院長 白土クリニック5

僕が大学時代に専門にしていた肝臓がんは再発の可能性が高く、一人の患者さんが何度も入院されるケースが多いんです。僕が担当していた患者さんで8cmほどの肝臓がんを患っていた方がいたのですが、その方も何度か入退院を繰り返して僕が異動した数年後に亡くなってしまいました。残念な気持ちでいっぱいでしたが、ご本人が亡くなられた後に奥さまや娘さんがわざわざ当院を探してあいさつに来てくれたんです。この時は本当にうれしかったですね。

休日は何をして過ごされていますか?

クリニックの書類整理やスポーツクラブでの筋力トレーニング・ジョギングにゴルフ……休みの日は、とにかく家で落ち着いているということはありません。1人でレイトショーの映画を見に行ったり、診療で疲れた日はタオル1本持って近所のスーパー銭湯で2時間ほどのんびり過ごしたりすることもあります。また、近所の患者さんが貸してくださった畑で農作業をするのも楽しみの一つ。ナスやトマト、ブロッコリーやゴーヤなど、夏から冬まで目いっぱいの野菜を作っています。最近、食事と運動でダイエットをしたのですが、この野菜作りの趣味が患者さんへの食事指導などに生かせているのでは?と自負しているんですよ(笑)。ちなみに地域にある「丸山台いちょう坂商店街」の活気づくりのための集まりにも時々参加しています。地域住民の一員として、皆さんと和気あいあいとやっていけたらな、と思っているんです。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

白土一人院長 白土クリニック6

いつも元気な方でも、「何か変だな、いつもと違うな」という体のサインを放置しないことが大切です。病気が進行してから来院される患者さんに話を聞くと、「そういえば数ヵ月前からちょっとした症状が出ていた」という方が多いですから。そういうときは一時的に症状が良くなっても安心せずに、病気からのサインだと思って検査を受ける姿勢を忘れてはいけません。特に、若い方や病院が苦手な方、自分の健康に自信がある方、病気を診断されるのが怖い方などは要注意ですね。でも、これは私たち医療サイドにも言えることなんです。普段は血圧の経過観察だけに通っている患者さんが突然来院したり、2度3度と体調の変化を訴えて受診するときは、「何かあるな」と注意を払います。患者さんも医師も、お互いに病を侮ってはいけませんね。

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