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平尾紘一 理事長の独自取材記事

HECサイエンスクリニック

(横浜市磯子区/洋光台駅)

最終更新日:2019/08/28

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横須賀市、藤沢市、相模原市など遠方からも患者が訪れる、洋光台駅近くの「HECサイエンスクリニック」。ここは一般内科と糖尿病内科を併設し、特に糖尿病治療で知られるクリニックだ。平尾紘一理事長は医学部卒業後、横須賀市の小さな診療所で糖尿病の現状を知った。「昏睡状態で運ばれてきた糖尿病の患者さんを診て、こんなに重症化しないよう、一人ひとりへの教育が重要だと実感しました」。以来、糖尿病患者への教育を重視した治療を行って40年以上。肩書は理事長だが、現在も同院で数多くの糖尿病患者の治療を続け、さらに後輩を育てるために糖尿病専門医の研修教育にも深く携わっている。「きちんとした教育と検査を続けていれば、糖尿病による合併症、失明、透析治療にはなりませんから」と、糖尿病患者に心強い応援を送る平尾理事長に、数多い糖尿病予備群にも役立つアドバイスを聞いた。
(取材日2012年6月15日)

糖尿病でこんなに重症に!40年前の衝撃が、専門治療の道へ

先生は、なぜ糖尿病に興味をお持ちになったのでしょうか?

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最初から糖尿病に詳しかったわけではありません。私は学生結婚で、医学部を卒業したらすぐ働きたくて、勤め先を探していたんです。将来は無医村で地域医療に貢献しようと考えていたので、できれば最初から幅広く診療経験が積める診療所がいいと思っていました。お産や盲腸の手術もできるような、町や村のお医者さんをイメージしていましたね。そうやって探した横須賀市の診療所で働き始めた翌年、昏睡状態の患者さんが運ばれてきました。何をどう調べても原因不明で困り果て、尊敬している内科の先生に電話で相談したら、「糖尿病による昏睡ではないか。尿と血液の検査をしなさい」と教えてくれたのです。すぐに確認すると糖尿病と疑われる検査結果が出て、その患者さんはインスリン注射で救われました。私は糖尿病の怖さを知ると同時に、このような状態になる前に、患者さんにしっかりと情報を伝える大切さを実感したのです。

糖尿病で昏睡状態というのは、よくある症状ですか?

糖尿病は1型と2型に分けられ、1型は自己免疫疾患が原因です。2型糖尿病は一般的によく知られている生活習慣病などが原因のタイプで、こちらは患者さんが気をつけて生活すれば、昏睡状態を起こすまで悪化することはそうないのです。しかし当時、小さな病院や診療所には簡単に血糖値が測れる機器はなく、一方で患者さんも糖尿病に関する知識は不足していました。そこで私は「糖尿病に関する教育を広げていこう」と考えました。最初に私が診た糖尿病の患者さんにも、ご本人を含めご家族全員に、糖尿病に関する知識をお話ししました。私が熱心に話す様子が好印象だったのか、その方には「うちの孫娘と結婚しませんか」と勧められたほどです(笑)。もちろん私は既婚者でしたから、丁重にお断りしましたよ。こうして横須賀市で1969年に始めた糖尿病外来は、周辺地域からも受診希望の方が押し寄せ、数年で受診者は30名から200名に急増しました。

その後も、糖尿病に熱心に取り組まれた理由は何ですか?

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糖尿病の教育は、患者さんの食事や運動など生活全般に関わる総合的な健康教育です。これは高血圧や心筋梗塞などの予防にも役立ちます。医療機関が少ない地域では、こうした健康教育による予防医療がますます重要になると考えたのです。しばらくすると、同じ考えを持つ看護師・保健師のグループからも、地域医療の勉強会に呼ばれるようになりました。そうした交流を通じて、診療所が神奈川県内に知られ、いつの間にか患者さんの数は800名を超えていました。ここまでの数になると、従来の知識ではカバーできない難しい症状も多くなり、国内留学で最新の知識を身につける必要が出てきたのです。師事したのは、当時、弘前大学に在籍していた後藤由夫先生。研究もすばらしいのですが、後輩の面倒見も非常にいい先生で、私のように外部から参加した者にも親切に指導してくれましたね。国内外の学会でも多くの研究者に紹介していただいき、幅広く学ぶことができました。

これからは糖尿病専門の外来クリニックが必要と確信

この洋光台にクリニックを作られたのは、なぜでしょうか?

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多くの患者さんが受診しやすく、より設備の整った医院で診療しようと考えたからです。衣笠の診療所に勤めた後、葉山で糖尿病専門の病院を開設しましたが、そこは通院には少し不便でした。その点、このクリニックは洋光台駅のすぐ近くで、藤沢や横須賀、相模原など多方面から、電車や車で来やすい場所。40年前に診療した時に比べて患者数は増え続け、現在は国民病ともいわれる糖尿病ですが、きちんとした教育と検査ができたら、多くの合併症、失明、透析治療などはなくせるはずなんです。そうした教育と治療の機会は多い方がよく、利用しやすい場所に外来専門クリニックは必要になると、20年前の開業当初から確信していました。

こちらで開業されたクリニックの特色を教えてください。

当院は約3,000名の患者さんを担当しています。建物面積150坪という規模や患者さんの数に比べて、医師や専門職の人数は非常に多いのが特色です。これは糖尿病に関する専門知識を持つ人材が、きめ細やかな診療を行うために必要な人数と考えています。医師は日本糖尿病学会専門医の資格はもちろん、専門医を育てる日本糖尿病学会研修指導医の資格取得者も3名います。さらに一般の患者さんとは別に、糖尿病の方のデータを管理するDM(Diabetes Mellitus=糖尿病)管理室を用意しています。そこで糖尿病に関する世界的な動向から患者さん別の治療データまで管理し、統計処理を行う専門家が常駐しています。学会発表に使用するデータもある程度準備してくれるので、当院は研究発表をする医師やスタッフも多いですよ。さらに糖尿病専門外来ということで、糖尿病の新薬開発にも協力しています。

患者さんが受診する時、何かアドバイスはありますか?

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当院では1型糖尿病の患者さんの割合が、全国平均を大きく上回っています。1型の治療は非常に専門性が必要で、それに適した医療機関を探して受診する方が多いからです。専門医としても、こうした医療機関で治療をさせるようお勧めします。2型の場合は近くの医療機関での受診が中心だと思いますが、できれば当院のような医療機関で正しい糖尿病教育を受けてほしいですね。その後は病状が悪化しない限り、近くのクリニックなどで継続して受診すればいいと思います。そして血糖値のコントロールがうまくいかなれば、また専門開業医を受診するような連携が望ましいと考えています。必要な時に専門性の高い治療を受け、日常的な管理は近くの医院できめ細かくチェックする。こうした二重の診療体制は患者さんにも利用しやすく、安心ではないでしょうか。

これから必要なことは、受診を続けてもらえる工夫

こちらでの患者向け教育の具体例を教えてください。

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医師が診療中にアドバイスする内容に加えて、クリニック独自に教室を開催しています。例えば初めて糖尿病と診断された方が家族と一緒に糖尿病について学ぶ「初診教室」、健康運動指導士・理学療法士などへの無料の運動相談などを実施しています。またヘルスエディケーション研修センターという研修用の施設を作り、「栄養士が考えた糖尿病ランチ」など定期的にさまざまな教室も行っています。このほか、糖尿病の患者さんによる勉強会もあり、クリニックの患者さんを中心にした「洋光会」、1型糖尿病の若い患者さんによる「はまっこの会」、そして糖尿病の女性患者さんによる「インスリンレディの会」が活発に活動しています。

糖尿病の治療に関して、今後の目標などはお持ちでしょうか?

糖尿病と明らかにわかっている患者さん以外、きちんとした教育や指導が行き届いていないことは、当院だけでなく糖尿病を治療する医療機関全体の課題と考えています。風邪や腹痛などで受診した方にも、自覚症状のない糖尿病の患者さんが含まれているかもしれません。せっかく受診に来た方ですから、簡単な検査を行って糖尿病の早期発見に役立ててほしいですね。また治療は非常に長期間になりますから、中断する方も多いのが現状です。そうした方には「中断したら対策する」のではなく、中断前に防ぐことが大事だと考えています。当院では3か月以上治療を中断された方には、封書でお手紙を出すなど、ふだんから中断防止に向けた対策を行っています。こうした中断防止も含め、個人開業医やクリニックできめ細やかに指導することで、さまざまな合併症や失明などの発生を抑えることが可能です。例えば糖尿病の合併症といわれる心筋梗塞の死亡率は、日本は欧米の1/20という調査データも出ています。

先生ご自身も、しっかり健康管理をなさっているのでしょうか?

私の実家が肉屋だったせいで昔は肉が大好きでしたが(笑)、糖尿病の患者さんを診るようになって、野菜や魚を多く食べるなど、バランスに気をつけるようになりましたね。来年は70歳になりますが、ふだんから積極的に歩くようにして、隣駅の杉田からこの洋光台まで歩いています。急な上り下りもありますから、非常に健康にいいと思いますね。しかも歩いていると、途中で患者さんと会うことも多く、「先生が歩いているなら、自分も運動しよう」と、きっかけになる方もいるんです。最近は少し膝の調子が悪い時期が続いて、ウオーキングは30分程度、水泳を週2回というペースにしています。

休日もそうした運動をして過ごされるのですか?

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最近は、休日に講演や勉強会で全国を回ることが多くて、今度は高知に行くと全国制覇するんですよ。ですから講演後に、その土地のおいしい料理とお酒をいただくのが休日の楽しみになっていますね。一応、食事は気をつけていますが、お酒はさすがにやめられません(笑)。

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