出井 教雄 院長の独自取材記事
いでい耳鼻咽喉科医院
(横浜市南区/弘明寺駅)
最終更新日:2026/10/07
総合病院の耳鼻咽喉科で豊富な診療経験を積んできた「いでい耳鼻咽喉科医院」の出井教雄院長。開院後は、早くからスギ花粉症とダニアレルギーへの舌下免疫療法を開始し、マリンスポーツや潜水に関わる仕事でのトラブルの診療にも対応。CTを導入して、めまいなど、専門的な検査や治療も行ってきた。最近では、食物やペットのアレルギー診療や、補聴器や難聴の相談にも乗る外来診療に力を入れる。時代やニーズに応じて診療を進化させつつ、薬に頼りすぎずその人が本来持つ回復力を大切にしたいという姿勢が印象的だ。ブログを通じた情報発信にも注力する出井院長に、診療の特徴や患者への思いを詳しく聞いた。
(取材日2026年8月13日)
患者自身の免疫力を重視し、通院回数や治療を最小限に
院内環境を次々とリニューアルされてきたそうですね。

もともと私は日本鋼管病院という川崎市の総合病院に勤務し、耳鼻咽喉科部長を務めていました。このクリニックを開院する際には待合室を広くして、熱帯魚の水槽を置くなど患者さんにリラックスしていただける空間を作ることにこだわりました。そして、新型コロナウイルス感染症の流行下では新たに発熱患者さん専用の待合室や出入り口を設け、空気清浄機を導入し、紙カルテを電子カルテに移行するなど、感染症対策を徹底して患者さんに安心していただける環境を整えました。
CTなど設備の導入にも積極的と聞きました。
そうです。医療の技術は日々進化するので、より精度の高い検査と診察ができる設備を導入することにも力を入れています。例えば、エックス線よりも細かい画像が得られるCT、検査結果を患者さんにわかりやすく説明するためのモニター、詳細な診察ができる新型の耳鼻咽喉科ユニットや顕微鏡も新たに導入しました。CTでは、例えばスポーツなどで鼻を強打した場合、エックス線ではわからない小さな骨折も捉えることができます。また、副鼻腔炎の合併症である歯性上顎洞炎という歯の炎症や、鼻の炎症が目や脳に影響している場合などもCTを使うことで早期発見につながりますし、嗅覚障害も精密な診断が可能です。
先生の診療ポリシーについて伺います。

開院当初から徹底しているのは、最小限の通院回数で患者さんを治療する努力をすることです。人間の体には、病気を治そうとする免疫力などがあります。患者さんの症状が「自分の力だけでは治すことができない」もしくは「症状が強くて時間がかかりそう」といった状態であれば、薬を処方します。治療とはあくまでその人の回復力を助けるためのもの。病気によっては100%完全に治療が終わるまで通院や服薬を繰り返すのではなく、7~8割くらい治療が進んだ状態になったら、あとは自分の力で完治をめざす努力をしていただくこともあります。検査の結果を見ながら病気の詳しい説明と、これからどのようにすれば同じ病気にかからないかの助言を行うことを大切にしています。そうすることで、通院回数が減り、同じ病気になる確率を減らすことが期待できます。経営上好ましいとは言えませんが、それが正しいのではないかと思っています。
ダイビングや補聴器などニーズに応える独自の外来診療
アレルギー診療にはどのような特徴がありますか。

スギ花粉症とダニアレルギーに対しての免疫療法は、以前は皮下注射を行ってきましたが、現在は舌下免疫療法を中心に行っています。他では、アナフィラキシーを起こした患者さんも増えてきました。ペットアレルギーも増えましたね。犬も室内で飼うようになり、またペットのために窓を閉めきってエアコンを使うため、動物の毛やダニの濃度も高まり、アレルギーが起こりやすくなっているのです。また、食物アレルギーも増えてきているので、アレルギー検査を行う際は、食物アレルギーのチェックを併せて行うこともあります。
検査について詳しく教えてください。
当院ではアレルギー検査機を2台備えており、指先から血液を採取することで約30分後に食物を含め、41項目の検査結果をお伝えすることが可能です。加えて、私は長年にわたりアレルギー患者さんを診てきた経験から、今は症状がなくても、これから出現することが見込まれるアレルギーを予測して、日常生活について適切な助言を行っています。食物に関しても、「将来的にアレルギー反応が出る可能性があるので、こうした食物に気をつけたほうが良い」というような具体的な説明を行っています。
ダイビングの外来にはどのような特徴がありますか。

私は自分でもスキューバダイビングをしており、日本海洋レジャー安全・振興協会が運営するDAN JAPANという公益事業にも登録しています。ですから、耳抜き不良や副鼻腔スクイーズなどのトラブルを抱えるダイバーのストレスは痛いほどわかりますし、ダイビングを知っているからこそ診断できる症例もあります。最近は、フリーダイビングの患者さんも増えていますし、警察や海上保安庁といった職業ダイバーの方もよく来られます。職業ダイバーは危険な潜水を行って、複雑な症状になることもあります。専門的な診療を行っているクリニックは少ないので、お役に立ちたいと思っています。
補聴器や難聴の外来も設けられているのですね。
この地域も高齢化が進んでいますので、週に2回補聴器の外来診療日を設けています。ある程度の年齢になると誰でも耳の聞こえが悪くなり、難聴の放置は認知症のリスクとなります。軽度の難聴の場合、本人は気づいていなくても、テレビの音を大きくしていたり、コミュニケーションが取りにくくなっていたり、家族や周りの人が困っていることが少なくありません。そこで、補聴器や難聴の相談に乗り、「自分はまだ困っていない」という患者さんにも、「将来のために体験してみませんか」とお勧めして、補聴器への抵抗をなくすことに努めています。
先を見据えた説明や指導を行い、情報発信にも注力
診療の際、どのようなことを重視されていますか。

診断を素早く確定させることにこだわり、そのために検査機器も充実させています。例えば、診断が難しいめまいも、病名がわかれば適切な治療で速やかに治ることが望めるというように、適切な診断がつけば少ない薬を短期間投与するだけで済むことが期待できるのです。どんな薬にも何らかの副反応はありますから、やはり薬はあくまでも最低限が良いと考えています。そして、この人はなぜこの病気になったのかという、病気の前の段階も考えて原因を探り、再発を予防することも重視しています。
患者さんに対しては、どのようなことを心がけていますか。
心を込めて患者さんに向き合い、説明や助言を時間が許す範囲でできるだけ行っています。そして、生活改善や、日々過ごす上で気をつけてほしいことをしっかり説明し、薬なしでも症状が改善するよう心がけていただきたいなと思っています。患者さんが緊張されないように雑談から始め、生活環境などを聞き出すことも心がけています。また、診療の最後に「お大事に」という機械的なあいさつをするのは避けて、患者さん一人ひとりの症状や悩みに寄り添った言葉をかけるようにしています。
ところで、ブログも人気だと聞きました。

定期的にホームページで「院長のブログ」を更新しており、病気に関する詳しい説明はもちろん、毎日を健康的に過ごせるような助言、世界的に有名な作曲家と難聴、同じく有名な画家とめまいなど耳鼻咽喉科に関わるエピソードなどを取り上げています。私のストレスに関する話も、恥ずかしいですが多くの方に読まれているんですよ(笑)。突発性難聴やメニエール病など、耳鼻咽喉科の病気は過労やストレスが引き金となるケースが多いですし、毎日を健康的に過ごすための参考にしていただければと思います。音楽家からの反響も多いので話が合わせられるようにと思い、ピアノも習い始めました。油絵も趣味なので、名画の医学的な分析ももっと取り上げたいですし、健康に関する読み物として気軽に読んでいただけるとうれしいですね。
読者へのメッセージをお願いします。
気になる症状があるのに、悩んだままで受診されない方が多いようです。検索しても解決しないことは多いですから、ぜひ勇気を出して受診することをお勧めします。特に突発性難聴は、発症から1週間以内が勝負ですから、おかしいなと思ったら、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。また、喉などのがんを心配されている方も多いようですが、がんは早期発見が大切で、悩んでいるうちに手遅れになることもあります。当院には先進の内視鏡機器もありますので、悩まずに早く受診していただければと思います。

