出井 教雄 院長の独自取材記事
いでい耳鼻咽喉科医院
(横浜市南区/弘明寺駅)
最終更新日:2024/09/25

出井教雄院長は総合病院で豊富な診療経験を積んできたベテランドクター。同地域で早くからスギ花粉症とダニアレルギーへの舌下免疫療法を開始し、元々主流だった皮下免疫注射での療法も続けて対応。加えて、ダイビングでのトラブルの治療、めまいやCTの検査など、専門的な医療が充実していることが特徴だ。待合室は広く、患者がストレスを感じずに過ごせるような環境づくりにも余念がない。「薬に頼り過ぎない、その人が本来持つ回復力を大切にしたい」と語る出井院長に、日々の診療のこだわりやモットーについて聞いた。
(取材日2024年6月13日)
時代に合わせて進化する院内設備と診療ポリシー
院内の環境や設備を次々とリニューアルしているそうですね。

もともと私は日本鋼管病院という川崎市の総合病院に勤務し、耳鼻咽喉科部長を務めていました。自身のクリニックを開院する際には待合室を広くして、熱帯魚のいる水槽を置くなど患者さんにリラックスしていただける空間を作ることにこだわりました。そして新型コロナウイルス感染症の流行下では新たに発熱患者さん専用の待合室や出入り口を設け、高性能空気清浄機を導入し、紙カルテを電子カルテに移行するなど、感染症対策を徹底。患者さんに安心していただける環境を整えるだけでなく、医療の技術は日々進化するので、より精度の高い検査と診察ができるよう設備を導入することにも力を入れています。エックス線よりも細かい画像が得られるCT、検査結果を患者さんにわかりやすく説明するためのモニター、詳細な診察ができる新型の耳鼻咽喉科ユニットや顕微鏡、これらはすべて令和に入ってから新たに導入した機器です。
診療ポリシーを教えてください。

開院当初から徹底しているのは、最小限の通院回数で患者さんを治す努力をすることです。人間の体には、病気を治そうとする免疫力などがあります。患者さんの症状が「自分の力だけでは治すことができない」もしくは「症状が強くて時間がかかりそう」といった状態であれば、薬を処方します。治療とはあくまでその人の回復力を助けるためのもの。病気によっては100%完全に治すまで通院や服薬を繰り返すよりも、7~8割くらい症状が改善された状態になったら、あとは自分の力で治す努力をしていただくこともあります。検査の結果を見ながら病気の詳しい説明と、これからどのようにすれば同じ病気にかからないかのアドバイスを行うことを大切にしています。そのため、通院回数は減り、同じ病気になる確率を遥かに減らすことができます。経営上好ましいとは言えませんが、それが正しいのではないかと思っています。
アレルギーの専門的な診療と充実した検査機器
どのような症状の患者さんが多いですか?

花粉症やアレルギーの患者さんが多いですね。この数年、スギ花粉とダニに関しては薬を舌の下に投与する舌下免疫療法が広がっていますが、当院は、当初から皮下注射による免疫療法も行っていることが特徴です。そのため他院で舌下免疫療法を受けても効果が見込めない患者さんが次の一手として皮下注射を受けに来られることもあります。これらの免疫療法はごくまれに副反応がありますが、当院には、迅速に対応できるよう、薬剤だけでなくAEDを含む救急セットも常備し、横浜市立みなと赤十字病院や神奈川県立こども医療センターなどとの連携体制も整えております。この免疫治療は3〜5年ほど継続して行います。
アレルギーの予防にも力を入れているそうですね。
私は長年にわたりアレルギー患者さんを診てみて、今は症状がなくても、これから出現するアレルギーも予測できることが少なくありません。それを含めて日常生活での適切なアドバイスをさせていただいています。特に当院はアレルギー検査機を2台備えており、指先から血液を採取することで約30分後に41項目の検査結果をお伝えすることが可能です。ご自身のアレルギーや、それに合った治療法が知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
CTはどんなケースで使われることが多いですか?

まずは外傷ですね。スポーツで鼻を強打した患者さんに対して、CTで撮影することでエックス線ではわからない小さな骨折も捉えることができるようになりました。また、副鼻腔炎の場合も、歯性上顎洞炎という歯の炎症が鼻に影響を与えていたり、鼻の炎症が目や脳に影響していることもあり、そういった合併症もCTを使うことで早期発見につながります。それに加えて、新型コロナウイルス感染症の流行下で嗅覚障害を訴える患者さんも増えたのですが、臭いを感じ取る神経もCTであればエックス線よりも精密な診断が可能です。またレアケースではありますが、それが長期的に治らない場合はのカビの感染やがんの可能性があるため、念のためCTを使って患部の状態を詳しくチェックするようにしています。
スキューバダイビングの外来はどんな診療を行っていますか?
私は子どもの頃から水泳が好きで、スイミングクラブに毎日のように通っていた時期もありました。今でも海に潜る時間が好きですし、現在は日本海洋レジャー安全・振興協会(DANJAPAN)にも登録し、将来は沖縄に移住することを夢見ています(笑)。だからこそ、耳抜き不良や副鼻腔スクイーズなどのトラブルを抱えるダイバーのストレスは痛いほどわかります。プロダイバーでもある医師から学んだ治療法を用いてスキューバダイビングの外来を行っています。
患者の不安に寄り添う診療と情報発信を徹底
最小限の通院、最小限の薬で治療するにあたり、重視していることは?

当院が検査機器を充実させているのは、診断を素早く確定させることにこだわっているからです。めまいなど診断が難しい場合には特に有用です。めまいは症状であって、病名ではありません。病名がわかれば、適切な治療で速やかに治ることが望める場合が多いのです。喉などのがんが心配な場合にも、先進の内視鏡がありますので、いつまでも悩まずに、受診してほしいと思います。がんは早期発見が大切ですからね。また、診断がしっかりと確定できない場合はどうしても薬が増えてしまう傾向がありますが、的確な診断がつけば少ない薬を短期間投与すれば済むことが期待できるのです。どんな薬にも何らかの副反応はありますから、やはり薬はあくまでも最低限が良いと考えています。
診療で患者さんに対して心がけていることを教えてください。
患者さんへの説明やアドバイスも時間が許す範囲でできるだけ行っています。生活改善や、日々過ごす上で気をつけてほしいことをしっかり説明し、薬なしでも症状が改善するよう心がけていただきたいなと思っています。診療が長引いてしまうこともあるのですが、少しでも待ち時間を短くするために当院では予約制を導入しており、ホームページでは混雑予測も公開しておりますので、ぜひご活用いただきたいですね。それから、心を込めて患者さんに向き合いたいからこそ、診療の最後に「お大事に」という機械的なあいさつをするのは避けて、患者さん一人ひとりの症状や悩みに寄り添った言葉を投げかけるようにしています。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

突発性難聴やメニエール病など、耳鼻咽喉科の病気は過労やストレスが引き金となるケースが多いのです。私は定期的にホームページで「院長のブログ」を更新しており、病気に関する詳しい説明はもちろん、患者さんが毎日を健康的に過ごせるようなアドバイスも発信しています。特に来院予定がないときでも、健康に関する読み物として気軽に読んでいただけるとうれしいですね。