徳本 隆博 院長の独自取材記事
とくもとこもれびクリニック
(吹田市/江坂駅)
最終更新日:2025/11/11
どこからともなくアロマの香りが漂い、思わず深呼吸したくなる。そんな心地良い空間づくりにこだわる「とくもとこもれびクリニック」には、メンタルクリニックとして信頼を寄せる患者が集まる。「精神科だけではなく、実は内科もしっかり診療できるんです」と話すのは、徳本隆博院長だ。さらに訪問診療にも取り組んでおり、トータルで患者をサポートしようと尽力している。診療科の垣根を越えて総合的に診療することにこだわる徳本院長に、同院の訪問診療の特徴や診療への思いを詳しく話してもらった。
(取材日2025年2月26日/情報更新日2025年11月7日)
木漏れ日のような温かい医療の提供をめざして開業
アロマの香りが心地良い、落ち着いた院内ですね。

ありがとうございます。木漏れ日のように、木々の間から漏れる温かい光のような医療をめざしてクリニックをつくりました。当院にいる間はリラックスしていただきたいと思い、プロジェクターで木漏れ日を投影し、アロマをたいて、皆が心地良く過ごせる空間をめざしました。周りの目を気にせず過ごせるよう、待合室には1人ずつパーティションで区切った座席も用意しています。精神科というカテゴリー上、あまり人に見られたくない方もいらっしゃると思うので、駅に近すぎず、かといって離れすぎず、2階で診療できる立地にもこだわりました。江坂を選んだのは、ビジネス街で若い方が多い一方、もともと住んでいるご高齢の方も多く、たくさんの方の力になれると思ったからです。ありがたいことに患者さんがクチコミで広めてくださり、今では10代半ばから40代の若い方を中心に、多くの方に通院いただいています。
こちらではどんな診療を提供されているのでしょうか?
外来では、心療内科と精神科を診療しています。長年、精神科救急に勤めてきた経験から、幻覚妄想状態などの激しい精神症状がある重症の方も含めて対応できる点が強みですね。精神科の患者さんの中には、外出が難しい方もいらっしゃいます。そういった方に対して質の高い訪問診療をご提供できるように、私の他に精神科診療や訪問診療の経験が豊富な医師に在籍してもらい、体制を整えました。訪問診療では主に双極性障害や認知症、パニック障害、うつ病など、外出が難しい患者さんを診ています。引きこもりの方や、家庭内暴力に悩む方など、市役所から相談をいただいて治療に伺うこともありますね。また、子どもも長期的に診られるように、児童専門の訪問ステーションと連携を取っています。さらに、治療環境を整えるためのサポートも行っていますので、何でも気軽に相談してください。
診療方針を教えてください。

できるだけ副作用が少なく、依存しにくい薬を使って治療を進めるところが当院の診療方針です。精神科の受診を検討される方が一番心配していることは、薬への依存ではないでしょうか。薬に対してマイナスイメージを持っている方も多いため、できるだけ日常生活に支障がないよう、例えば眠気が生じる場合があり生活の負担になるようなお薬は避けるなど、治療薬の選択にこだわっています。薬を使うのが怖いと感じている方には、薬物療法は有用だということをできるだけ丁寧にお伝えするよう意識していますね。患者さんがご自宅で一般的な生活を送れる状態になれるようにお手伝いをするのが、私たちの仕事です。
通院が難しい患者をトータルケアする訪問診療
訪問診療では精神科に加えて、内科にも注力しているそうですね。

ええ。患者さんの中には、精神科以外の病気も患っているため、精神科以外の診療科の受診も必要な方もいらっしゃいます。そのような方にも負担少なく、トータルな医療を提供したいという思いから、訪問診療では内科にも注力し、いつでも心身の両面に対応できるようにしたのです。ちなみに当院は、訪問診療を利用されている患者さんに対して24時間対応可能である「機能強化型在宅療養支援診療所」であり、CTやMRIの撮影が必要だと判断した場合は連携病院に迅速につなぐことが可能ですので、安心してご相談ください。
こちらの訪問診療の強み・特徴をお聞かせください。
患者さんが医師に求める対応は、「ただ話を聞いてほしい」「アドバイスが欲しい」など、一人ひとり異なるもの。当院の訪問診療は、複数の医師の中から患者さんの状態や希望に合わせて、より適切な医師が対応させていただきます。つまり、その患者さんが求める対応につながりやすいのです。例えば、精神科疾患に加えて咳や喘息といった呼吸器疾患を患っている場合、呼吸器疾患や一般内科を含めた内科診療にも従事してきた医師が担当します。また、女性医師もいるので、女性の患者さんにも安心してご利用いただけるでしょう。
呼吸器内科の他に、どんな領域を訪問診療で診てもらえるのですか?

私であれば、精神科と内科の他に、泌尿器科の診療も可能です。また、現在4人の医師が訪問診療に対応しているのですが、全員が基幹病院に勤めていた時に、精神救急科の医師として多様な症例に対応してきた医師なのです。ですから、呼吸器内科や泌尿器科だけではなく、あらゆる症例を診ることができます。入院に至るまでに苦労された患者さんとご家族の方も支えた経験もありますので、入院が必要となるほどの重症化を防ぐためのケアも提供可能です。
訪問診療の体制をさらに充実させるために、訪問看護ステーションを開設されたそうですね。
そうですね。より迅速かつ丁寧な訪問診療を届けたいという思いから、2023年に「訪問看護ステーション」を開設しました。医師による定期的な訪問診療だけではケアが不十分なケースであっても、毎日をしっかりと送れるようにサポートしたいと考え体制を整えたのです。医療と看護の両面で、患者さんとご家族に寄り添えたらと思っています。
目標は、どんな患者にも医療を提供できる環境づくり
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

できるだけ患者さんの目を見ながら、言葉以外の情報を集めた上で診療するように心がけています。パソコンばかりをにらみながら行う診療をできるだけ減らせるように、カルテを自動で作成してくれるAIシステムを取り入れました。また、患者さんがイメージしているものとは異なる病気が隠れているケースも少なくありませんので、必ず丁寧にお話を伺い、本当の原因や病気は何なのかを探っていくことも意識していますね。
診療のモットーは何ですか?
患者さん一人ひとりに合った、オーダーメイドの治療を行うことです。既製服と同じで、画一的な治療ではどこかつらいところが出てきてしまうため、患者さんが心地良く過ごせるようにその方に合った医療を追求しています。そういう意味でも、今後は終末期医療に力を入れていきたいですね。終末期ともなると、せん妄を起こしていたり痛みがひどかったりと、心も体もすごく大変な場合が多いんです。ご自宅で最期を迎えたいという方が、できるだけ安らかに最期の時間を迎えられるようにお手伝いしたいと強く思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

在宅では診きれない方も本当の意味でトータルで診ていけるように、北摂で関連施設を増やして、どんなフェーズでも患者さんに対して医療を提供し続けられる環境をつくりたいと思っています。例えば、医療特化型のサービスつき高齢者向け住宅やグループホーム、デイケア施設をつくって、介護も含めて自分たちの手でケアできるようめざしていきたいです。トータルケアをめざしてお力になりたいと考えております。まずは一度ご相談ください。

