寺岡 宏倫 院長の独自取材記事
てらおか内科消化器クリニック
(横浜市港南区/港南中央駅)
最終更新日:2025/03/06

消化器内科および内科全般を広く診療する「てらおか内科消化器クリニック」は、痛みを極力なくすよう配慮した内視鏡検査を重視する。「早期発見には定期的な検査が必要。それには楽に受けられることが重要なんです」と理由を話す寺岡宏倫院長。そのために医療機器をそろえ、長く経験を積んだ内視鏡のエキスパートとしてカメラの挿入技術を磨き、鎮静剤の利用にも対応する。「二度と受けたくないという方こそ当院でご相談を」と語る寺岡院長に、同院での診療の特徴や内視鏡検査へのこだわりなどを聞いた。
(取材日2024年12月4日)
一人でも多くの人をがんによる死亡から守るために
このクリニックの特徴や開設の経緯を教えてください。

私は藤沢市の出身ですが、大学病院で培った消化器内科の知識や内視鏡検査の経験を生かせればと思い、2010年に当院を開設しました。街の雰囲気が妻の地元に似ていたことも、この地域に惹かれた点の一つです。地元の皆さんも温かく迎えてくださり、こうして診療が続けられたことは本当にありがたく感じています。患者さんは40〜80代まで幅広く、私が得意とする内視鏡検査に期待して来られる方も多いですね。それだけに内視鏡の設備は必要に応じて更新し、検査・治療の技術も常にアップデートするよう心がけています。例えば、大腸ポリープの内視鏡治療では高周波を用いるEMR(内視鏡的粘膜切除術)以外に、高周波を使わず切除できてEMRよりもスピーディーに終了できるCSP(コールド・スネア・ポリペクトミー)やCFP(コールド・フォアセプス・ポリペクトミー)といった切除法にも対応。状況に合わせて適切に使い分ける診断力も磨いています。
こちらでは苦痛が少ない内視鏡検査を重視されているとか。
現在「がんは治療できる病気」とされ、早期に見つければ手術せずに治療を行える可能性も高まります。しかし早期がんは自覚症状がなく、まずは「症状がなくても定期的に検査を受ける」ことが大切になるんです。それなのにつらく苦しい検査では、もう二度と受けたくないと思う方も多いでしょう。ですから一人でも胃がん・大腸がんで亡くなる方を減らすため、検査時の痛みを極力軽減するのが私の務めと考えています。胃の内視鏡検査では、経口タイプよりも息苦しさや嘔吐反射が少ないとされる経鼻タイプを用意しました。検査のために膨らませたおなかが早く平常に戻るよう、体内に吸収されやすい二酸化炭素も使用していますし、痛みを感じにくくする鎮静剤を併用した検査もお選びいただけます。「二度と受けたくない」と思っている方こそ、ぜひ当院にご相談いただきたいですね。
内視鏡検査のほかにどんな分野に対応されていますか?

胃痛、腹痛、便秘、下痢、胸やけ、腹部膨満感といった消化器症状全般に対応しています。そのほか、院内でピロリ菌の検査・除菌が可能で、風邪やインフルエンザ、生活習慣病といった内科領域の患者さんも診ています。また、診療面では漢方を取り入れているのも特徴の一つでしょう。病気とはいえないものの、ほてりやめまい、食欲不振などの症状があることを「未病」といいますが、病院勤務時代はそういう訴えをされる方を「病気ではない」と捉えていました。しかし、症状で苦しまれているのは事実ですから、なんとか力になりたいと思って開業後から漢方を学び、現在は希望する方に漢方を処方するようになりました。
長引く便秘は市販薬でなく受診して適切な治療を
内視鏡検査のメリットなど消化管の検査について教えてください。

内視鏡は食道・胃、大腸といった消化管の内部を映像で視認でき、病気が疑われる部位のサンプルを検査時に採取可能で、さらに大腸ポリープの状態によっては内視鏡的に治療もできる、などのメリットがあります。そのため内視鏡検査が現在の消化管検査の標準といえるでしょう。一方、バリウムを使った胃のエックス線検査では一般的に内視鏡検査よりも費用が抑えられるところが長所と言えます。しかし、ベテランの技師と医師でなければ精度が担保されないことや、最近の内視鏡機器が進歩していること、更に、検査による苦痛は少ないものの体力が必要で、筋力が弱っている方は危険が生じる場合もあることから、内視鏡検査を選択することをお勧めします。大腸では便を調べる便潜血検査のほか、医療機関によっては大腸CT検査を選択できる場合があります。大腸CTでは機械を奥へ挿入することなく検査が行えます。
どんな人が内視鏡検査を受けるといいのでしょうか?
早期発見のため、できれば40代以上の方には受けていただきたいのですが、早めに検査が必要なケースとして、健康診断で再検査になった方、胃や腸に何か症状がある方などが挙げられます。特に大腸がんが疑われる「血便が続く」「便が細くなるなど形が急に変化した」「排便回数が変わった」などの兆候は要注意です。一方、慢性的な便秘と大腸がんとの関連性は低いとされますが、市販の便秘薬を使い続けると別の健康リスクが高まる恐れも。例えば酸化マグネシウムは長期間使うと高マグネシウム血症を起こして具合が悪くなる場合があり、マグネシウムの血中濃度の適切な管理が求められます。また、腸を刺激して排便を促す刺激性の薬は腸の機能低下を招く可能性もあるのです。内視鏡検査で便秘の原因がわかるかもしれませんし、現在はより有用な処方薬も出ています。「便秘で受診していいのだろうか」と悩まず、一度当院にご相談ください。
内視鏡検査の精度向上や痛み軽減の工夫をお聞かせください。

内視鏡は、新しい機種ほど解像度が高く鮮明な映像が得やすいため、当院でも少し前に内視鏡の設備を更新しました。必要なら映像を数倍に拡大でき、特殊な光で病気の疑いがある部分を見やすくするなどの機能も備え、検査精度の向上に役立っています。痛みの軽減では、経鼻タイプの内視鏡、二酸化炭素の使用、鎮静剤の選択のほかに、大腸内視鏡検査で必要な腸管洗浄剤を4種類用意するのも特徴です。前日に飲む液剤、飲む量が少ない液剤、当日飲めばよい液剤、錠剤タイプがあり、患者さんがなるべく苦しくないように使い分けています。またこれまでの経験をもとに、内視鏡を挿入する角度や方向などを検査する場所に合わせて巧みに操作し、痛みが出にくいよう工夫。検査には内視鏡に精通する看護師も加わり、適切にサポートしてくれることも痛みの軽減につながっていると思います。
エイジングケアの観点から「健康で長生き」を支援
なぜ消化器内科の医師になられたのですか?

私の父は実家の隣に診療所を構える医師で、最初は外科が専門でしたが、やがて内科を中心に診るようになりました。診療時間以外は勉強に充て、常に新しいものを吸収していく姿勢にも憧れ、自然と医師をめざすようになったんです。医学部を経て大学病院で経験を積みながら「いずれは父のように地域医療の道へ」と考えていました。消化器内科を選んだのは、研修医時代に経験した救急医療の現場で、吐血した患者さんの体内に内視鏡を入れて出血源を探し出し、止血する医師の姿が感動的だったから。内視鏡は救急に限らず通常の診療でも非常に有用で、開業後も役立つものだと思いました。私が初めて行った治療も、吐血して救急で運び込まれた患者さん。先輩の治療を途中で引き継ぎ、何とか止血しました。今なら経験が浅くても治療できると先輩が判断して私に任せたのだとわかりますが、当時はもう必死でしたね。
それでは、お休みはどう過ごされていますか?
子どもたちも大きくなって一緒に過ごすことが減り、最近は御朱印帳を持って神社巡りが増えてきました。今のところは車で日帰りできる距離で、鹿島神宮、香取神宮、息栖神社のほか、海の中の岩礁に建つ鳥居で有名な大洗磯前神社にも伺いました。あとは伊豆半島の下田市にある白濱神社も良かったですね。朝早い時間にお参りすると、周囲にはまったく人影がなく、ゆっくりと参詣できて心が洗われますね。
地域の方にメッセージをお願いします。

日本では男女ともに大腸がんになる方の数は多く、亡くなる方も増えています。ただ、早期のポリープの段階なら内視鏡ですぐに治療可能で、定期的な内視鏡検査により大腸がんの患者数はもっと減らせると考えられます。そのために当院では内視鏡検査を受けるハードルを下げ、できる限り楽に検査を受けていただくための体制を整えています。また、食事の栄養バランス、適度な運動などのアドバイスを生活習慣病の予防や改善に役立ててもらい、地域の皆さんに「健康で長生き」な生き方をしていただくのも当院の役割。どうぞ気軽にご利用ください。