高血圧から始まる生活習慣病
食事療法や薬物療法で合併症の予防を
奥村クリニック
(高山市/高山駅)
最終更新日:2022/12/28


- 保険診療
若い頃は自分には関係ないと思っていても、加齢とともに身近になる生活習慣病。今までと同じように生活しているのに、健康診断を受けたら「血圧が高くなってきた」「コレステロールの数値が悪くなっている」という人は少なくないだろう。それなのに、大きな問題がないからとそのままにしておくと、「重篤な合併症につながりかねない」と警鐘を鳴らすのが、高山市にある「奥村クリニック」の岡本哲也院長だ。血管外科専門の医師として数多くの手術を行ってきた岡本院長によると、高血圧症や脂質異常症(高脂血症)といった生活習慣病は、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な合併症と関連が深いのだという。そこで、最悪の状態を未然に防ぐために、気をつけるべき点や、クリニックで行っている治療などについて教えてもらった。
(取材日2022年11月16日)
目次
誰もがかかる可能性がある生活習慣病。合併症を予防するために、高血圧による動脈硬化が進む前の治療が鍵
- Q生活習慣病とはどのような病気なのですか?
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A
▲血管外科に精通した岡本院長が治療にあたる
基本的には、日頃の生活習慣や体質がもとになって起きる慢性疾患のことを、生活習慣病と呼んでいます。その中でも特に気をつけていただきたいのが、高血圧、脂質異常症、糖尿病ですね。こうした病気は動脈を傷つける一因となり、そのまま放置していると、動脈硬化、そして動脈が詰まる動脈閉塞へと症状が進行してしまう恐れがあります。そうなるといくら予防に力を入れても時すでに遅し……となってしまいかねません。例えば、下肢動脈の閉塞が進めば、最悪の場合は足が壊死することもあり得ます。高山地域はご高齢の方が多いので、重篤な合併症につながっていきやすい生活習慣病には特に注意していただきたいと思っています。
- Qそもそも生活習慣病はどのような原因で起こるのでしょうか?
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A
▲食事面のアドバイスや指導を受けられる
原因はさまざまですが、気をつけてほしい一つが油っこい食事によるコレステロールの増加です。カロリーが高い食べ物を食べるのに、運動もせずにテレビを観ているような生活をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。若い頃はそれでも大丈夫かもしれませんが、年を重ね、体を動かす習慣もなければ、どうしてもカロリー過多になります。またもう一つ、塩分の取り過ぎによる高血圧も大きな問題ですね。生活習慣病には遺伝的な要素もあるといわれます。確かにそのとおりですが、「これがわが家の味つけ」と言って、味の濃いおかずを食べるご家庭ですと、その食生活がお子さんに伝わること自体、遺伝に影響を及ぼす一因だと思います。
- Q生活習慣病から合併症を引き起こすことがあると聞きました。
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A
▲説明もわかりやすく丁寧に行う
先ほど申し上げたとおり、生活習慣病を放置したままでいると動脈が傷つき、動脈閉塞を起こしやすくなります。もし動脈閉塞が脳内で起きれば、脳梗塞や脳出血につながります。同じように、心臓であれば心筋梗塞、大動脈では大動脈瘤、足では閉塞性動脈硬化症と、それぞれ重篤な合併症を起こす可能性があるのです。また、もう一つ、心臓の血管が詰まることで出やすい不整脈にも気をつけなければいけません。中でも心房細動になると、心房で血栓ができ血流に乗って体内を巡るので、頭、心臓、腎臓、足、手など、どの部分の血管が詰まるか予測が難しくなります。そうならないためにも、生活習慣病、とりわけ高血圧には注意が必要です。
- Qこちらのクリニックではどのような治療を行っていますか?
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A
▲さまざまな検査も受けられる
力を入れているのが食事療法です。当院では1日塩分摂取量を算出する計算式を用いて、患者さんごとに現在の塩分量を推測した上で、減塩などの栄養指導につなげます。それでも改善が期待できない場合に行うのが、薬による血圧コントロールです。2019年に新しくなった高血圧治療のガイドラインに沿って、75歳以上の方なら上が135、下が85以下などそれぞれに合った目標をめざします。ただ、数値ありきだと薬をきつく感じてしまうこともあるので、状況を見て、薬による効果が見込みやすい夏は量を減らし、冬はその逆にするということもありますね。ずっと同じ量でいいかどうか、検査を受けてもらいながら丁寧に診ることを意識しています。
- Q生活習慣病や合併症を予防するために注意することはありますか?
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A
▲これから長く地域に根差していくクリニックをめざす
起床時に血圧を測り、「早朝高血圧」の状態になっていないか気をつけていただきたいです。寒い時期は血圧が上がりやすいのに、高血圧の方がそれを理解して食事に気をつけるといった生活をしていないと動脈系の病気を発症しやすくなります。私が血管外科にいた頃も手術は冬が多かったですね。一方で夏はそれほど血圧が高くなくても油断せず、食事療法でも薬物療法でもきちんと続けることが大切です。また、数百メートル歩くと足がつる人は閉塞性動脈硬化症の可能性があるほか、寝た状態でおなかを触ると動脈が「とくとく」としているのを感じたら動脈瘤が大きくなっているサインです。こうした兆候があれば、早めに受診していただきたいです。