健康な人と同じ生活を送れるように
新薬によるリウマチ治療
富士森内科八王子リウマチ膠原病クリニック
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2023/07/03


- 保険診療
リウマチという病名は知っていても、詳しいことはわからない。あるいは、リウマチになったら病気の進行を止めることはできず、最後は寝たきりになってしまうと思っている人もいるかもしれない。しかし、「近年では新しい治療薬が登場して、健康な人と何ら変わらない生活を送ることをめざせるようになっています」と話すのが、「富士森内科八王子リウマチ膠原病クリニック」の清川智史院長だ。清川院長はこれまで、聖マリアンナ医科大学のリウマチ・膠原病・アレルギー内科助教として、多くの患者に先進の治療を提供し、薬などを続けながらも普通の生活を送ることができる「寛解」の状態に導いてきたという。そんな清川院長に、リウマチの基本的なことや治療などについて詳しく教えてもらった。
(取材日2022年12月7日)
目次
早期治療が予後に大きな影響を与えるリウマチ。気になる症状があったら、まずは相談することが大切
- Qリウマチとはどのような病気ですか?
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A
▲リウマチ・膠原病の専門的な診療に取り組んでいる清川院長
広く自己免疫疾患と呼ばれますが、何かしらを契機に自分の体の免疫の在り方が変わって、自分の免疫が自分の体を攻撃するようになってしまい、それによって関節炎を起こすのがリウマチ(関節リウマチ)です。関節が炎症を起こすと痛みにつながり、日常できていることができなくなって、生活の質が損なわれてしまいます。さらに、その炎症を放置しておくと関節がどんどん壊されていってしまいます。きっかけとしては、喫煙は明らかなリスク要因ですが、ほかに感染症や悪性腫瘍、比較的女性に多い病気なので、妊娠や出産、更年期なども考えられます。年齢的には40〜60代で発症する人が多いですが、それ以外の年齢層でも起き得る病気です。
- Qどのような症状があったときにリウマチを疑うべきですか?
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A
▲早期発見と適切な治療が重要
まずは、関節の痛みです。教科書的には、6週間以上痛みが続き、それが片方の手や膝などではなく両方に出るのが一般的な病態とされています。しかし、初期には片方だけ発症することも少なくありません。さらに、基本的には腫れを伴い、動かす時だけではなく、動かしていない時にも痛みがあります。最初は指など小さな関節の痛みから始まることが多いですが、高齢で発症する場合は、肩や膝などの大関節から痛みだすこともあります。朝に手がこわばるのも症状ですが、リウマチでこわばる場合には、1時間以上たっても治まらないのが特徴です。一度破壊された関節は、元に戻すことはできませんので、早期発見と適切な治療が大切です。
- Qどのように治療するのでしょうか?
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A
▲新しい治療薬により「寛解」の状態もめざせるという
関節が痛む病気は、リウマチ以外にも本当にたくさんありますから、まずは鑑別することが重要になります。そのため、詳しい問診や触診による腫れの評価、血液やエックス線撮影などの検査を行います。それらにより診断するほか、リウマチであれば活動性はどれくらいなのかや、治療に備えて肝臓や腎臓の機能、血糖値やコレステロール値も確認します。以前は痛みを取ることが治療の目的でしたが、近年では新しい抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などが登場し、医療が格段に進歩しました。これらの薬を早期から用いることで、痛みの軽減を図りながら関節破壊の進行を抑え、健康な人と同様の日常生活が送れるようにすることをめざします。
- Qリウマチは完治するのでしょうか?
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A
▲清潔感のある院内には、各種検査機器が充実している
リウマチは、根本的に治せる病気ではありませんが、薬を用いることで健康な人と同じように日常生活を送ることができる「寛解」の状態をめざすことは十分可能です。ただ、患者さんにとってリウマチはあまり聞き覚えのない病気ですから、最初に診断結果をお伝えすると、多くの方が「なぜ私はリウマチになってしまったのですか?」とお尋ねになります。ですが、先述したような要因はあるものの、その人がなぜリウマチになったのかはわかりません。しかし、原因は何であれ、これから先に行う治療に変わりはありませんし、リウマチになったことは事実ですから、なぜやどうしてということは考えず、前向きに治療に取り組むことが大切だと考えます。
- Q患者さんに気をつけてもらいたいことはありますか?
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A
▲心配な症状があれば、気軽に相談してほしいという
診断結果をお伝えする時には、できるだけご家族と一緒に聞いてもらいたいと思っています。というのも、体と心は連動していますし、リウマチのような難しい病気にかかっていると告げられたら、「何で私が」「どうして」と、否定や拒絶をしたくなります。さらに、免疫を抑える薬を使いますから、不安になるのは当たり前です。しかし、病気の治療は患者さんが主人公です。患者さん自身が病気を理解して受け入れることがまずは大事なのです。その中で、病気の重しを患者さんだけに押しつけるのではなく、身近な人が理解し、寄り添って支えてあげる。私たちも患者さんと病気が仲良く付き合っていけるようになるまで、しっかりサポートしていきます。