清川 智史 院長の独自取材記事
富士森内科八王子リウマチ膠原病クリニック
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2025/06/30

八王子駅と京王八王子駅の中間地点に位置する「富士森内科八王子リウマチ膠原病クリニック」。清川智史院長は、大学病院のリウマチ・膠原病・アレルギー内科助教を務めた後、台町にある「富士森内科クリニック」の分院として同院を開院した。全身性の病気であるリウマチや膠原病。院長はリウマチ・膠原病だけでなく、それに伴う神経や心臓、肺、腎臓、腹部の病気にも広く携わってきた。その経験を生かし、リウマチ・膠原病では大学病院にも劣らない質の医療を提供することをめざしながら、かかりつけ医としてどのような些細な悩みにも耳を傾ける。「病気は医師のものではなく、患者さんのもの」と話す清川院長に、同院の特徴や診療にかける思いを聞いた。
(取材日2025年4月1日)
内科全般に幅広く、リウマチや膠原病はより専門的に
まずは先生の専門分野であるリウマチや膠原病の治療について教えてください。

リウマチとは、体の免疫が誤って自分自身を攻撃してしまう病気。関節が炎症を起こして腫れや痛みが生じ、その状態が続くと軟骨や骨が壊され、関節が変形してしまいます。以前は、痛みを取ることが治療の中心でしたが、近年では新たな抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬など、炎症を起こす物質の働きの抑制を図る薬の登場によって治療が大きく進歩しました。早期から適切な治療を行うことで関節破壊の進行抑制を図り、リウマチではない方と同様の日常生活の質を保つことが十分期待できるようになったのです。一方で完治しない病気ではありますから、「病気といかに仲良く付き合っていくか」を考えて、治療を続けながら健康な人と変わらぬ生活をめざしていくことになります。
こちらではリウマチだけでなく、内科全般を診てくださるそうですね。
私たちは「患者さんに毎日元気に過ごしてほしい」という思いで診療を行っています。リウマチや膠原病の症状の緩和はその一つに過ぎず、例えばリウマチの症状が治まっても他の病気にかかってしまったら、それは健康だとはいえないでしょう。実はリウマチの診断は、他の病気の可能性を除外するところから始まります。全身の病気についての知識がなくてはリウマチや膠原病に携わることは難しいんですね。全身を総合的に診られるからこそ、私はリウマチ・膠原病を専門分野に選びました。内科全般に幅広く、リウマチや膠原病はより専門的に。リウマチは早期治療が大切なのは先ほど挙げたとおりなのですが、私たち専門家が思うほどにはまだまだリウマチに関して患者さんや他科の先生方に知られていないように感じています。同じように私も、すべての診療科を極めているわけではありませんから、必要に応じて適切な診療科におつなぎすることもあります。
他に力を入れている分野はありますか?

母性内科の診療に注力しています。リウマチや膠原病は女性に多い病気で、20代〜30代の方は妊娠して出産するという夢や希望を持っている方もいらっしゃるでしょう。ですが、リウマチであるというだけで妊娠や出産を諦めてしまった方、医師から「諦めなさい」と言われたことがあるという方がたくさんいます。ですが、今は適切な治療を行えば、妊娠や出産も十分に望めるのです。同様に、「リウマチになってしまったから、スポーツをしてはいけませんか」と聞かれることもあります。しかし、実際に私が以前担当した患者さんの一人は、治療しながらトライアスロンをしていました。つまり、病気だからといって何かを諦める必要は絶対にありませんし、そうさせないことが、治療の大きな目標の一つです。
本院との連携体制で、患者により多くの選択肢を
ロゴマークにも先生の思いが込められているのだとか。

これは月がモチーフなんです。私は月が好きで、明るく照らす太陽よりも、薄暗い中で優しく照らしてくれる月のほうが性格に合っていると感じるんです。それに、私は学生時代に乗馬をしていて、高校生の時には国体に出場したこともあるのですが、その時の愛馬が「オーバー・ザ・ムーン」という名前でした。今も息子や犬の名前には「月」が入っているんですよ。リウマチや膠原病は根本的に治る病気ではありません。難病だといわれて苦しい状況にある患者さんに対して、一筋の光となって「大丈夫ですよ」と導ける存在になりたい。そんな私の背景や思いをロゴマークに込めました。
ところで、こちらは台町にある「富士森内科クリニック」の分院だと伺いました。
当院は、父が院長である台町の「富士森内科クリニック」の分院として2022年に開院しました。本院は駅からは少し遠く、ご高齢で車の運転が難しくなった方、通いにくくなってしまった方もいらっしゃいます。これまで通ってくださった患者さんを、そのような理由で診られなくなるということをできるだけ避けたいと思い、駅前の便利な所に開院することにしたのです。患者さんには通いやすいほうに来ていただければと思いますし、例えば内視鏡検査が必要なときには本院に、終わったらこちらに戻ることもできるようシャトルバスを用意しています。両院ともに掲げているのは「大学病院と変わらぬ医療を提供したい」という理念です。
本院との連携により、診療の幅が広がっているのですね。

そのとおり、患者さんにとっては検査や治療の選択肢が増えますね。本院は内科・消化器内科・循環器内科・小児科を中心に診療を行い、大学病院の先生方も非常勤で診療。2025年4月からは、大学病院の消化器内科で研鑽を積んできた私の弟が、本院で常勤医として勤務しています。対して当院は、かかりつけ医としてどのような些細な相談にも対応し、リウマチ・膠原病に関しては高い専門性を持っています。例えば大腸の症状に対して、当院では大腸CT検査に対応し、より専門的な内視鏡検査は本院で実施。またリウマチは全身性の病気ですから、両院の強みを生かしてさまざまな合併症の予防にも力を入れています。
医師と患者が同方向に一緒に進むのが本来のあるべき姿
診療の際に心がけていることをお聞かせください。

病気は患者さんのもので、治療も患者さんが主人公だということです。私はプロとして、「今のあなたはこういう状況にあって、こういう選択肢がある」と提案するのが仕事です。昨今では、これをシェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)といいますが、患者さんと共通の理解を持って治療を進めるという考え方を当院では大切にしています。「痛みが和らげば満足だ」という人もいれば、「これまでと同じようにスポーツがしたい」という人もいて、望む目標や何を幸せと感じるか、生活背景などもそれぞれ異なるもの。もちろんガイドラインを順守しますが、その中で医師はより良い提案を行い、患者さんは理解した上で最終的に治療方法を選択する。医師と患者さんが同じ方向に一緒になって進むのが本来のあるべき姿だと思っており、それは強く意識しています。
そのためには医師と患者の信頼関係が大切になりますね。
特に、リスクがある治療をする時に一番大切にしているのは、私という人間を理解してもらうことです。結局は信頼関係が大切で、それがあって、その先がある。それに、私は患者さんに後悔してほしくないんです。リウマチ・膠原病の治療は、絶対に良くなるという保証はありませんし、ときには副作用が出て、それに対してまた治療をしなくてはいけなくなることもあります。医師に言われるがままに薬を使って、良い結果になればいいのですが、そうでなかった時には「もっとこうしておけば良かった」と悔いが残ります。後悔をしないために、いろいろと調べて悩んだ上で決断する。私たちは、患者さんがそれができるようにより多くの選択肢を用意し、サポートすることが大切なのだと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

病院やクリニックにはできれば行きたくないでしょうから、少しおかしな話かもしれませんが、当院に通うのを楽しみにしてもらえるとうれしいですね。病気がありながらも笑顔になって帰っていただける、そんな空間になるよう、スタッフと協力しながら一人ひとりの患者さんに心を込めて対応しています。町のクリニックは、大学病院などとは違って、気軽に相談しやすい場所です。それと同時に、当院は町のクリニックでありながら、大学病院と変わらないような質の高い医療の提供をめざして設備も整えています。大学病院と箱が違うだけで、責任を持ってしっかりと医療に取り組むというのが当院の在り方。リウマチ・膠原病の専門的な検査や治療はもちろん、健康上のちょっとした悩みなど、お気軽にご相談ください。