柏木 理絵 院長の独自取材記事
札幌こころとからだのクリニック
(札幌市北区/札幌駅)
最終更新日:2026/02/25
札幌駅北口より徒歩5分、駅直結の入り口を持つビルが目の前の好立地にある「札幌こころとからだのクリニック」。SUPやフットサルが趣味というアクティブな面を持ちつつ、やわらかな話し方が特徴の柏木理絵院長は、10年間内科医として診療経験を積んだ後に、精神科を学び直し転籍。そして院長職も経験してから開業した経歴の持ち主だ。内科と精神科どちらにとっても必要なことがわかる医師として、心と体の双方に目を向けた診療を実践している。「内科にかかる気軽さで来てほしい」と話す柏木院長に、クリニックの診療内容やこだわりについて話を聞いた。
(取材日2025年3月18日)
「心」と「体」に精通したかかりつけ医をめざして
先生が医師を志したきっかけや精神科を選んだ理由を教えてください。

父が内科・消化器内科の開業医で、家族の勧めもあり医学部に進学しました。精神科は学生時代から興味はあったのですが、初めから精神科へ入局すると、内科から離れて「体」について学べなくなってしまうと思い、まずは内科を自分の専門に選びました。研修をうけた出向先の病院では消化器内科だけではなく、一般内科の分野でも白血病の治療や、気管支鏡検査など多岐にわたる分野の患者の診療に従事しました。途中、出産と子育てで仕事をセーブした時期もありましたが約10年の間内科医として地域医療たずさわってきました。内科は人の生死に直接関わる疾患を扱う診療科ですから、医師としての責任を感じることが多かったですね。特に若い時は経験も浅いので、患者さんが自分に身を任せてくださることに、ありがたみを感じながらも結果を出さねばという重圧もあり、医師として多くのことを学ぶことができたと思います。
内科の診療を通して精神科医になることを決意されたそうですね。
そうなんです。がんや白血病、抗がん剤が必要な患者さんは、重度の症状があるとうつ症状が出ることがあります。身体疾患に伴う精神疾患を専門に扱う「リエゾン精神医学」には内科にいた当時から興味があり、これが精神科をやりたいと思ったきっかけにもなりました。内科にいながらも、うつの症状もどうにかしてあげたいと思っていたんです。大きな病気になると、死や先の人生への不安や経済不安、これまでの自分の行いに対する責めなどで悩んでしまうこともありますが、それが悪化するとうつ病につながることがあります。弱音を吐けない人、環境や性格から相談することができない人たちの症状を軽くすることにも携われたらなと、次第に思うようになっていきました。
それが精神科に進んだきっかけだったのでしょうか。

はい。内科の医師になって10年目、このまま内科でキャリアを積んでいくべきか考えた時、学生時代に感じた精神科への興味がいまだ衰えていないことも気づき、それも私の背中を押しました。内科の経験は精神科でも必ず生かされるだろうという確信もあったので、一から精神科を学び直すことを決意し、転籍しました。精神疾患の症状というのは、患者さんごとに異なり多様性があるのですが、診療基準に照らし合わせるときちんと当てはまり、そこが興味深いところです。一見わかりにくい点でも、それぞれ患者さんをよく見ると、基準にあてはまる症状がちゃんと出ていることが明確にわかるのです。診断基準に照らし合わせた症状が出るというのは、薬物療法が合いやすいとも感じ、将来の可能性を見出せる科だと思いました。この頃から栄養学にも興味を持ち始め、精神科と内科の両立をしたいと考えるようになりました。
自身の経験も踏まえ心身のバランスの大切さを伝えたい
開業のきっかけを教えてください。

精神科に移って5年目の時、潰瘍性大腸炎にかかってしまい、体調を崩しました。かなり悪化している状態だったため、出勤時に特にひどく症状が出てしまうなどを経験し、それをきっかけに仕事を少しセーブしました。ライフスタイルを変える必要があると感じ、その時にいた病院は退職。その後、元同僚に院長をやらないかと声をかけていただき、一度、院長職に就くことになりました。将来的に開業を考える転機にもなりましたね。その頃、自分のペースで仕事ができていることをとても大切に思いました。そんな中で、体の状態が悪くてうつ症状に似たものになる患者さんを診る環境をつくりたいと思ったのが開業するきっかけです。
クリニックの特徴やこだわっていることについて教えてください。
まず現在ニーズが増えている東洋医学にも対応していることですね。台湾で漢方について学んだ女性医師が漢方内科の診療を担当しています。このほか、睡眠障害に特化した外来も設けており、睡眠障害の改善を図るため、規則正しい就寝時間や、カフェインやアルコール摂取、ブルーライトなど睡眠の妨げになる生活習慣の見直しといった睡眠衛生指導を行っています。睡眠ホルモンともいわれるメラトニンをつくるために必要なタンパク質の摂取や食事の時間など、睡眠の質を上げる栄養についてもお伝えします。あともう一つ、院内にクラゲが泳ぐ水槽を設置しているのも当院の特徴です。私がクラゲ好きなこともありますが(笑)、ふわふわしてずっと見ていられる癒やし効果があると思いますよ。
来院される患者さんの傾向はありますか。

当院にいらっしゃる患者さんでよくある問い合わせで、どんな食事にしたら良いか、という質問もよくあります。栄養面に気を使うなど、日々の生活の中で努力したい人が多くみえます。私自身が体調不良の時には貧血や足りない栄養素があるのを実感していたこともあり、自分の体験も含めて日常のアドバイスをするようにしています。心の健康の土台作りのためには、体の健康も大切ですので、気になる方は当院へ相談にきてほしいと思っています。
心と体、両方カバーするバランスの良い医療をめざす
カウンセリングについて教えてください。

精神科や心療内科で扱う疾患の治療は、薬物療法が中心となります。しかし、誰かと話すことで気持ちの整理や心の状態を整えたい方や、強迫性障害に不安障害といった方に対しては、公認心理師、臨床心理士の資格を持つカウンセラーが認知行動療法をベースとしたカウンセリングを行います。物事の見方、考え方で認知のずれがある患者さんには、薬物治療をしながらカウンセリングを並行して行います。疾患のせいで現在の状況に悲観的になってしまっている患者さんは、あらゆることにネガティブになってしまう傾向があるため、その認知のずれを一緒に見直していこうという内容になります。
今後、どのようなクリニックをめざしていきたいですか?
当院は心の状態を治療する手段として、体の状態を確認させていただくことにこだわっています。「あなたをわかって元気にする」というコンセプトを掲げ、体の状態と心に感じ起きたことを確認し、トータルで見て診療します。専門の先生に診てもらったほうが良いと判断した場合は、迅速に引き継ぐようにしています。身体面でのアドバイスも行いながら、心と体の症状を両方カバーできるような治療がスタンダードになることをめざし、バランスの良い治療を行うクリニックであり続けたいです。
最後に読者の方へメッセージをお願いします。

うつにならないための予防のご提案もしていますので、自分では「軽微かも」と思うような症状でも、心と体のかかりつけ医としてまず気軽に相談に来てください。

