桂 英之 院長の独自取材記事
桂内科(消化器)クリニック
(さいたま市浦和区/浦和駅)
最終更新日:2026/10/08
浦和駅北口から徒歩3分、複数のクリニックが入るビルの3階に「桂内科(消化器)クリニック」はある。木目調の床と白い壁を基調に、山をイメージしたやわらかな緑がアクセントになった温かみのある院内だ。院長の桂英之先生は、不動産会社や塾講師を経て37歳で医師の道に進んだ経歴の持ち主。15年以上にわたり、さいたま市立病院で早期がんの内視鏡診断・治療に携わった後、2022年に当院を開業した。「腹痛をしっかり診療していきたい」と語る桂院長は、内視鏡検査や薬物治療に加え、心理学的アプローチも取り入れた診療を実践。患者の言葉の裏にある思いに対して、想像力を働かせるコミュニケーション重視の診療姿勢を大切にしている桂先生に、医院の特徴や思いをじっくりと聞いた。
(取材日2026年9月8日)
37歳で医師に。臨床一筋で歩んだ開業への道
まずは、先生が医師の道に進まれた経緯をお伺いします。

もともと大学を卒業した後、不動産会社に2年、塾講師として5年ほど勤めていました。ただ、どの仕事も社会に貢献している点では同じですが、もっとわかりやすく人の役に立てる道はないかという思いが強くなってきて。その気持ちに背中を押される形で医学部に進み、37歳で医師になったんです。社会人を経てからの転身でしたから、最初から「臨床の現場で患者さんのために働きたい」という目標は明確でした。実際に医師になってみて、本当に良かったと思っています。自分が診察したことで見つけられた病気を診断できた時や、患者さんの不安を解消できた時にやりがいを感じますね。その一つ一つが、この道を選んだ自信になっています。
そこから開業を決意されるまで、どのような道のりがあったのでしょうか。
医師になってからは、消化器内科を専門とし、内視鏡での早期がんの診断と治療を柱に歩んできました。ちょうど拡大内視鏡や画像強調技術、内視鏡的粘膜下層剥離術といった新しい技術が確立されたところで、さいたま市立病院で15年間、早期の胃がんや食道がんを見つけて治療する仕事に携わることができました。もともとクリニックを開きたいという気持ちはあったのですが、総合病院での診療が充実していたこともあり、結果的に60歳まで勤めました。この浦和で開業を決めたのは、長年勤務した市立病院の近くだったからでしょうか。クリニックの看板を見て、「桂先生かな」と訪ねてくださる方もいらっしゃいます。入院が必要になった場合には、かつての勤務先をはじめ複数の病院と連携して紹介できる体制を整えていますので、ご相談いただけたらと思います。
クリニックづくりでこだわった点を教えてください。

設備面では、拡大機能や画像強調技術を搭載した内視鏡と腹部エコーを備えました。また、血球計数・CRP測定装置も置いて、院内で白血球やCRPなど炎症反応の数値が約10分で出るようにしています。数値をその場で確認できることで、点滴が必要か、入院の手配をすべきかといった判断を迅速に行えるのが強みです。また、内装には、私自身山歩きが好きなこともあり、山をイメージしたやわらかな緑のカーテンや、クリニック名にちなんだ「桂」の葉のモチーフを取り入れています。もう一つこだわったのは、土日祝日にも診療していることです。仕事で平日に時間が取りにくい方や、休日に急な腹痛や発熱があった方にも対応できるようにしました。消化器の症状に限らず、健診結果のご相談や生活習慣病の管理で通われている患者さんもいらっしゃいます。
検査から心のケアまで、腹痛を総合的に診る
診療で特に力を入れていることを教えてください。

私が力を入れているのは「腹痛」の診療です。特定の臓器や疾患に特化するのではなく、おなかが痛いという症状を幅広く診られる医師でありたいと考えています。最初から臨床の現場に軸足を置いてきて、研究テーマとして扱われにくい腹痛こそ、患者さんのニーズが大きい分野だと感じていました。腹痛の原因は消化器疾患だけでなく、婦人科系の問題や帯状疱疹など多岐にわたります。しかし現状では、専門の細分化が進んだことで、内視鏡検査はするけれど腹痛そのものは継続的に診ないというクリニックも少なくありません。当院では患者さんの状況に応じて、腹痛をしっかり診療していきたいと思っています。
腹痛に対して、具体的にはどのような治療を行っているのですか?
当院では3つの柱で腹痛に向き合っています。1つ目は内視鏡検査やエコー検査でがんなどの重い病気が隠れていないかを確認すること。2つ目は薬の処方によって症状の緩和を図ること。そして3つ目が、カウンセリングを含む心理面からのアプローチです。検査で異常が見つからない腹痛は実は多く、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群がその代表です。近年は「脳腸相関病」とも呼ばれ、ストレスや不安が胃腸の不調を引き起こし、胃腸の不調がさらに不安を増幅させるという相互関係が認められています。心療内科では消化器の判断が難しく、消化器内科だけでは心理面のケアが手薄になりがちです。私はその隙間を埋めたいと考え、心理学を学びながら臨床に生かす診療をめざしています。
内視鏡検査を受けやすくするために工夫していることはありますか?

当院では胃がん検診の際にも鎮静剤を使っています。検診では鎮静剤を使わないクリニックも多いのですが、「怖いから」と検査を避けてしまう方にも、病気を見逃さないためになんとか受けていただきたいという思いがあります。研修医時代に「苦しい内視鏡は患者さんの検査の機会を奪う」と教わり、そのことがずっと心に残っています。特に65歳、75歳を超えるとがんの発生率は大きく上がりますから、そのタイミングで初めて胃カメラ検査を受ける方にこそ、安心して臨んでいただきたい。検査のタイミングはよく聞かれますが、「受けたくなったら受ければいい」とお伝えしています。ご自身の健康を気にかけている証拠ですから、その気持ちを大切にしたいんです。
患者の思いに寄り添い、相談のハードルを下げたい
患者さんとのコミュニケーションで心がけていることはありますか?

診察中に受けたご相談に対して、最初から医学的な見解をぶつけることはしません。まずは患者さんの困っている気持ちを受け止めます。そのご相談の裏には、言葉にはしていなくとも、なにか事情や不安なことがあるのかもしれません。対話の中でしか見えてこない部分にも思いを巡らせながらお話を聞いています。健診結果をお伝えする際にも同じ姿勢で臨んでいます。人間ドックの結果は紙を渡されて終わりということも多く、不安を抱えたままの方が少なくありません。診療ガイドラインをはじめ、医療情報を活用しながら、なるべく安心できるようご説明しています。
院内の雰囲気やチームづくりについてお聞かせください。
当院では「思いやりチーム満開」を掲げています。スタッフ全員で決めたキャッチフレーズで、職員同士の思いやりと患者さんへの思いやり、その両方を大切にしていこうという約束です。スタッフが安心して働ける環境をどう作るかも大事なテーマで、課題が生じた時には話し合いを通じてお互いを理解し合える関係をめざしています。職場のコミュニケーションについても毎月オンラインの勉強会で学んでいますし、医学の面でも各種講演会に足を運んで新しい知見を取り入れています。医学知識もコミュニケーションの技術も終わりがない。だからこそ学び続けることに意味があると感じています。リフレッシュは週1回のジムと高尾山でのハイキング。昔から好きな英語の勉強も日々の楽しみです。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

日々の診療で意識しているのは、「こんなこと聞いてもいいのかな」と患者さんが感じるハードルを下げることです。一番の専門は内視鏡と腹痛、消化器内科ですが、「かかとが痛い」「肩が痛い」という方もいらっしゃいます。「そんなこと質問するな」とは絶対に言いません。お答えできることはお伝えしますし、専門外であれば適した診療科をご案内します。もう一つ大切にしているのは、患者さんの自主性を尊重することです。お薬は2~3ヵ月分の長期処方にも対応し、血液検査の結果をオンラインで確認できるサービスも導入しています。すべてをこちらで抱え込むのではなく、患者さんご自身が健康を見守れるようお手伝いする。そうした伴走の姿勢で、これからも診療を続けていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃がん検診/2万円

