朝廣賢哉院長の独自取材記事

オーラルクリニックあさひろ

(横浜市港南区／港南台駅)

最終更新日：2024/02/21

港南台駅近くに「オーラルクリニックあさひろ」を開業した朝廣賢哉院長。両親ともに歯科医師という環境で育ち、両親の母校である北海道医療大学で学んだ。開業にあたり、悪い歯だけを治すのではなく、口腔全体のバランスを整え、治す医療から守る医療へと変えていきたいと「オーラルクリニック」と名づけたという。入れ歯を専門的に学んだ経験があり、歯を失ってしまった方を多く見てきたことから、できるだけ天然歯を残せるように予防に力を入れたいと語る。また歯科治療について患者の「わがまま」に応えていきたいというのも、朝廣院長のモットー。患者の本音を引き出し、できるだけ希望に沿った治療を提供したいとの真摯な診療姿勢が特徴だ。気さくな人柄と朗らかな語り口も印象的な朝廣院長に、開業の思いや診療の特徴、めざすところなどを聞いた。

（取材日2022年10月5日）

口の中全体を診て、治す医療から守る医療をめざす
患者の本音を聞き出して、希望や悩みに応える治療を
歯科で、定期的に口の中を整える習慣を広めていきたい

口の中全体を診て、治す医療から守る医療をめざす

オーラルクリニックという院名が印象的ですね。

歯（デンタル）だけではなく、口の中全体（オーラル）を診て、悪い歯を1本ずつ治すというよりは全体のバランスを整える。それにより、今後、悪くならないようにすることをめざしたい。治す医療から守る医療に変えていきたい、という思いを込めています。そもそも歯科医院は嫌われるところだと思うんですよ。わざわざ行っても痛い思いをする可能性があるし、どれだけお金がかかるのかわからない部分がある。しかも内科などと違って1回では終わらず、何回通院が必要なのかもわからない。できれば行きたくないところというイメージが強いですよね。ですから、悪くなったところを治すのでなく、悪くしないために通う歯科医院にしたいのです。そのほうが患者さんも痛い思いをすることが少なく、しかも結果的に時間もお金もかかりません。ですから、歯科医院が苦手な方にも気軽に来ていただけるような、開放的でリラックスできる雰囲気をめざしました。

では、開業までの経緯を教えてください。

私は栄区で育ち、両親とも歯科医師でした。勉強しているうちに面白くなってきたのと、やはり人に役に立つ仕事だと感じて歯科医師になったのです。恩師にも恵まれたので、卒業後も大学病院で咬合再建補綴学の分野で入れ歯を専門的に学び、その後、札幌市内の歯科医院で一般歯科診療を経験しました。大学病院時代から、将来的には独立したいと考えていたので、この土地と出合ってすぐに開業を決め、横浜に戻って父の歯科医院を手伝いながら、開業準備を進めてきました。ただ、ちょうど新型コロナウイルス感染症流行の中で建設工事が予定通りに進まず、やっと開業に至りました。

歯科医師のご両親から学んだのは、どんなことでしょうか。

父から学んだのは、治療のスピード感ですかね。父は歯科技工も手がけるので治療期間が短く、患者さんに喜ばれていました。ですから、当院も技工室を設け、今のところは金属技工だけですが、治療期間の短縮をめざしています。また、父は、硬派な職人タイプなんですよ。一緒に治療をしていた時、診療方針の相違でぶつかることもあったのですが、見習うべきと思う部分も多くありました。母は訪問診療に携わっており、高齢の患者さんにとにかく優しく温かく向き合うのが印象的でした。僕も訪問診療に携わった経験があるので、これが正しいやり方なのだろうと確信しましたね。両親とは世代が異なるので、医療という面では考え方が異なる部分はあるのですが、2人とも先達ですから学ぶべきところは多かったですね。その意味でも、父の歯科医院で研鑽を積んだのは有意義だったと思っています。

患者の本音を聞き出して、希望や悩みに応える治療を

先生の診療方針について教えてください。

歯科治療には、保険診療から自費診療までさまざまな選択肢があります。その中から、患者さんが自分の意志で選べるように、すべての治療についてメリットやデメリット、治療費を含めて全部お話しすることを心がけています。そして患者さんに納得して決めてもらい、患者さんと2人で治療を進めたいと思っています。私から無理に自費診療をお勧めすることはないのでご安心ください。また、患者さんには、わがままというか、本音を言ってほしいと考えています。「恥ずかしい」「無理だろう」などと遠慮せず、気軽に言ってもらい、できるだけ応えたいと思っています。

例えば、どんなわがままでしょうか。

「総入れ歯だけど、本当はお餅が食べたい」「ホワイトニングをする気はないが、ちょっときれいにクリーニングしたい」など、患者さんが諦めていることがたくさんあると思うんですよ。以前、「入れ歯は外れやすいもの」と諦めていた方の治療をしたら、「もっと早く治してほしいと言っておけばよかった」と言われたこともあります。ですから、諦めているようなことも、一度、相談してほしいのです。すべてにお答えするのは難しいですが、患者さんの本音や希望がわかれば、それに近づくように努力することはできます。特に「一生、食べたいものを食べてほしい」というのが僕のモットーなので、入れ歯だからとか歯が悪いからといって、食べられないものがあると諦めている方は、ぜひ相談していただきたいですね。

患者さんとの印象的なエピソードなどがあれば教えてください。

大学での研修医時代、ある患者さんの入れ歯治療を任されたことがありました。歯科技工士さんの力も借りず、最後まで自分で作ったのです。その入れ歯を入れてから、患者さんは来られなくなったのですが、僕が大学を辞める少し前に「調整してほしい」とフラッと来られたのですね。うれしかったです。偶然、またお会いできたことに運命的なものも感じましたし、自分の自信にもなりましたね。

歯科で、定期的に口の中を整える習慣を広めていきたい

今後の展望について聞かせてください。

まずは、地域の方に愛される歯科医院にしていきたいですね。その点、港南台エリアは、僕の想像以上に入れ歯の方が多いと感じます。入れ歯が専門なのでやりがいはあるのですが、やはり天然歯のほうが勝ることも事実ですから、歯が残っている方はできるだけ歯を守っていただきたいと思っています。そのために、予防として歯ブラシ指導もしっかり行いたいですね。毎月1回、歯科医院でクリーニングをしたとしても、あとの29日はホームケアですし、「磨いている」と「磨けている」は異なります。お子さんも大人の方も歯科衛生士に指導を受けて、正しいホームケアを実践するかどうかで、歯や歯茎の状態はものすごく違ってくると思います。ぜひお手伝いさせていただきたいですね。

この辺りは、お子さんも多いエリアのようですね。

偶然ですが、隣が小児科ですし、小児歯科には力を入れていきたいと思っています。急な痛みなど緊急でなければ、予防を中心に、歯科医院が嫌いにならないようにゆっくりと進めたいと思っています。歯科医院が苦手になると、一生にわたって影響しますからね。子どもの予防は、歯並びと虫歯がポイントです。歯並びに関しては、問題がありそうな場合は矯正の専門家につなぎます。虫歯予防は、食生活と歯ブラシ指導、フッ素塗布ですね。ベテランの歯科衛生士が在籍していますので、間食の食べ方や仕上げ磨きについてなんでも聞いていただきたいと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

特に問題がなくても、口の中を整えるために、歯科医院に定期的に通院することを習慣にしていただきたいと考えています。美容院で髪を整えて気分が上がるように、口の中を整えれば、気持ちも上がります。治療というよりは、メンテナンスのために来ていただきたいのです。定期的に受診していただくことで、健康な状態の維持につながりますし、もし虫歯や歯周病になっても軽いうちに治療を行うことで、長い目で考えるとずっと経済的です。お子さんから高齢の方、歯科治療が苦手な方も、どなたにとっても「快適で怖くない歯科医院」をめざしていますので、気軽に来ていただければと思います。また、当院は衛生管理を重視して、あえて靴を履き替えていただくようにしています。靴の脱ぎ履きが困難な方や、車いすの方にはそのまま入っていただけるように準備していますから、気軽にお声がけください。