名倉 義人 院長の独自取材記事
本郷台ホームクリニック
(横浜市栄区/本郷台駅)
最終更新日:2026/05/07
本郷台駅から約9分の住宅街にたたずむ、「本郷台ホームクリニック」。日中は内科から小児科、外科、皮膚科、アレルギー科、救急科まで幅広い診療に応じる一方で、夜間は専用の夜間往診システムと連携し、通院が困難な患者の往診にも尽力している。院長を務める名倉義人先生は、生活習慣病の予防に力を入れており、特に肥満症や睡眠時無呼吸症候群の治療に熱意を注いできた。その胸の内には、三次救急の外来に長く携わり、重篤な症状を目の当たりにする中で生まれた、ある思いを秘めているという。常に高い目標を掲げ、なおかつ患者に寄り添った現実的な治療を心がける名倉院長に、同院の診療内容や自身のモットーなどについて聞いた。
(取材日2023年9月20日)
生活習慣病の大本・肥満症には、続けやすい食事指導を
こちらの診療内容について教えてください。

肥満症と睡眠時無呼吸症候群の治療をメインに、幅広い診療を行っています。特に肥満は高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病につながりやすいので、その根本解決をめざしてきました。一方で睡眠時無呼吸症候群は、潜在的な患者さんが多く、あまり認知されていないようです。肥満の方が合併しやすいため、肥満症の外来に来られた方で疑わしい症状があれば検査をお勧めしています。患者層は、40代50代の方が多いですね。もちろん総合診療の観点から、どんな症状の方も診ていますので、どの科で診てもらえばいいかわからないとき、最初に訪ねていただくクリニックでもありたいです。そのほか、慢性疾患の方を中心にオンライン診療や、外部の組織と連携した夜間往診も行っています。
肥満症の外来ではどんな治療をされていますか。
ベースは食事指導と運動指導です。肥満症の外来というと、「食事はこれがいい」「有酸素運動を1日30分」といった理想を求められがちですが、言われてすぐにできれば、誰も困りませんよね(笑)。特にお仕事で忙しい方が運動をするには、新たに時間を捻出しなければいけません。もし、頑張ってジムへ行き始めてもうまく時間が取れず、数ヵ月でやめてしまうというパターンも多いんです。僕としては5年10年、20年先を見据えて治療をしていきたいので、「長く続けられない」ことは最初から勧めません。例えば食事に関しても、「一時的なダイエットを目標にしてはいけませんよ。目標はあくまで食生活を変えることです」と最初にお話しします。同じ食事を5年、10年続けられるのか常に問いかけながら、現実的に食生活を変えられるよう指導しています。
具体的には、どういったご指導を?

指導の内容は十人十色です。ご自分で料理をされる方もいれば、料理は一切しないし、その時間もないという方もいらっしゃいます。そうした、おのおのの生活背景を踏まえて、現実的に取り組めそうな食事指導をご提案してきました。患者さんの中には健康診断でチェックが入り、一度内科を受診したものの「勧められたやり方では効果が出ないのでやめました」という方も多いです。いくら正論を言われても、実際に行動に移すのは難しいものです。だからこそ、まずは現実的な方法で食事の仕方から徹底的に変えていきます。それでも難しいという方には薬物療法を、あくまで食事指導のサポートとして行う形ですね。ご自身の意思で生活習慣を変えることが大切ですから、最初から薬物療法をお勧めすることはありません。たとえ薬を処方しても「食事が変わらない限り、この薬を飲んでも1kgも痩せませんよ」と必ずお伝えしています。
救命救急での経験から、予防医療の重要性を痛感
なぜ、肥満症の外来や生活習慣病の治療に着目されたのですか?

実は、僕はもともと救命救急の医師としてずっと三次救急の現場にいたんです。そこでは、ご高齢の方だけでなく、40代50代の働き盛りの方が心肺停止状態、あるいは脳出血で意識のない状態で運ばれてくるという場面にたくさん遭遇しました。そうした方は、もし命を取り留めても、その後の社会復帰が難しいものなんです。実際に、ご家族から「健診で異常があったけれど受診していなかった」と伺ったり、植物状態になられた患者さんの姿を目にしたりするのは、とてもつらいことでした。そうした中、救命救急にももちろんやりがいはありましたが、救急に至る前の段階でなんとかしなければ誰も幸せになれないと強く思ったんです。これが、「予防医療が大事」と考えた理由ですね。
夜間往診を始められた経緯も教えてください。
夜間の往診は、救命救急時代の友人の医師と事務方と3人で、医療提供支援の事業として始めました。当初は友人も僕も本業としてではなく日常の診療が終わった後に行っていたのですが、拠点となる場所が必要となり、まず新宿で開院したクリニックを夜間だけ開けていたんです。そのうち、予防医療にもっとしっかり取り組みたいという思いが生まれ、日中もそのクリニックを拠点として診療するようになったんです。その後、さらに幅広い地域の往診に対応できるようにと、2022年、本郷台の地に当院を開業しました。夜間の往診では、専用システムにご連絡いただき、当院から医師がご自宅へ伺います。当院への通院経験がなくてもご利用いただけます。
オンライン診療は、どのような人が利用されていますか。

主に慢性疾患で、症状の安定している方ですね。例えば、仕事が忙しくて通院が難しい。けれど、定期的な薬の内服が必要という方は、オンライン診療と通院をうまく組み合わせていただきます。ただ、ずっとオンライン診療のみというわけにはいきません。採血など精密な検査や診断を定期的に行い、薬の作用も確認しますので、あくまで対面診療と並行することが大切です。一方で、急性期の疾患の場合は、身体所見から得られる情報が非常に大事なので、あまりオンライン診療には適さないように思います。オンラインで得られる情報だけでは「大丈夫」と言い切れず、念のための抗生物質の処方が増えることにもつながりかねません。不要な抗生物質の処方が増えてしまったら患者さんのためにはなりません。
患者と医師、二人三脚で「一緒に頑張る」治療を
診療の際に、大切になさっていることは何ですか?

やはり、治療における主役は患者さんなので、いかに自ら「治そう」という気持ちになっていただくか、であると考えています。僕ら医師は、あくまで患者さんを横からサポートする立場なんです。「全部私に任せてください。こうしたら治りますよ」ではなく、言ってみれば二人三脚。「一緒に治療していきましょうね」というスタンスです。そのためには患者さんとの間に信頼関係がなければいけません。信頼なしには、正しい医療情報をお伝えすることも難しくなってしまうので、コミュニケーションの取り方には十分気を配っています。僕はよく見た目が医師らしくないと言われますが、威圧感を与えないよう、声のトーンや目線の高さも意識していますよ。何かにつけ満足しないたちで、すべての患者さんに100%満足していただくのは難しいと思いつつ、めざしてしまうタイプなんです(笑)。
日々お忙しいと思いますが、どのようにリフレッシュされていますか?
コロナ禍以後、週7日勤務になってしまい、子どもが生まれたこともあって、今はなかなか自分の時間を取れていませんね。でも、基本的には体を動かすことが好きです。以前、湘南に住んでいた頃はサーフィンをしたり、マラソンをしたりしていました。最初は普通のマラソンだったのですが、7、8回走るうちにもう少し長く走りたくなって、さらに長距離を走るウルトラマラソンにも挑戦しましたよ。富士五湖一周118kmを14時間かけて回るレースなどは、面白かったですね。そのおかげで今、これだけ働く体力がついたのかもしれません。その反面、しっかりとした診療を行うために休息や睡眠も大事にしています。医師は体が資本ですからね。
最後に読者へのメッセージをいただけますか?

健康であることは幸せなことで、かけがえのない財産です。でも、健康は一晩頑張ればすぐ手に入るものではありませんし、薬で得られるものでもありません。やはり、ご自身が健康になろうという意識が何より大切なんだと思います。日頃から健康意識を高め、前向きに日々の生活を楽しみながら、健康になっていきましょう。そのサポートは当院でさせていただきますので、健康診断で気になる結果が出たら、放っておかずにご相談ください。お一人お一人のご事情に合わせた、現実的なアプローチをご提案します。当院の最終的な目標は当院から卒業することです。一緒に頑張っていきましょう。

